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赤い糸  作者: kzy
11/20

お迎え

ピンポーン


皆と出かける朝、まだ8時だというのに、誰かが訪ねてきた。

「はいはい」

面倒くさそうに玄関を開けると、そこにはウキウキした優奈が立っていた。


「どうした?迎えに来るの早くないか?」

早すぎるお迎えに驚く僕。

「楽しみで早起きしちゃったから…」

モジモジ恥ずかしそうにキョロキョロしながら答える優奈。

(なんだ?何照れてるんだ?)

(はっ!)

そう僕はTシャツ一枚にパンツというだらしない格好で玄関に立っていた。


「あぁ、とりあえず中に入りなよ」

慌てる僕。

「う、うん」

恥ずかしそうに答える優奈。


リビングにちょんと座る優奈にお茶を差し出し

「し、シャワー浴びてくるから待ってて」

そう伝え僕は風呂場に向かった。


「お待たせ」

シャワー浴び、外出する姿になってリビングで待つ優奈に声をかけた。


「も~あんな格好で出てこないでよ」

顔を真っ赤にして怒る優奈。

(いや、早すぎなんだよ、お前が)

そう思いながらも、謝っていないと優奈は拗ねそうだった。


「ゴメンゴメン」


「ねぇ?瞳おばさんは?」

変わらない部屋を見回しながら尋ねる優奈。

「あぁ、夜勤だから、ボチボチ帰ってくるんじゃないか?」

「大変なんだね、看護師さんも…」

母に会えずに残念がる優奈。

「そうだな。まぁ年甲斐もなく夜勤までやってんだよなぁ」

「でも元気そうでよかった」

素直に喜ぶ優奈。

「まぁ元気なくせして、家事は全部俺に押し付けてくるんだよなぁ。だいたい…」

母がいない今だから言える愚痴を優奈にぶちまけていると、何故か優奈は視線を反らしていた。

(はっ!)

そう我にかえった瞬間、背筋が凍るのがわかった。


そっと振り返ると僕の後で仁王立ちしている母がいた。

「いい度胸だね、カズ」

そう言うと同時に持っていた鞄で殴ってきた。

(優奈…早く教えろよな…)


「瞳おばさん!久しぶりです」

喜びながら優奈は母に挨拶をした。


「えっ?もしかして優奈ちゃん?ずいぶんキレイになったわね」

母も喜びながら優奈を抱き締めていた。

「あっ優奈ちゃん?おばさんはつけなくていいから、昔みたいに呼んでいいのよ」

「はい!瞳さん」

「バカ息子が親のいない家に女の子連れ込んでると思えば、優奈ちゃんだったのね。まぁバカ息子にそんな甲斐性ないか」

母は、まだ優奈を抱き締めたまま、息子を批判していた。

「で、どうしたの?今朝は?」

尋ねる母に、今日の予定を思い出した二人。

「あ~もうこんな時間!、ごめんなさい、瞳さん。これからお出かけだから。また来ます!」

そう言いながら慌てて僕の腕を掴む優奈。


(コイツと一緒だといつもドタバタだな)

なんて考えながら優奈と待ち合わせ場所に急いで向かった。

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