第10話 本戦2回戦:高速双剣+風魔法レンジャー
優勝候補を破った興奮も冷めやらぬ中、アヤノたちは再び広場に立っていた。次の対戦相手は、スピード特化のチーム――双剣を軽やかに操る青年と、風魔法を自在に操るレンジャーの二人組だ。
「……こいつら、足の速さだけで勝負してくるタイプか」
アヤノは深く息を吸い、コハクとルゥの姿を見やった。二匹は小さく身を揺らし、光が淡く滲む。
《アヤノ、あの二人、動きが予測できるかも》
《風魔法は読みにくいけど、連携次第で防げるよ!》
胸の奥に温かい感覚が広がる。加護――二匹の魔物が自分に力を託し、意識の中で呼吸を合わせてくれている。アヤノは自然と心が落ち着き、次の動きを予感する。
「行くよ……コハク、ルゥ、私たちの力、全部使おう」
《任せてっ!》《もちろんだよ!》
ゴングが鳴る。
◇ ◇ ◇
戦闘開始直後、双剣使いが宙を舞い、素早く斬りかかる。
「速い……!」アヤノは一歩後退するが、同時にコハクが光を帯びて横に滑る。ルゥは小さく跳ね、風魔法の軌道に光の帯を描いた。
(加護……視界が変わる! 二匹の動きが、相手の意図を知らせてくれる!)
双剣の攻撃は、加護によって微妙にずれ、アヤノの体をかすめる程度に収まる。ルゥの光の軌跡がレンジャーの目を惑わせ、風魔法の威力は完全には発揮されない。
「……なるほど、これが加護の力か!」
アヤノは心の中で二匹に語りかける。『今だ、こっちに誘導して!』
その意図を汲んだコハクとルゥは、ぴたりとタイミングを合わせ、幻影のような動きを作り出す。
双剣使いが次の斬撃を放つ瞬間、ルゥが影のようにすっと入り、火球の形をした光が双剣の間に現れた。
「えっ……!?」驚く双剣使いをよそに、コハクは低くうねる炎で相手の足元を揺らす。わずかにバランスを崩した瞬間、アヤノはカイルに合図を送った。
「カイル、今!」
「よっしゃ!」
カイルは体を横に滑らせつつ盾を突き出し、双剣使いを押し飛ばす。その隙にアヤノはルゥの後方へ跳び、風魔法レンジャーの射線を外させる。
光と風、速度と判断――加護によって情報はアヤノの体に直接流れ込み、二匹と一体となる。
「すごい……速さに完全に追いついてる……!」
心の中で興奮が弾ける。二匹の魔物と“呼吸を合わせる”感覚が、以前の優勝候補戦以上の精度で自分を導いてくれる。
◇ ◇ ◇
攻防は一進一退。双剣使いの連続斬撃も、風魔法レンジャーの疾風の矢も、加護により寸分違わぬタイミングでかわされ、二匹が示す軌跡に沿ってアヤノは瞬時に判断する。
「コハク、ルゥ、次の攻撃を合わせて!」
《はいっ!》《まかせて!》
ルゥが光の帯を渦状に展開し、風魔法の矢を逸らす。コハクは炎で幻影を作り、双剣使いの視界に幻を映す。二人は混乱し、攻撃が交錯しはじめる。
「いける……! 今だ、カイル!」
カイルが勢いよく突撃し、双剣使いと風魔法レンジャーの間を割って一撃を加える。アヤノは二匹の加護を通して“次に何が来るか”を感じ取り、即座に防御と反撃の連携を繰り返す。
◇ ◇ ◇
そして最後の瞬間、アヤノは心の中で二匹と完全に重なる。動き、呼吸、感覚――すべてが一体化する。
「……これで終わり!」
コハクとルゥが光を放ち、幻影の動きで相手の攻撃を封じる。カイルが盾で両者を押し込み、アヤノの一撃が決まった。
審判の声が広場に響く。
「勝者、アヤノ・チーム!!」
◇ ◇ ◇
戦いが終わり、観客の歓声が広場を包む。前回以上の注目度だ。
「す、すごい……テイマーがこんな動きを!」
「加護……あれは本物か?」
アヤノは息を整え、コハクとルゥを抱きしめる。
「二人とも……ありがとう! 本当に力になってくれた」
《アヤノが繋がってくれたからだよ》《うん、私たちも楽しかった!》
胸の奥で、温かく確かな力の余韻が広がる。加護と連携――それは、アヤノと仲間たちが共に戦う新たな可能性の証だった。
観客席の期待が、一気に最高潮に達する。次なる戦い、そしてアヤノの加護の力がどこまで進化するのか――注目は高まるばかりだった。




