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撃沈…
「じゃあ、仲直りして、また付き合ったらいいんじゃない?」
手を叩き閃いたようにそう優奈は無邪気に提案してきた。
その提案に便乗したのか、からかうつもりでか沙織まで乗っかり困っている美奈ちゃんにこう尋ねた。
「どうなの、美奈?アンタまだカズの事好きでしょ?」
(沙織さん?どーゆう事?それは事実なのか?)
驚きと期待に慌てながらも、僕は美奈ちゃんにそっと目をやった。
耳まで真っ赤にして俯いていた美奈ちゃんは、胸元の制服のリボンをギュッと握り、勇気を絞ってこう答えた。
「カズ君の事、今でも…好き…だよ」そう言いながら、上目遣いで僕を見つめる美奈ちゃん。
(ホントかよ!?もしかして美奈ちゃんと…)熱い期待を抱きながら、僕も美奈ちゃんを見つめていた。
「でも…」
(でも?ん?)
「今は…カズ君の事…友達から仲良くなりたい…かな」
精一杯の勇気を絞って答えた美奈ちゃんに沙織は一言
「そうだね。美奈がカズのバカなトコいっぱい知った上で、まだ好きだったら付き合ったらいいんじゃない?」
そう応援している沙織の向かいで、僕は真っ白な灰になっていた。




