赤い糸
「じっじゃあ、私が一番長かったんだね…カズ君と付き合ってたの」
フリーズから生還した美奈ちゃんがポツリと囁いた。
「えっ」沙織と悠太がその言葉に驚き、美奈ちゃんを見ると、美奈ちゃんは耳まで真っ赤にして俯いていた。
「ねぇ美奈?あん時は驚いたよ、美奈からカズを紹介してって言われた時」
頬杖をつきながら沙織は付き合ったきっかけを話し出した。
「もぅ沙っちゃん恥ずかしいよ」さらに俯く美奈ちゃん。
確かに美奈ちゃんと付き合ったきっかけは、美奈ちゃんからの告白だった。
(じゃあ、何で2ヶ月足らずで別れる事になったんだろ?)
頭の回転が追い付かない。
「じゃあ、何で振ったの、美奈?」訪ねる沙織。
(ナイス!沙織、今日一番の手柄だ)
「えっあの…カズ君はすごく優しくしてくれたよ。夏休みいっぱいお出かけもしたし…」チラチラ僕を見る美奈ちゃん。
「じゃあ、チューしてくれなかったんだ?(笑)」茶化す悠太。
(後で説教だかんな、悠太)
「でも…カズ君たまに遠く見てて…一緒に居ても楽しくないのかなって…」
そう言うと僕の制服の袖をギュッと掴んできた。
「いやいや、美奈ちゃんといろんな所行って、いっぱい話してて俺はすごく楽しかったんだよ。だから俺は…」美奈ちゃんをじっと見つめながら答えていた。
驚きと続く言葉に期待を抱いてるだろう美奈ちゃんは、じっと僕を見つめていた。
(早く言って…)そう美奈ちゃんが想っていると信じた僕は…
「あっあのさ、美奈ちゃん。俺は美奈ちゃんの事…」そう気持ちを伝えるチャンスに言葉を震わせていると…
テーブルの向いから、笑いを堪えた冷やかしの視線を感じてしまった。
はっと我に帰った僕。そして、それに気づいた美奈ちゃんは、二人して顔を赤くし俯くしかなかった。




