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この世界では最弱職とされている『モンスターテイマー』ですが私のせいでその評価が覆りそうです!  作者: おおこがねい いぶきん
第一章  ——異世界へ

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第4話 初依頼、響いた声

森で薬草を集め、依頼を終えた私は、その足でギルドへ戻ることにした。

夕刻の風は涼しく、町の屋根の向こうでオレンジ色の陽が沈みかけている。初めての冒険で緊張していたはずの心が、今は少しだけ弾んでいた。


「キュイッ」


肩の上のコハクが鳴き、尻尾で私の頬を軽くくすぐる。まるで、労ってくれているかのように。


「コハク……今日はありがとう。ルゥも」


足元でスライムのルゥが「ぷるん」と体を揺らした。


薬草の入った小袋を抱え、ギルドへ入ると、いつもの喧騒が耳に飛び込んでくる。

冒険者たちは酒を飲み、剣を手入れし、今日の成果を自慢げに語り合っている。


そんな中、テイマーの私が入ると、何人かがちらりと視線を寄越した。


「お、テイマーの子じゃん」

「薬草採取とか、ほんと地味な依頼しかできねぇんだな」

「その狐? ただのペットだろ。かわいいけどな」


からかうような声が聞こえた。

悪意というよりは、鼻で笑うような――「最弱職」を見下す空気。


私は聞こえないふりをして受付に並ぶ。


今日の出来事を思い返した。


森に入ったとき、確かに私たちはゴブリンに囲まれた。

あの瞬間、心臓が凍るほど怖かったのに――


ルゥは私を守るように光り、コハクは誰よりも前に飛び出して威嚇してくれた。


その動きは、私の意思を汲み取ったかのようだった。


そのとき――

肩のコハクが、鳴き声ではない「声」を発した。


――アヤノ、怖いの? 大丈夫、ぼくがいるよ。


「……!」


気のせいかと思った。幻聴かと思った。

でも、コハクの赤い瞳が私を見つめたとき、確信した。


「……コハク、今……喋った?」


「キュイ?」


とぼけるように鳴いたが、尻尾がゆらゆら揺れている。

まるで「バレた?」と言わんばかりに。


(ルゥも、私の指示を待つだけじゃなく、私を守るように動いてくれた……)


けれど、その素晴らしさを、きっと誰も信じてはくれない。


案の定、後ろから声が飛んだ。


「おいおい、薬草採取でそんなに疲れたのか? テイマーの魔物なんて、すぐ逃げるだろ」

「狐とスライムなんかじゃ、ゴブリン一匹に勝てねぇよ」


私は苦笑で返した。

本当のことを言うつもりもなかった。


(……この力は、まだ誰にも信じてもらえない)


受付嬢が薬草を受け取り、微笑ましげに言った。


「お疲れ様でした、アヤノさん。無事に帰ってきてよかったですね」


「はい。なんとか……」


受付嬢は優しいが、それでも“普通の初心者テイマー”としての扱いだ。


ギルドを出ると、コハクが首をかしげて鳴いた。


「キュイッ?」


――気にしなくていいよ。ぼくがついてる。


また、心に直接語りかける声が響く。


胸の奥がじんと温かくなった。


「……ありがとう。コハク、ルゥ。

私、もう少し強くなりたい。みんなに笑われてもいい……でも、いつか必ず認めさせたい」


ルゥが「ぷるる」と震え、コハクが「キュイッ!」と鳴いた。


ギルドの外に沈む夕陽が、三つの影を長く伸ばしていた。


テイマーは最弱職。

ペット扱いの魔物しか扱えない――そんな偏見だらけの職。


でも。


(私たちなら、きっと変えられる)


そう、静かに決意した。次の日、ギルドに向かうと昨日とは違う視線が私たちに向けられていた———

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