いえいえ、俺は負けませんよ!
これで1章完結です!目を通し頂いて感謝致します!
「オト。君のレオはこの世から消え去った。骨も残らずにね!アハハハハハハ!」
『レオは死なない!あんたになんて負けるわけない!ほら!返事しなさいよ!レオ!!!』
しかしいつまで待ってもレオの声が聞こえることは無かった。
『う……』
「クククッ」
『うああああああああああああ!!うそだ!うそだ!』
「アッハハハハハハハ!!!最高だよ!」
大粒の涙を地に垂らす音兎と対照的に大口を開けて笑うギルティ。空間を隔てた二人の感情は平行線を辿る。
「はぁ〜あ。笑った笑った。さて…そろそろ終わりにしようかな。」
ギルティはオトを異空間から引きずり出す。
「グッバイ。ハギタ兄妹。」
ギルティの手から放たれた光弾が音兎に被弾ーーー
することはなかった。
「なんだ?まぁもう一度。」
バシュッ!
確実に当たった。ギルティも音兎もそう思った。
だけれど直撃する刹那、ギルティの光弾は飛来した何かをによって防がれる。
「なっ…!?何なんだ!」
狼狽えるギルティ。しかし音兎は安堵している。彼女自身も全く根拠はないことなのだが、先ほどの何かはレオなのだと思った。
そしてその何かは姿を現す。
ギルティと音兎の間に現れたそれは紅蓮の炎を纏う。
「熱ッ!」
「……。」
ギルティは強烈な熱気を感じたが、音兎はむしろ暖かく心地よさを感じていた。
その紅蓮はさらに燃え盛る。そして人型に形成され、形作る。
「お待たせ。音兎。」
「……レオッ!!!」
♢♢
俺はギルティの攻撃を受ける直前に音兎が俺を呼ぶ声を聞いた。
気づいた。俺の力がどういうものなのかを。
この真紅の炎は俺の魂だ。何か大切な者を守るときに俺の魂は燃え尽きることのない神炎と化す。
「二年ぶりの再開を楽しみたいけど、あのカスを燃え散らせてからだ。」
「うんっ!」
ボロボロの音兎は苦しみが吹き飛んだように晴天の笑みを見せた。
「バカな!君は確実に殺したのに!」
「あぁ俺ひとりなら死んでたよ。けど俺には帰りを待ってくれる人と助けを求める人がいる。一人のお前には負けねぇよ!」
萩田獅音
Lv150
筋力 3070
耐久 2986
敏捷 3000
魔力 1500(測定不能)
スキル
全衝撃
魔法
身体能力二乗
アビリティ
不滅の炎帝
自らを意志の強さを具現化させた炎を纏い、その身を神炎と成す。
「アビリティ……だと!?」
「俺も驚きだ…。でもまぁやっとお前を消し炭にできるわけだ。」
俺は今一度、炎と化しギルティに襲いかかる。
「ふざけんなっ!さっきまで楽しい気分だったのに!消えろよぉぉぉお!!」
激昂したギルティは憤怒の罪から奪い取ったスキルを使う。
「激怒する魔神の裁き!!!」
術者の怒りに比例する一撃は城を破壊しながら一直線に向かってくる。
ジッと言う音とともに直撃を受けた俺は霧散する。
「はぁ…はぁ…。僕は……無敵だ!」
「残念だが、俺がいる限り無敵にはなれない。」
今の俺には攻撃が通用しない。火を殴っても身を焦がすだけだ。
「じゃあなギルティ。『煉獄炎武神!!」
地から、天から、空からギルティを隙間ない火柱が灼き尽くす。
「ぐぁぁぁあああああ!熱い!助けてくれ!本当は殺す気なんてなかったんだよ!」
「殺す気があろうがなかろうが音兎を傷つけた罪は消えない。弁解は閻魔様にでもしな。」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!」
ギルティは慟哭と共にこの世から影だけ残して消滅した。
♢
「音兎。待っててくれて……ありがとな。」
「レオ……」
俺は両手を広げて吹っ飛んできた音兎を受け止める。
「お兄ちゃん!怖かった!死んじゃうかと思った!でも、お兄ちゃんが死んじゃったかと思って、それが一番怖かった!」
それから音兎は子供のように泣いた。泣いて泣いて、泣き疲れて寝てしまった。
この二年間、不安に殺されそうになるほどだったろう音兎は俺という安心感に身を任せ、スヤスヤと俺の背中で寝息を立てる。
さて、みんなの元に帰ろう。今度は音兎を連れて。
余談ですがギルティは物理ダメージを90%カットするスキルを持っている設定で全衝撃で貫通させる予定でしたが変更してこうなりました。




