第4章・目が覚めたら羽が生えてた!? the angel magister
自分の投稿ペースが凄く遅い気がする・・・
あの大事件が起こった翌日の朝。
俺はカーテンから差し込む陽光に照らされ、目を醒ます。
身体を伸ばして背伸びをすると、背中に何か引っ張られるような感覚。
「ほわぁ・・・・・・眠い・・・」
一瞬違和感を感じたその声に、昨日から事情がなにも変化していない事を思い知らされる。
ドア横に立て掛けられた姿見に映る自分の姿――昨日あのまま直ぐに寝たから魔法少女のコスプレのまま――は昨日と同じ少女のままだ。
美少女と呼んでも過言ではない程の少女は、澄んだ紫翠色の瞳を辟易に染めている。
長い漆黒の髪は白い羽毛布団に美しいコントラストを刻み、今はもう紅くはなっていない左目にかかるのは一房の白銀。それは昨日と変わらず艶のある黒に映えている。
衣装に皺が入っていないかと自分の姿を見ると、控えめとは言えある程度はある胸が目に入る。
そして気づく。周囲に羽毛が散乱している事に。
「うわ・・・」
おおかた布団が破けたのだろう、片付けるのも面倒だったのでそのまま階下の居間へと足を運ぶ。
そこには冷めてしまった朝食とメッセージカードのみがあり、優姫の姿は何処にもなかった。
(どこ行ったんだ・・・?)
などと考えるが、俺のために早めに飯を作ったが寝てしまったというところだろうと結論を付け、腹も減っていたのでチンして食べる。
・・・うん、やっぱり美味いな。
一度覚めても美味しいご飯を味わいながら食べる。
しばらくして食べ終えても優姫は起きてこない。
(まぁ、いいか)
そう考え、昨日風呂に入っていないという重大な事象を思い出してしまう。
「よし、風呂に入るか」
微塵の躊躇も無く、一日の中で風呂の時間を最も至上とする俺はそれを決める。
更衣室の前まで着いた時、着替えをどうするかという問題が浮かぶ。
が、それはすぐに解決する。
ちょうどその時、洗面所ともなっている更衣室、その扉を開けて優姫が入ってくる。
「・・・あり?お兄ちゃん、なんでここに?てか、なんですか背中に生えたその羽は?」
今更気付くが、この姿になってから一回も兄としか呼ばれてない事に思い当たり、違和感を覚える。が、そんなものは後に続く、眠たげな目を擦る優姫の言葉に霧散する。
「・・・羽?」
なんのことかと鏡を見ると、そこに在る美少女の姿、その背に一対の翼が生えていた。
「なんじゃこりゃ?」
好奇心のままに触れてみると、わずかにプニプニとした質感がある。手が当たる感覚もあり、だがそれは俺の着る衣装を貫通していた。
イメージすればそれは自分の意思で操る事が出来た。飛べるかどうかも試したいがこの狭い場所でやったら大惨事が起こりそうだ。
「ふーん、女の子になったと思ったら今度は天使の羽ですか・・・面白いですね、解剖してもいいですか?」
「いやいや遠慮しときますよはい」
必死になって拒否すると、
「ま、冗談ですけど」
「怖いこと言うなよ!?」
背筋が凍った。
「それはさておき・・・風呂に入りたいけど替えの服が無くて困ってる、てとこですか?」
あれだけの事を言っておきながらまだ完全には起きていないのか、短めな金髪のツインテールが、頭と共に45度くらい傾けて聞いてくる。
通常なら言葉に詰まる所なのだろうが、一刻も早く風呂に入りたい俺はそんな反応など思い付くことすらなく即答する。
「ああそうだ、我は実に困っている。だからさっさと着る服を貸すがいい」
鷹揚と返すと、優姫はなぜか少し驚いた様な表情をし、そしてすぐに理解と納得を瞳に映す。
「うん、分かった。ちょっと待ってるです」
どたばたと階段を駆け上がる音、そしてしばしの間を置き今度は降ってくる音。
扉が開き、
「はい、これで良い?着方分からなかったら呼ぶですよ~」
「うむ、大儀であったぞ」
立ち去った優姫に手渡された服らしき布群を横の台に置き、俺はなるべく自分の姿を見ないように服を脱いで風呂に入った。
が、そんな涙ぐましい努力にも意味は無かった。
浴場に入ってすぐ、置いてある鏡で自分の姿を見てしまったのだ。
バッチリと、何から何まで、即ち頭のてっぺんから綺麗な足の指先まで全部を。
腕や腰は触れれば折れそうな程に細く、肩も小さい。そして病的という程ではないが純白と言い切れ、さらに最高級の絹のようにキメの細かい肌。それは少し触っただけでも沈んでいく柔らかさだ。
それはまさしく禁忌の術法に依って魂を吹き込まれた人形のようで。
小さいとはいえ確かにあり、将来に期待できそう(希望的観測)な発展途上な胸、そしてピンク色なその先端。そして下の方のアレまで諸々が見えてしまっていた。
長い黒髪も純白の翼も、本来の(?)その役目を果たすことは無く、小柄な体躯を隠すことなくさらけ出している。
自分のものなのに、可愛い顔は見るからに羞恥の色に染まっていく。
・・・女の裸というものに耐性がない俺は、卒倒して気絶した。
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目が覚め、体を起こすとそこはリビングのソファーの上だった。
「目は醒めたですか?」
優姫の少し怒りが込もったような言葉。
そして至極当然な疑問を投げる。
「俺はあの後・・・どうなったんだ?」
そして後悔する。その台詞を口にしてしまったことを。
「はぁ・・・聞驚くですよ、お兄ちゃんはあの後気絶していたのを運良く扉の前で突入・・・いえ、偶然通りかかった私に倒れる音を拾われて救助されたです」
・・・今何か変な事を聞いた気がするが、きっと気のせいだろう。
「で、その後は?」
「・・・自分の今着てる服を見てみるですよ」
「ん?服?どういう・・・って、着替えてる?」
下をみてあの少女の裸を思い出し赤面しつつ、自分の姿を見ると、そこにはシンプルな緑のワンピースを着、脱げかけて腰のあたりに留まっている茶色の分厚いコートの裾を手に絡ませ、
腰の辺りまであるロングストレートの黒髪は、今は白いリボンで軽く後ろに纏められている。
そして自分では見えないが、背中の感触から翼も消えていないのだろう。
そこまで考え、いつ着替えたのかという所に思考が到達する。
そしてそれは顔に出ていたらしく、優姫が返答してくれる。
「着替えさせたのは私です。そしてついでに身体も洗っておきましたよ」
・・・いかに身内で今は同性でも妹に裸をみられるのは恥ずかしいな、うん。
・・・それより、なんか怒っていらっしゃる?
「ですが、なにをやったらあそこまで綺麗な髪に完璧なウエスト、シミ一つないあの柔肌・・・そしてなによりあの可愛さ!元がロクに手入れもしていなかったあのお兄ちゃんだとは思いたくありません・・・殺しちゃいたいくらいですよ・・・」
・・・・・・女って怖ぇぇなぁ、オイ。
修羅の形相でこちらを見る優姫にそんな事を考える元男で今は魔法少女な俺であった。
主人公はロリコンだったとは・・・自分でも驚きですww
そんなつもりは・・・まぁなかった訳でもないです、はい