第十三話「失敗」
リアンの説明は結構正しかった、だからイメージ通りの見た目だったが、実際に見てみると何か変な感じだ。
「あれがゴブリンです」
リアンが小声で伝えてくれた、それに対して俺は静かに頷いた、ついでに小声で道中俺が考えていた作戦を伝えた。
「数は想像していたより居たが、ざっと20体くらいだ、そして今は群れて集まっている感じだと思う、だから集まってるところに向って、ファーフが一番広範囲で撃てる魔術は撃ってくれ」
「分かった、取り敢えず出来るだけ魔力を込めてロッククラッシュを撃ってみる」
「了解、リアンとユナはこっちに向かって来たゴブリンを対象してくれ、俺はファーフが魔術を撃ったあとに、向こうに走っていく」
「うん、それだけで良いの?」
「ファーフがまた安心して魔術を打てるように守ってくれ、リアンは治癒魔術でユナをサポートしながら魔術を撃ってくれ」
「任せて!」
「了解です!」
「じゃあファーフ取り敢えず一発目頼むぞ!」
「うん!大地よ、裂け!岩よ、舞い上がれ!大地の怒りを天まで届け、敵を砕き散らせ!ロッククラッシュ!」
ファーフの魔術が集団に命中した、しかしゴブリンは一発で仕留めれたのもいるが、まだ生きている方が多いくらいだ、でもみんなダメージを受けてるこれなら行けるそう思いながら走っていった
「良くやった!ファーフありがとう」
「うん、」
そうは言ったものの、ファーフ的には満足して無さそうだった、いつもファーフは努力してる、もっと自信を持って欲しい
俺はゴブリン数体に囲まれていた、8体くらいいると思う、しかし動きはカイゼルやルシウスよりも遅かった、これなら行けそうだ、すぐに2体3体と倒していき5体くらい倒すことが出来た、これなら行けるそう思った瞬間
「レムス君前の方を見て!」
ファーフが大声で叫んでいた、前を見てみるとさっきのゴブリンの2倍くらいの大きさのゴブリンが5体向かって来ていた
「レムス君どうする?」
ファーフの問いに、迷いユナやリアン方を見た、すると1体ずつしっかり連携を取りながら倒していた、残りあと5体このペースなら行けそうだと思った、だから俺は逃げずに戦う事を決めた
「みんな!今からあいつらと戦う、ついてきてくれるか?」
俺がそう言うと、ユナとリアンは戦いながら少し沈黙していた、するとファーフから
「もちろん、できる限りサポートするよ!」
嬉しいかったファーフはいつも俺の無茶に付き合わせているが、嫌な顔一つせずに来てるれる、でもこうもいつも付き合わせるのは悪いなとは思う…
「ありがとう!頼りにしてるぞ!」
するとリアンとユナが残りのゴブリンを倒すと、
「僕もやります!」
「私もやる!」
二人とも戦う覚悟を決めてくれた、本当に良い仲間を持ったと思う、するとファーフの叫び声が聞こえてきた
「レムス君前!」
すると、もうすでにゴブリンが目の前まで来ていた、ファーフとリアンは詠唱を初めて、ユナはすでに剣と盾を構えて尋ねた
「作戦は?」
咄嗟のことだったから、正直どうするかとか決めてる暇は無かった、
「取り敢えず1回みんなで固まるぞ!俺が前衛である程度引き付ける、そしたら背後から魔術を撃ってくれ、ユナは俺が突破されたゴブリンの対処を頼む」
「分かった」
「了解!」
「了解です」
そう答えながら、ファーフとリアンは魔術を放って後に下がり、ユナはゴブリンが攻めてきても良いようにファーフ達の前に立ち、ファーフ達と一緒に数歩後退した
「準備は良いか?」
「うん!」
「はい!」
「じゃあ魔術で援護を頼む!」
俺はそう言い、ゴブリンに向って勢いをつけて突っ込んでいき剣を振った、すると斬撃が片腕で弾かれた
「っ!」
後から魔術が飛んできたのを確認すると、俺は左にずれ魔術を避けた、魔術はゴブリンに命中したがあまり効いてなさそうだった
「そんな、」
「もう一発いきます!」
攻撃が効いていなくショックそうに見える、勝てないのか…いや弱気になっては居られない、逃げるにしてもあいつらの速度は早かった、そんな事を考えてるうちに詠唱が終わり
「アイスアロー!」
「クリアウィンド!」
二人の魔術が直撃したがあまり効果は無さそうだった、俺の方は1対1なら何とか勝てそうな相手だが、相手は5体いる致命的な攻撃を当てれないまま押されているどうする、そう思った隙に2体を後に行かせてしまった、
「ユナ!すまない」
「大丈夫!なんとかする、」
そうは言ったものの、少し震えてるように見えた、ファーフとリアンはユナの横に立ち魔術を使って援護しだした
「レムス君、こっちは任せて自分の方だけに集中して!」
ファーフがそう言ってくれた、情けない俺がみんなを守らないと行けないのに…
しかし数がさっきより減ったこともあり、随分戦いやすくなった、俺は一旦距離を取り助走をつけゴブリンの首を目掛け、地面を蹴ったするといつもより速い気がする、そんな事を考える隙に1体首を斬ることが出来ていた
斬り終わった瞬間を狙って、他のゴブリンが殴ろうとして来た、俺は振り返る勢いを使い拳を斬ることができた、すると反対の手で殴ってこようとしたが、相手の動きが少し遅く見え手を斬ることが出来た、そして2体目も首を切り倒すことが出来た
よしこれなら行ける!
