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赤い糸  作者: kzy
8/20

帰り道

ダメージを負った僕はファミレスからの帰り道を優奈と肩を並べてに歩いていた。


家が近づくにつれダメージから回復してきた僕の隣で、優奈は辺りをキョロキョロ見ながら、こう言った

「ここら辺は全然変わらないね。良かったぁ」


久しぶりに戻った地元が変わらずある事が優奈にとって、とても安心する事だったんだろう。


「ねぇカズ君?今日は楽しかったね。ありがとうね」

そう言う優奈の笑顔は昔から変わらない無邪気な笑顔だった。


「なぁ優奈?どうしてあの話知っていたんだ?」

そう悠太や沙織にすら話していなかったあの玉砕を、何故か優奈は知っていた。


「んーどうしてだろ?忘れちゃった(笑)」

舌を出して、そう答える優奈。

(あーこりゃ答えそうにないな…)

昔からそうだった。一度忘れたと言えば、何があっても答えない頑固なのが優奈だった。


「ねぇねぇ?美奈ちゃんって、すごく可愛いよね?」

優奈は覗きこむように聞いてきた。

「あぁそうだな。」

なんだか冷やかされそうな気がして、ぶっきらぼうに答えた。


僕の答えが優奈の望んでなかったようで、優奈は頬を膨らませ軽く拗ねていた。


「それにしても皆変わってなかって安心したよ」

そう言って僕より数歩前に進んだ優奈は突然振り返り指を指しながらこう言った。

「特にカズ君!ホント変わってないよね。女心がまるで解ってない」

そう言う優奈は、口を尖らせ軽く怒っていた。


「どういう意味だよ?」

怒っている優奈が理解出来ず、逆ギレ気味に食って掛かった。


「真理ちゃんに振られた時だって、私が引っ越しする時だって…」

そう言う優奈の言葉はだんだん小さくなっていた。

「なんでもない!とにかくカズ君は女心がわからない悪い男の子なの!」

何かを隠すように無理矢理な回答を腕を振りながら答えた。


「なんだよ、それ。答えになってないじゃん」

「もーいいの。この話はもう終わり!終わり!」

何故か逆ギレ返しを食らってしまった。


「なぁ優奈?何で引っ越してくる事、俺には内緒だったんだ?」

そう教室で思っていた疑問を、優奈にぶつけてみた。

「沙ぁちゃんとは、メールや電話してたから、7月には教えてたよ」

(だから、なんで俺には…)

「ちょうど、その時ユウ君も一緒だったから、電話で教えたんだよ」

(いや、だから…)

「カズ君に内緒にしてたのはね…サプライズなの。怒った?ゴメンね」

そう言って後ろ歩きしながら、舌を出して謝る優奈。


「仲間はずれにされた気分だったよ」


「だからぁゴメンって。仲直りしよ」

そう言って、小指を立てて僕の前に出してきた。

そうこれは小さい時からの僕と優奈の仲直りの決まり事だった。

「はいはい」

納得はいかなかったが、こうすると、お互いの小指を絡ませ仲直りをするしかないので、僕も小指を立てて優奈の前に出した。

「指切りげんまん。仲直り!」

腕をブンブン振りながら、そう言った。

(ホントは嘘つかない約束でするんだけどな…)


「あっアタシこっちだから」

そう言いながら曲がり角を指指した。

「家まで送るよ」

「いいよ。家まで送ってもらったら、カズ君オオカミさんになりそうだもん」

舌を出しながらからかってきた。

「ばっばか。なるわけないよ」

少し焦り気味に答えてしまった。

(なんで俺は焦ってんだ?)


無邪気に笑っていた優奈が一瞬寂しそうな顔をしていた。


「ねぇ瞳おばさん、元気にしてる?」

寂しそうな顔を隠すように尋ねてきた。

「あっあぁ。元気も元気。暇があったら顔見せてやってくれよ」

「うん!」

一気に明るい笑顔になって答える優奈。


「じゃあね、カズ君。また明日学校でね。おやすみ」

そう言いながら優奈は、小走りに帰っていった。


「また明日…か」

そう呟きながら僕も家に向かって歩き始めた。



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