表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の姫君  作者: レイン
第一章~亡国の姫君、そして異世界~
6/14

第五話

大変遅くなりました。

続きです。

              異世界の姫君

         第1章~亡国の姫君、そして異世界~

               第五話


 頭を下げられて頼まれた誠二の答えは単純だった。


「いいよ、元からそのつもりだし。俺になにが出来るか分からないけど、出来る限りの協力はさせてもらうよ」


 誠二は微笑みながらそう言うと徐に立ち上がり言葉を続ける。


「じゃぁまずは庭に行ってみようか」

「庭、ですか?」


 首を傾げるエリフィアに誠二は、ああと言って答える。


「君が現れたところだからね。なにか帰る手掛かりがあるかもしれない」


 それを聞いたエリフィアは、なるほどと言って席を立つ。そして立ったエリフィアを再度見て誠二はふと感じたことを聞いてみた。


「君って肌が異様に白いけどあまり外にはでなかったの?」


 そう聞かれたエリフィアはきょとんとした顔で答える。


「いいえ。城下町にはよく出掛けましたし中庭での剣術指導なども受けてました」

「じゃあその肌の白さは血筋ってこと?」

「そうですね、公族の方々は大抵肌が白いですが私は特に白いようです。それがどうかしましたか?」

「いや、今この国は夏季で太陽の光が強いんだ。肌が弱いんだったらなにか防護する物が必要だなと思っただけなんだけど、そういう訳じゃないならいいんだ」


 再びきょとんとしたエリフィアはふっと微笑んだ。


「お気遣いありがとうございます。肌が弱いとかそういうことはないのでご安心ください」

「あ、ああ」


 エリフィアの微笑に心臓が跳ねた誠二はどもりながら返事をして少し紅潮した顔を隠すように先に歩き出し部屋を出た。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 リビングの向かいにある和室から庭へ出る二人。

 外に出た途端に汗がどっと噴出する。どうやら先程水撒きしていた時よりも気温が上がってるようだ。この家の庭は乗用車が2台は停められるくらいの広さがあり縁側のちょうど目の前に母の花壇がありその左側に洗濯物を干す物干し竿が支柱に支えられて伸びている。花壇の右側には物置があるが中はあまり使われてない。


「あっついな……。また気温上がったか?」


 庭の中ごろまで進んだ誠二は雲の点在する空を仰いで呟く。その後ろではエリフィアが暑さのあまり呻き声を上げる。


「うぅ、本当に暑いですね……。四季のあるグランディアでもここまで暑くなったことはありません」

「今年は特別暑いみたいなんだ。っていうかそっちにも四季あるんだ」


 エリフィアの言葉に少し意外だったという感じの誠二だが、人間が住んでいて文明があるのなら季節というものがあっても不思議じゃないと思い直す。


「はい、新緑の節、深陽の節、赤葉の節、深氷の節と4つあります」


 異世界の四季もこちらとあまり変わらないようだ。


「んじゃまずは君が現れた場所だけど、ちょうど君が今立ってるところがそうなんだ」

「ここ、ですか?」


 エリフィアは自分の周りを見回す。


「あぁ。そこになんか光る魔方陣みたいなのがあってそこに君が現れたんだ。でも君が現れたら魔方陣はすぐ消えたけどね」

「なるほど……」


 そういってエリフィアは自分の足元とその周りをじっと観察する。暫く観察していたエリフィアは違和感を感じ始めた。そして地面の1箇所が小さく窪んでるのに気づく。

 よくよく見てみるとそこを中心になにか溝のようなものが地面に掘られてるのに気づく。


「どうかした?」


 エリフィアが地面の一点をじっと見てるのを不思議に思った誠二が声を掛ける。


「いえ、何か見覚えのある、模様が」


 そう言ってエリフィアは数歩後ろに下がる。そこでなにかに気づいたような表情を浮かべると誠二に向かって半ば叫ぶように言った。


「これは祭壇に描かれていた魔法陣です!」

「えっ!?本当!?」


 誠二は驚きながらエリフィアの見ていたところに近づく。すると確かになにか模様のようなものが彫られてるのが分かる。魔法陣の現れた場所と一致するのを考えるとエリフィアの言ってることは間違いないだろう。


「ん?この、窪みはなんだろう?」


 エリフィアも気づいた窪みに誠二も気づいたのか屈んで窪みを調べ始める。窪みから走ってる溝を辿ってその窪みが陣の中心なのだと気づく。そしてエリフィアを見て問いかける。


