俺と赤髪ロングのノッポちゃん
ジータです。今回はおもらし回です
「……ヒマだ。」
俺は暇すぎて死にそうだ。いくら最強の力があったって暇と空腹には勝てない。
ギルドにでも行くか。
「誰か一緒にギルド行かない?先着2名。」
言い終わる時には音兎が俺の右腕を掴んでいた。
こいつ時空魔法使いやがったな。
とか考えているとティアとクルンが同着。ちなみにアルはギルドに出勤している。
余談だがティアはティアスタ、アルはアルフィナの愛称である。
ティアとクルンがお互いと俺をキョロキョロ見て、泣き目になる。譲りたいけど俺と離れたくない感情が良くわかる。かわいすぎた為、結局みんなでギルドに行きました。
ギルドに入ると中にいた奴らが全員俺を見てクスクス笑い、ボソッと死んだな、とかそんなニュアンスのことを言っている。
イラついたから一番気に入らない顔してるやつにデコピンした。もちろん屋根を貫通して王国の外まで飛んでった。死んではいない。
シーン……となるギルド内。いつもなら喧騒が響くところだが今日は違う。
気にせずアルの所に行こうと思ったが、素人の俺にも分かる強烈な殺気。
その先には親の敵レベルに俺を睨む赤髪のロングヘアー。そして俺と身長が変わらない。むしろ大きい。
その女は席を立つと大股に近づき、胸ぐらを掴む。
「貴様如きがSSランクだと?ふざけるな!!私と勝負しろ!」
苛烈なほど怒る彼女に俺はこう告げる。
「ヤダ。」
「「「「…………は?」」」」
ギルド内の空気が凍る。これは正しく、クラスでスベッたときと同じそれだ。
「貴様っ…このっ…」
もはや怒りすぎて罵倒する言葉が見当たらない。どんな暴言でも言い足りない。そんな感じだ。
一方、俺は柳に風。何を言われても受け流す。
「この一重がっ!」
「いいだろう…相応の死をくれてやる。地下修練所でそのぱっちり二重を一重にしてやる。」
俺と赤髪に怯えるギャラリー。だが戦闘を観たい。しかし死にたくない。故に100mほど遠くから見ている。音兎たちを除いて。
半径500mはある修練所の1番端に体育座りして音兎の完全空間×5で完全防御。
「私はカレン。カレン=ムラサメだ。貴様も名乗れ一重野郎。」
「俺は萩田獅音。ただて済むと思うなよ?ノッポ女。」
「「…………殺す!」」
「苛烈なる業火よ!我に消えることのないその獄炎を宿せ!全ては燃え散り焦土と化すだろう!来い!レーヴァテイン!」
カレンの詞とともに現れる炎。それを掴み、一振。
炎は消え去り、金と赤に彩られた身の丈ほどの立派な剣。
「貴様もエモノを出すがいい。」
フェンリルってどう出すんだろ?最悪素手でも勝てるけど。
そう思った瞬間。頭に言葉が侵食してくる。
それをそのまま口にする。
「知の神を喰らいし暴虐の化身。狼王よ!魔獣と恐れられしその牙で三界を喰らい尽くせ!齧れ!フェンリル!」
俺の目の前に闇のように黒く、しかし惹き付けるような黒い光。それを握り、刀を思い浮かべる。
そして黒光を抜刀するかの如く左右に分ける。
黒塗りの刃。紅い鞘。なんとも配色のおかしい刀だな。
「この刀は…天鎖斬tぐばらっ!」
言い終わる前に音兎による著作権保護魔法での爆撃。全く痛くはないのだが、実の妹にやられたかと思うと心が痛い。
「茶番は終わりだ。行くぞ!」
イラついたカレンによる超高速の斬撃。
だが俺はフェンリルで軽く弾く。
「なっ…ま、まぁまぁやるな。だが私には勝てん。」
「そーかよ!」
俺は音さえも置き去りにしてカレンの後ろに回り、一閃ーーー
かと思えたが斬った感触がない。空振ったわけじゃない。確実に右肩への袈裟斬りが決まったはずが、切り裂いたのはカレンではなく、衝撃で裂けた地面だけだ。
