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信号機  作者: ねこぬ
1/1

信号機

「なにかに不満を持って生きていそう」

彼は私にそういった。

私はそんなに不満そうな表情をしているのか。彼からの印象が悪そうで自分自身に嫌悪感を抱いたが、すぐに信号機のことを思い出した。

――――――――――――――――――――――――

ずっと不満に思っていたことだった。

小学生のとき通学路でいつも使っていた信号のことだ。

私は、緑色の人のすぐ横の丸が減っていくと赤い人に近づくということを知っていた。

だから、それを見ながらゆっくり歩いても大丈夫か、走れば間に合う距離かどうかを判断していたのだ。

しかし、いつもそれが正しいわけではなかった。まだ3つ残っているその緑の丸は一気にすべて消えてしまうことがある。

それでは意味がないではないか。と規則的に消えない丸に大学生になった今まで、ずっと不満を持っていた。

――――――――――――――――――――――――

「信号機の丸が規則的に消えないこととか?」

私はなるべく可愛らしく答えるように頑張った。

「なにそれ。」

優しい彼は笑いながら答えてくれる。


その日は彼との初めてのお出かけだった。高校生の時に好きになって、大学に進学してから勇気を出して声をかけたら了承してくれたので、2人で映画を見に行ったのだ。


帰りに、「家まで送ってよ。」と彼に頼んだら、快く「いいよ。」と言ってくれたので、電車を使わずに歩いて映画館の最寄駅から一つ先の駅まで行くところだった。


彼と歩く道の途中に、途中にさっき話した信号機があった。これだ。

「ねえ、これ!まじで消えるから見てて!」

私は興奮気味に彼に話しかけた。

「じゃあ見とくわ。」

彼はそう言うと緑の人の横の丸に注目した。

彼とその丸を見ながら横断歩道を渡った。 

緑の丸は一個、また一個と減っていったが、次の瞬間、まだあるはずの丸は消えた。3つ表示されていた丸は彼が私の方を向いたときに間違いなく一気に消えた。

彼は見逃した。と私は思った。

「消えたって!見た!?絶対消えた!」

「いや一個ずつ消えてたよ。」

と彼は言った。

そんなこと言いながらゆっくり歩いていたのに、彼が

「じゃあもう一回見る?」

といって、赤い人が緑の人に変わるところを一緒に待ってくれた。

緑の人に変わって、注意を払って丸を見つめたが、今度は一個ずつ消えた。彼とやっぱりなんでもなかったことを確認してまた駅に歩き始める。

私は信号機の丸が何個消えたとか、その時はどうでもよかった。彼が一緒に待ってくれたのが嬉しかった。

駅につき、彼を見送る。

楽しかったと精一杯の感謝をそのとき伝えたと思う。

高校生の時から、わかりきっていたことだ。彼からの好意を感じることはできなかった。

でも好きだった。

後日、遊びに誘ったが、大学に気になる子がいると言われた。気になる子がいるのに女の子と2人で遊べないと断られた。

いい人を好きになった。私のことを女の子だと思ってくれるし、好きになった子を大切にするいい人だった。私は彼が好きだった。

私のインスタの投稿にいいねをつける彼は罪な男です

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