俺、変なおっさんに合う
今朝、ギルドマスターの私に一封の依頼書が届いた。それは悲報というにはあまりにも悪い知らせ過ぎるものだった。内容はと言うと、
『依頼人
ギルティ=ロード
レオ=ハギタに告ぐ。
オト=ハギタの命は本日よりあと2年だ。期間内にネビル平野のベート古城の頂きにて待つ。
無論、他の者でも挑戦を待つ。
賞金
世界最強の称号
』
2年だと…そんなの不可能だ!
私はガラにもなく机を叩き、真っ二つに叩き割った。
「……今すぐ大陸全土に伝えろ。辺境の地や人気が無いところでも構わん。大陸に知らん者はいないように手配しろ!!」
秘書のピスラに怒鳴ってしまったがこの感情は抑え切れるものではない。
「はっはひ!」
ドタドタドタ!
「クソッ!主殿……」
♢♢
「……うそ…だろ!?」
俺は非常にまずい局面にぶつかっていた。
萩田獅音
Lv150
筋力 256
耐久 218
敏捷 196
魔力 163
魔法
身体能力二乗
レベルMAXに達してしまった。これはこれ以上の成長は望めないという事だ。
「どうしよう。」
その日は修行の片手間にどうすべきか考えていた。
この2週間修行し続けてきたから、いきなりやめるなんてことはできなかった。
「まぁ仕方ないよな。とにかくやらないよりはマシだろう。」
魔剣を使うか?いや、それでギルティに勝てるようになるにしても代価が足りないだろう。
このまま続けていてもステータスは上がらないし、魔法も身体能力二倍しかないし、スキルも……
「ん?」
スキル
剣術Lv7
全衝撃
ダメージを通過させるようなスキルを無効化し、筋力に比例したダメージを全て与える。
「スキル増えてるけど、対抗できるもんじゃないな。」
そして恐らく拡声魔法と思われる音が響いた。
『レオ=ハギタに告ぐ!』
え?俺?
『昨日より2年後にギルティ=ロードによる、オト=ハギタの殺害が予告された!場所はネビル平野のベート古城!なお、この放送は一月に一度の行う!繰り返す!昨日より……』
……
ふっざけんな!!!
音兎の命を賭け事に使いやがって!
人生で、最も怒気に包まれている俺は更なる修行へと怒気をぶつける。
クソッ!クソッ!
ズガッ!ズガッ!
大木を殴る音も以前に増して強くなっている。
「坊主。そのくらいにしとけ。」
「あ?誰だおっさん?」
「いきなりおっさん呼ばわりとは失礼だな。」
そう言い、おっさんは鼻で笑った。
のらりくらりとしてどこか掴みどころのない男だ。
「お前さんはなんでそんな暴挙をしてんだい?」
「……放送聞いただろ?俺がレオで妹が捕まってんだ。だから強くなんねーと…」
「なるほどねぇ。あんたが滅拳のレオか。だけどそれじゃ強くならねぇぜ」
「わかってんだよ!こんなことしてても変わんねえことくらい!でもやるしかねぇんだ!」
おっさんは含んだ笑いを放ち一転、真剣な表情で俺に問いかけた。
「お前さん、命を賭ける覚悟はあるか?」
ちなみに、一般人のステータスが魔力以外は100前後が平均くらいの設定です。