???していると後ろからカレンに斬られた。
が、まったく痛くない上にレーヴァテインが欠けた。
「なっ…くそっ!一重のくせに!」
「ぶっ殺すぞ!」
怒りに任せてその場でフェンリルを振る。
桁外れの筋力により生まれるカマイタチ。それはカレンを捉えた。
しかしまた、まるでカレンをすり抜けたようにギャラリーを吹き飛ばしていく。
だが音兎による完全空間の応用、完全装甲のおかげで死に至ることはない。
「ノッポ。それはスキルか?」
「殺すぞ。…まぁ教えてやろう。知ったところでどうしようもあるまい。」
カレンはガラにもなくドヤ顔をかましてスキルを語る。
「我がスキルの名はインビジブル!姿は見れども実体は無い!よって全ての攻撃は私には当たらない。だが私の攻撃は当たる。貴様の負けだ!」
それは使い方によれば最強になれるスキルだが、俺の前には無駄だ。そう。俺の左腕の前では。
今までは5%位しか力を出してなかったが、次は10%くらいは出した。
近くで俺を見ていたカレンや遠くから見ていたギャラリーからも消えたように見える程のスピードで、一瞬でカレンの目の前に現れ、「ヒッ!」とか驚いてたが、ポンッ…と右肩に左手を当てた。
「なっ…なぜ触れる!?くそっ!インビジブル!インビジブル!」
「お前もスキルを教えてくれたから俺も教えてやるよ。俺の左腕はスキルや魔法を相殺する。その名も幻想殺…くばぁっ!」
「苛烈なる左腕です。はい。」
音兎に本日二回目で少し強めの著作権保護魔法を食らってしょんぼりしながらもスキル名を伝えた。
「そんなスキル…あっていいはずがない!人間の手には有り余る!」
「そうでもねーよ。おれお前に5〜10%くらいでしか相手にしてねーもん。」
カレンは「なっ…」と言い、顔を赤くする。それは羞恥と怒りによるものだろう。俺をナメていたことに恥じて、俺に遊ばれていたことを怒った。
「まだ私は負けてない!私の奥義をくらい生き残れば認めてやろう!」
カレンはレーヴァテインを構え、魔力を高める。レーヴァテインが放つ熱は魔力と共に空気を焦がすほど高まっていく。
「神の敵を焦がし、闇夜に勝利を照らせ!『 炎王!!』
レーヴァテインから斬撃型の炎が射出される。それはまるで太陽のように熱く明るい。
その美しい奥義に経緯を表し、俺も頭に浮かぶ詠唱を唱える。
「その咆哮は世界に響き、生あるものは総じて慄くーー」
「狼星天恐」
納刀したフェンリルを左腕で抜刀。圧倒的な剣圧により空気が裂けて数多の風の剣になる。
炎帝を簡単に切り裂きカレンに降り注ぐ。
しかし一撃たりともカレンには当たらず、あと1cm近ければ死んでいたという恐怖にカレンは震える。
「…… やりすぎたか?」
俺は寒い日のうるさいJK並にガタガタ震えるカレンに近づき手を差しのべるとーーー
カレンは漏らした。盛大に。
よくよく思い返せば一歩近づく度にカレンは怯えてた気がする。
というか完全にデジャヴ。チラッと音を見るとファッキンレオ、と中指を立てて、ティアとクルンは俺の力にガチ引きしてる。
そしてギャラリーに混じって見ていたアルはかつての黒歴史を思い出し、「はうっ」と顔を赤くして股をもじもじさせた。
カレンに視線を戻すと気絶していながら涙とおもらしを続けるという黒歴史を超える闇歴史を刻んだ。
俺が責任もってカレンを洗って運んでギルドの療養所に寝かせたて池を綺麗に掃除しました。
不謹慎だがそのあまりにもシュールな姿に音兎が腹抱えて笑った。
俺は夕日に向かい女は漏らさせないことを誓うという常人は考えることすらしないキチガイな誓いを立てた。
to be continue