俺、2人のスキルと封印されし指パッチン
チートです!
ここはどこだ? 1歩踏み出しただけなのに…
遡ること二秒前、家から外に飛び出しいつもの登校時くらいで1歩踏み出した瞬間ーーー
世界が変わった。
さっきまで草原だったはずなのにいま俺は砂漠地帯だ。途中僅かに海を渡ったが本当に一瞬だった。
まさかあの1歩で?そんなバカな…
とりあえず同じくらいの力で戻ってみよう。
バッッッシュゥゥゥウ!!!
と轟音と共に砂が抉れ、地形が変わった。
あぁ…やっぱり俺だった。
そんな事を思っていると目の前に音兎が立って唖然とした態度で佇んでいた。俺を見ると、
「レオ。」
綺麗な声だがなぜか魔王を彷彿させるような冷たい声で俺を呼ぶ。俺はピシッと背筋を伸ばして
「はいっ!」
それと同時に
「正座。」
ズバッと音を立てて俺は正座した。まるで閻魔様だ。
その後の説教は凄まじく、俺のメンタルはガリガリと削れていった。
「はぁ…仕方ないから許してあげるけど次やったら魔法の実験にするからね?」
なんてことを言うんだろう。つまり端的に言うと「お前に命はねぇ。地獄を見せてやる」という事だ。
俺は肝に銘じ、2度とあんなテンションで走らないと決めた。
「ところでレオ。スキルってどーゆーことなんだろう?」
俺は自分のスキルを確認してみた。
天上天下唯我独尊
筋力、耐久、敏捷、が超絶補正。人間の限界を大きく超える。
力か魔法か
筋力、敏捷を超極大補正する代わりに魔法力が超絶ダウンする。
苛烈なる左腕
左腕での攻撃でのみ発動。魔法を無効化、スキル無効化、不死属性殺傷可能。筋力を極大補正。
である。は?補正しすぎだろ。てか魔法使えねーだろこれ!異世界と言えば魔法だろ!ふざけんなぁぁあ!
俺は絶望しつつ、音兎に尋ねる。
「音兎のスキルはどう?」
すると音兎は答えてくれた。
「えーとねこんな感じ。」
説明するとこうだ。
天上天下唯我独尊
魔法力を超極大補正。他のステータスにも大補正。全属性の魔法を使用可能。
魔法か力か
魔法力に極大補正。魔法力の回復量も極大補正がかかる。魔法のLvは10
千里眼
世界の全てを見通せる。また、ステータスや使用者の疑問にも答える。
創世魔法
存在しない魔法を創り出す。
である。
心の底から羨ましい。
「レオ…強すぎるでしょ…」
「え?そうなの?」
俺は音兎より弱いと思うけどなぁ
だって魔法使えないし。
「レオの筋力と耐久と敏捷の数値とんでもないよ!特に筋力!」
音兎は青ざめている。そんなに凄いのかな?俺は聞いてみた。
「どのくらい?」
音兎は少し貯めて答えた。
「私の千里眼がショートしてる。耐久と敏捷は?が並びすぎて頭が痛くなるし、筋力に関しては脳内が黒く染まって何もわからない…」
「は?音兎ごめんもう一回言ってくれる?お兄ちゃん耳が悪いかな?ハハッ…」
俺は乾いた笑いをこぼした。
「レオ。これは事実よ。私の千里眼が物語ってるわ」
これ凄いとかじゃないよね。もうディスガ〇アとかドラ〇ンボ〇ルの世界すら超えてるじゃん。
「レオ。筋力は絶対本気ださないで」
その顔は真剣であった。
そんなこんなで俺達は歩き出していたのだが
「おい!そこのガキ共!止まりな!」
後ろからの男の声に振り返る。
そこには30人は超える人間。恐らく来ている服、装備から見て盗賊。
「金目のものと…そこのお嬢ちゃんを置いてきな!そしたらおめぇは逃がしてやるよ…へへ」
頭と思われる大男は下卑た笑いを浮かべる。
音兎はその気色悪さに身震いして俺の服の裾を掴む。
俺は怒りを感じた。金目のものならまだいい。だが音兎だけは渡せない。大事な音兎に何するつもりだ!
「音兎、魔法で防音できるか?こいつらは許さない。」
音兎は頷き、魔法を唱える。
「ノイズカット・シールド!」
音兎を球体が囲み、魔法が完成する。
魔法の完成を確認した俺は右手を前に出し、指パッチンの構えをする。
盗賊達は何をするのか疑問があるようだが、迂闊に飛び込んでこないあたり、ただのバカではないようだ。
俺は確認すると同時に強めに指を鳴らした。
パッッッッチィィイン!!!
指から鳴るはずのない爆音が放たれ、その音の波は広範囲に広がる。
盗賊達は一斉に倒れ、例外無く耳と鼻から血を垂れ流した。
辺りを見ると鳥が墜落し、木からは葉がすべて落ちて森が消えた。
俺は予想外の結果に動揺して音兎を見る。するとーーー
「レオ?」
防音魔法を解いた音兎は怒っていた。
「なにしてんの!?魔法使えないんじゃないの!?」
「ちょっと強めに指パッチンしただけだって!」
いくら強くても所詮は指パッチン。10%も出てないだろう。
「え…?うそでしょ?私の魔法、念のため五重にしておいたんだけど残りのシールド1枚しかないのよ?」
「…ごめんなさい…」
空気が凍る。
「レオ…もう戦うのはダメ。」
俺は頷くことしか出来なかった。
「はぁ…仕方ないな。創世魔法!
タイムマジック!」
音兎はスキル、タイムマジックを使用した。するとみるみる内に森と鳥、盗賊達が息を吹き返す。
「うぁぁぁあ!」
意識を取り戻した盗賊は蜘蛛の子を散らす勢いで逃げ去った。
俺と音兎にはなんとも言えない雰囲気が漂ったのだった。
「レオ。指パッチン封印ね」
「はい…」
to be continued
こんな駄文を読んでくださった方、ありがとうございます!
あとの話と合わなくなるので少し変えました