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異世界の姫君  作者: レイン
序章
1/14

プロローグ

                        異世界の姫君

                        プロローグ




 森の中を二つの影が走ってゆく。

 一人は小柄で華奢な長い銀髪を持つ少女。一人は銀髪の少女より頭三つは背の高い男だ。二人は何かに追われるように切羽詰った表情で森の中を駆けてゆく。


「姫様、大丈夫ですか?」


 背の高い男が後ろを走って付いてくる少女にそう訊ねる。


「はい!だい、じょうぶ、です!」


 姫様と呼ばれた少女は息を切れさせながらもそう答える。


「祭壇までもう少しです!がんばって下さい!」

「はい!」




 ここはグランディア公国の首都、公都グランシスの裏手にある森だ。森と言ってもそこまで深くなく、規模でいえば雑木林程度だが木の一本一本の背が高く枝もかなり広く伸びているので中に入ってしまえば日は殆ど差さず、雨でも降ろうものならじめじめとした空気に包まれ日の差さない風景と相まってそこまで深くないにも関らず鬱蒼とした雰囲気を醸し出す。

 背の高い男の言った祭壇とはこの森のなかに設けられた古い祭壇で、姫様と呼ばれた少女の一族、つまり王族が代々封印してきた禁忌の祭壇と呼ばれるものだ。封印されてることからも分かると思うが祭壇は立ち入り禁止区域となっており王族ですらも大公以外は立ち入ることを禁止されてるほどだ。

 ではなぜそんな所へ姫、つまり公女である少女が向かっているのか。それは・・・


「まだ、爆音が聞こえる・・・・・・」


 少女が走りながら振り返りそう呟く。

 そうグランディア公国の公都は現在敵国からの攻撃に曝されて混乱の只中にある。

 敵はバルドラン帝国。ここ数年で力を付け始め1年ほど前から他国へ侵略を始め、すでにいくつかの国は帝国の手に落ちてしまっている。そして今日。昼頃には帝国軍の接近を確認。1時間足らずで交戦。日が落ちる頃には王都の中への侵入を許し、現在はグランディア城が主戦場となっている。少女は王都に敵が侵入してきた時点で大公に”祭壇へ行き禁術を使え”と言われ、親衛隊隊長のラハールを護衛に城の抜け道から公都を抜け出して、現在祭壇へ向かって森の中を走ってるところだ。


「姫様、祭壇が見えてきました!」


 敵国の攻撃に曝されてる城とそこにまだ居るであろう大公や后妃の事が気になりながら走ってると、前方を走るラハールから声が掛かる。前の方を見ると確かに祭壇と思しき石造りの柱や舞台のようなものが見えてきている。祭壇はみるみる近づいてきて、あっという間に舞台のような所の前にきた。

 祭壇は一段高い所に出来ており、円形の舞台のようなものがそのまま祭壇としての役目を果たしているようだ。舞台の四隅には大人の男性二人分くらいの太さの柱が立っており、蔓が絡まっていたりと古さは感じるがどこも崩れたりはしていない。それは舞台も同じで、年月を考えたらかなり不自然だが不思議とそれが当然だと感じてしまう雰囲気が漂っている。


「これが、祭壇・・・・・・。」


 少女はそう呟くと祭壇へと歩を進める。祭壇は少女の腰くらいの高さにあり、上る為の階段が設置されている。

 階段の前へきた少女はラハールへと振り向く。ラハールは無言のままゆっくりと頷いた。それを見た少女は意を決するように階段を上っていく。

 短い階段を上りきり祭壇の中央へ進んでく少女は中央の床に水色の宝石のような物が埋め込まれてるのに気づく。さらにその宝石から縦横に2本の線が外側に向かって伸びているのが分かる。そしてその2本の線が各々左右に折れ曲がり、舞台の形に添うように曲線を描いているのが見て取れる。2本の線は折れ曲がり、曲線を描き、何重にも見える円を描きながら外側に向かって走っている。一番外側には小さな文字がびっしりと書かれてる。

 それらを見ながら少女は祭壇の真ん中へと辿り着く。そして目を閉じて意識を集中させ身体の内にある魔力を身体の中心に集める。

 ゆっくりと目を開く少女。少女は次にその小さな口からこの世界のどの国や時代でもない言葉を囁き始める。それは囁くように、歌うように、叫ぶように。少女がそれを始めてから1分ほどしたころにそれは起こった。

 祭壇の中央に埋め込まれてる宝石が輝きだし、外周に書かれてる文字も同じように光りだした。少女はそれに構わず囁き続ける。そして輝きは次第に祭壇全体に及んでく。それから少しして少女の囁きが終わる。あとは最後の呪文を唱えるだけとなった時に祭壇を囲む森の奥、方角からして王都の方から何かが飛んできて少女の腕を掠めていった。


「っっつ!」


 いきなりの事に顔を顰める少女。


「姫様!」


その事に声を上げるラハールは何かが飛んできた方へと振り向き、剣を抜き構える。

 森の奥から現れたのは攻めてきたバルドラン帝国の兵が5人ほど。それを確認するとラハールは舌打ちし少女の向かって叫ぶ。


「ここは私が押さえてますから姫様は術の完成を!」


 言うが早いかラハールはそのまま敵兵へと突っ込んでいく。

 少女はラハールに声を掛けようと口を開くがそれでは彼の思いを無駄にすると思い、術を発動させるべく最後の呪文を声高に唱える。


「次元転送!召喚陣発動!!」


 そう唱えた瞬間、祭壇が眩しいくらいに輝き少女の身体が光りに包まれてく。

 そして数秒ほど輝いてた光が収まったころには、少女の姿は祭壇の上から消えていた。


まずは読んでいただきありがとうございました。

これを載せてる時点ではまだこのプロローグしか書いてないので第1章がいつできるかはわかりませんが、プロット的なのは一応あるのでそんなに遅くはならないと思います(多分・・・)

更新速度はばらばらだと思いますがなるだけ速く上げることが出来るよう頑張ります。

それではこれからよろしくお願いします。


改稿1/13:王都→公都 国王→大公

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