初期設定をしよう
「初期設定を行ってください」
合成音声であろうその声に従って初期設定を行う。と言っても、戦争ゲームのではなくVRマシンのだ。
今日の日付や、俺のニックネームなどを決定して行く。
自分の名前、紫ノ宮 凉太から文字をとって……は面倒だから「リョウタ」いいや。
俺は目の前に浮かんでいるパネルを操作して設定を進める。操作している手は人のものではなく、白いプラスチックのような手だ。
……今更思ったけどVRってすごいな。自分のものではない手が自分のもののように動く、というのは不思議な感覚だ。
動きまわってみたいものだが、手首から手前は何も存在せず、動かせるものが手しか無いので無理だ。
さて、いよいよアバター設定なんだが……悩むな……
現実の自分に似せるか、自由に作るか。……自分に似せるか。
自分のアバターを作製していく。まずは髪だな。色は焦茶、短髪で、少しツンツンしている。顔は、ぱっちりしているのに目つきが悪いという謎現象が起きている目(目の下の隈が原因だと思う、アバターに隈は入れないが……)鼻は少し高め?だと思う。口は……普通の口?骨格も……普通かなぁ。頭は終了。なんか途中から疑問形になってたな……鏡が欲しい……
次に身体。身長は168、体格はデフォのまま普通で。
これでいいだろう。
完成した体で動きまわってみる。おぉ、すげぇ、リアルだ、重力とか。っと設定の続きをやらなきゃ。
残りの設定を終え、いよいよ戦争ゲームの世界へ。胸が高鳴る。
「ゲームを開始しますか?」
という声が聞こえると共に、目の前にパネルが現れる。
・はい
・いいえ
もちろん、はい、だ。