地獄の始まり
僕達はテーブルを埋める食事を減らしながら、主役の優奈と過ごした昔話や、僕達が知らない町での優奈の過ごした3年半の話に華を咲かせていた。
「なぁ優奈、覚えてる?小学校の林間学校でのカズのあれ」
いきなり悠太は、爆弾話をぶっこんできた。
「あーあれねー」沙織まで乗っかり、悪い笑みを浮かべながら、僕の方を向いてきた。
「えーなんだったっけ?」口元に指を当てながら優奈は思いだそうとする。
(頼む!優奈思い出さないでくれ)そう願いながら僕は二人にこう言った。
「おい二人とも、昔話ばっかりじゃ、美奈ちゃんつまらないだろ」
悪い笑みを浮かべた沙織は、優しい笑顔で、美奈ちゃんにこう言った。
「美奈はカズのあれ聞きたくない?」
美奈ちゃんは、少し悩んだようだった…が
「カズ君の事、知りたい…かな」とポツリと答えた。
(えー美奈ちゃんまで??)慌てる僕を見ながら、優奈は思い出してしまった。
「あーあの夜の事だよね(笑)」
(おいおい優奈まで乗っかるなよ)そう思いながらも覚悟を決めるしかなかった。
「そーあの夜の事」沙織と悠太は声を揃えて答えた。
「カズ君が、真理ちゃんに告白して振られた夜の事だよね」
(え?なんて言った、優奈…さん?)
驚いた僕以上に驚く沙織と悠太。
(しかも、何で知ってるんだ、優奈が?)
(まさか真理ちゃんが優奈に話した?)
(いや、だったら沙織も知ってるはずだ)
「あのぅ、優奈ちゃん?何の話かな?」
驚く三人の中で驚愕の話題に悠太が疑問を投げ掛けた。
「えっだから、最終日の夜、カズ君が真理ちゃんに振られた話でしょ」
屈託のない笑顔で答える優奈
(終わった…)