「これは祭壇の魔法陣と同じだって言ってたよね。この中心の窪みにはなにか嵌め込まれてたのかい?」

「はい、確か『イリブの輝石』と言う宝石だと聞いています」


 それを聞いた誠二は、ふむと考えながら立ち上がる。暫く思案してたが徐にエリフィアを見て言う。


「とりあえず、一度その魔法を使ってみよう。それで君が帰れれば御の字だし、駄目でもそのときはまた考えればいい」

「そう、ですね。……やってみます」


 誠二の提案を聞いたエリフィアはなにか考えてる様だったが一つ大きく頷くとその提案を受けた。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 結果で言えば魔法は発動しなかった。

 エリフィアの朗々と歌うような長い詠唱を陣の外で聞いていた誠二だが何一つ変化が見られず詠唱は終わってしまったのだ。


「ダメ、か……」


 落胆の色を隠せず呟くエリフィア。その様子をずっと傍らで見ていた誠二は彼女に言った。


「そうでもないかもしれない……」

「どういうことですか?」


 それを聞いたエリフィアは誠二に問いかける。


「とりあえず一旦家に入ろう。俺も考えを纏めたいし、君の知識との照らし合わせもしてみたいからね」


 そういって縁側を上って家の中に入っていく誠二。エリフィアは「わかりました」と言ってその後について家に入っていく。





☆ ☆ ☆ ☆ ☆





「まずはとりあえず俺の話を聞いて欲しい」


 リビングに戻って冷えた麦茶を出して落ち着いたところで誠二はそう切り出した。エリフィアは頷いて答えた。


「まず最初に、俺の、というよりこの世界では魔法というものは空想上の技術なんだ。色々な創作された物語に古くからある、物語だけの技術でそのなかにも召喚魔法というものはあるんだけど、召喚魔法というのは大抵デリケートな魔法という風に作られてる。

 そして魔法陣の一部に不思議な宝石が使われてるっていうのもよくある話なんだ。」


 そこまで言って一度話を切った誠二は麦茶で喉を潤してから続きを話し出す。


「さらに言えば、召喚魔法はなにか一つでも要素が欠けたら発動しないっていうのも定説だったりするんだ。だからこの場合君の魔力、詠唱、そしてそのイリブの輝石という宝石だ。この三つの要素のどれでも欠けたら発動しないってことだ。」

 それを聞いたエリフィアは半ば絶望したような表情で大きく肩を落とした。


「そんな、それでは私は帰れないのですか……?」


 そんなエリフィアの切実な質問にしかし誠二は首を振って答えた。


「俺はそうじゃないと思ってる。まず思い出して欲しいのが、そもそもの禁術の効果なんだ。君の話では禁術は異界から『何か』を召喚する魔法ということだけど合ってる?」

「はい、そうです。初代大公は禁術で大きな怪物を呼び出したと言われてます。そして二代目大公は巨人のようなものを召喚したと伝えられてます」


 それを聞いた誠二は大きく頷きなにか確信を持ったような表情で続きを話す。


「そう。本来なら君がその祭壇で禁術を『正常』に使っていたら歴代術者と同じように異界から『何か』を召喚したはずなんだ。それがなぜ異界から召喚は出来ず、術者本人が異界に飛ばされたのか。それを考えればこちらから君の世界に帰ることも出来るはずだ」


 その誠二の言葉にエリフィアは口元に手を当てて考え込む。誠二は黙ってエリフィアが考えを纏めるまでじっと待った。


「血。……そう、血です。私が禁術について教わったことの中に術者の血を捧げるというのはありませんでした。そして私は術を発動する直前に腕に矢を受けて出血してました。その血が祭壇に与えられたとすれば、そして誠二さんの話と合わせると何が起こってもおかしくない、ということですか」


 自分の考えを確かめるようにゆっくりと、しかししっかりとした口調で自分の答えを話す。


「うん、俺もそう思う。じゃぁ早速やってみるかい?」

「はい。私も出来るだけ早く私の世界に戻りたいですし」

「よし、じゃぁもう一度庭に出てみよう」


 そう言って二人は席を立ち再び庭へと向かった。


実はこれ、PCで文章製作ソフトを使って書いてるのですが

PCと携帯・スマホとで表示が違うので

タイトル

章名

サブタイトルの配置を投稿時はPC基準で真ん中にしてるのですが

そうすると携帯・スマホでの表示にズレが出てしまい読みにくくなってしまうみたいなんです・・・。

そこはいまいち分からないので(今のところ)御了承ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