第一話
異世界の姫君
第1章~亡国の姫君、そして異世界~
第一話
8月。夏真っ盛りの今日この頃。
例年よりも暑くなるだろうと言う天気予報での予報通り、今日も最高気温が32度と予報され事実今も庭で花壇の花に水やりをしてる青年の肌をじりじりと焼いている。
「暑い・・・・・・」
青年の名は九場誠二。今年の春に高校を卒業し現在はバイト生活の日々。両親はともにいない。父は中3の時に兄と共に交通事故で他界、母も去年の10月に病死。今は兄が生まれた後に購入した一軒家に一人暮らししてる。生活費などは両親の保険金があるので困らないのだが、本人は受け取った保険金を使う気がないので銀行に預けたままでバイトで生活費をやりくりしてるのである。どうしても足らない時などはその都度引き出して使ったりしてるがそれもたまにでしかない。
彼が今水をあげている花壇の花々は、生前母が大事に育てていた物だ。母は花と何故か刀剣の趣味を持ち目の前の花壇と家の中の母の部屋には骨董品の日本刀などが置かれている。ただ、母の家系は武家だったらしくこの家には実家の家宝だと言う日本刀が居間に飾られている。誠二も子供のころその家宝の日本刀を見せてもらったことがあるが、確かに家宝と言うほどの物なのは素人目にも分かった。
父の趣味がキャンプ、というよりサバイバルだったので外で遊ぶのが好きだった誠二はよく父に連れられて山にサバイバルに行ってたことがあるのでそこそこのサバイバル知識があったりする。中3までは剣道をやっていた誠二だが父が巻き込まれた事故の際誠二も同じ車に乗ってたのだが運良く足に重傷を負う程度で済んだのだがその怪我が原因で剣道が続けられなくなり、高校に上がった時はアウトドア部なるものに入りその際に父が生前使っていたサバイバル道具を物入れから引っ張りだし今も現役で使っている。
暫く花壇に水をあげていた誠二だったが、徐にシャワーヘッド状のホースを真上に上げる。当然ホースから出続ける水は上に向かって放射されるが重力に負けて下へと振って来る。
「はぁ~。きもちいぃ~」
降りかかる水滴が誠二の火照った身体を冷ましてゆく。
と、その背後。庭の一角が突然光り始めた。水浴びをしてる誠二はそれには気づかなかったが、いきなりズンッという下から突き上げるような衝撃に驚き持っていたホースを落とす。
「うお!な、なんだ!?地震か!?」
驚きにきょろきょろと辺りを見回す誠二。その時目の端に地面が光ってるのを見つける。そちらにゆっくりと顔を向ける。
「な、なんだこれ・・・・・・?」
目を見開いて呟く誠二。目の前の現象に思考が止まる。と、その光ってる所に徐々に人の輪郭が浮かんでくる。それに思考が動きだす。段々はっきりしてくるその人影は小柄で華奢な四肢の銀髪の少女だと分かる。そして完全にその姿が現れるのと同時に光りが急激に弱まって、すぐに消えてしまった。
誠二はその少女の姿に呆然としていた。いや、見惚れていたと言うほうが正しいかもしれない。だが、立っている少女の体が揺れだして、倒れた。そのことにはっと我を取り戻した誠二は少女に駆け寄る。
「お、おい!大丈夫か!?」
少女に駆け寄ると彼女が腕に怪我をしてるのに気づく。顔は蒼白く、苦悶の表情を浮かべている。誠二はとりあえず手当てをしなければと少女を抱えて家に戻る。
少女の二の腕にあった傷を手当し、来客用の部屋のベットに寝かせると頭が冷えて冷静になってくる。まず、思うのはこの少女は何者なのか?先程の現象はなんだったのか?考えても分かるはずもない。だが誠二は同時になぜかこの少女との出会いが長く大きな出来事の前触れでしかない、そんな風に感じていた。
今回は主人公とお姫様との出会いのさらに冒頭部分で終わらせます。
文末から続けて書いても良かったんですが書いてるとなぜかきりのいい文章に・・・。
ですので次回はお姫様が目覚めて主人公と対面して状況確認、そして出来れば次回で異世界へ行くとこまで書きたいw






