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思い出の場所6
「あれ?優奈は?」
遅れてきた沙織は辺りを見回しながら聞いてきた。
「あぁトイレだよ。混んでんじゃないか?」
「えっ?混んでなかったよ」
そう答える沙織は驚いていた。
「優奈ちゃん迷子なの?」
僕の腕を掴みながら聞いてくる美奈ちゃん。
悠太は、携帯を鳴らした結果を僕たちに報告した。
「電話出ないな」
「あの子ったら…」
腕を組ながら、この事を予想していたように沙織は呟いた。
「ねぇカズ。アンタ…」
その時だった。
「あ~沙ぁちゃん遅いよ~」
僕たちの心配を余所にポップコーンバケツを片手に歩いてきた。
「優奈!アンタって子は!」
詰め寄る沙織は、優奈の両頬をギュウと摘まんでいた。
「ひぁ~ひゃん。ゴメンなひゃい」
収まりがつかない沙織の肩を叩き、優奈の頭を撫で僕はこう諭した。
「さぁナイトパレード始まるぞ。早く行かないといい場所で見れないぞ」