そう思った瞬間、3体目のゴブリンが蹴りを入れてきた、俺は咄嗟に防ごうと剣で守ろうとしたが威力が強く勢い良く飛ばされてしまった、
しまった…パワーが違いすぎる、
俺はすぐに立ち上がろうとしたが、間に合わず更に蹴りを入れられ飛ばされてしまった、するとファーフ達のところまで来てしまった、
「………レムス君…………ごめ…ん…」
ファーフ達は倒れていた、ゴブリンはファーフ達の持っていた武器をジロジロ見たり触ったりなどをしたり、倒れてる本人達を指で摘んだりしていた
「ファーフ……リアン………ユナ…すまない…」
判断ミスだった、あいつらが来た時にすぐに逃げるように判断していたら、こんな事になっていなかったはずだ、そう思っているうちに俺を蹴っ飛ばした奴が俺のところに来て、多分ここまで来る途中拾ったユナの剣を俺に向って振り上げていた、
この程度の実力じゃ駄目だったのか…
「………大丈夫ですか」
何やら声がする
「大丈夫ですか?」
どうやら気を失っていたらしい、周りを見渡してみるとゴブリンの死体があった
「君がやったのか?」
俺は目の前にいた、若干茶髪の髪で綺麗な目をした青年にそう聞いで見た、すると彼はにこりと笑い
「結果としてはそう言う事になりますね」
「助けてくれたのか?ありがとう」
「いえいえ、お礼を言われるような事はしてないですよ、無事で良かったです」
「ファーフ達は?」
「ファーフさんですか?お名前は知りませんが、多分お仲間だと思われる人達はそちらで寝ていますよ」
そう言いながら俺の隣を指差した、よかった生きてる、というか彼が一人でここまでやってくれたのだろうか?
「あの、一人で全部やってくれたのか?」
「そうですね…まぁそう言う事になりますね」
「本当に助かった、ありがとう!」
「本当にお礼なんて大丈夫ですよ、たまたま通りすがっただけですから」
「いや、本当に助かった!名前だけでも教えてくれないか?俺はレムス レムス・ドールだ」
「自分は、ユーク ユーク・ノキスです」
「ユークか良い名前だな!」
「ありがとうございます」
ユークと名乗る彼は苦笑しながら会釈した、彼は本当に命の恩人だ、何か困ってることがあれば助けになりたい
「ユーク!やっぱりお礼がしたい、何か困ってる事とかないか?」
ユークは少し考える素振りを見せたが、何も思いつかなかったのか、すぐにこっちを見て返事をした
「本当にお礼は大丈夫です、自分は今から行くとこがあるのでそろそろ行きます」
「そっか、またあった時はよろしくな!困った事があれば頼りにならないかもだが頼ってくれ!」
「ありがとうございます、ではまたどこかで」
「そうだな!本当に助かったありがとう」
ユークは会釈をして、歩き去っていったするとファーフ達が起き出した
「ファーフ大丈夫だったたか?本当にすまなかった俺の力不足で」
「そんな事ないよ、僕がもっと強かったら…」
「ファーフは十分頑張った、今回は相手の強さを見極めれなかった俺の責任だ」
「僕だって、賛成したから…レムス君だけの責任じゃないよ」
「そうだよ、私達も賛成した」
「そうですよ、レムスさんのだけの責任じゃないです」
「ところで、レムス君僕たちはどうやって助かったの?」
ファーフにそう聞かれ先程、ユークと話したことをそのまま話した
「つまり僕たちはその、ユークさんに助けてもらったんだね、お礼言いたかったな、」
「そうだね、お礼とかもうちょっと話したかったよ」
「凄い実力ですね、あのゴブリンを一人でやるなんて」
「そうだな、ユークは絶対強いまた会えると良いな、」
「そうだね、僕も会ってみたいよ」
「私も会ってみたい」
「会ってみたいてますね」
「そうだな、取り敢えず今日は回収出来た分のゴブリンの耳だけ持って行くぞ」
今回の依頼ではゴブリンを倒した証拠に、耳を持って帰るらしい他にも使い道はあるのだろうか?
「うん、そうだね取り敢えず戻ろ!」
そのあとは何事もなく冒険者ギルドにつき依頼は成功と言う事になった、実際ゴブリンは居なくなった、まぁ自分達だけで倒した訳では無い、そしてやはりこのままではあいつらには勝てない、それが実感出来た気がする
もっと強くならないと行けない…
ギルドで報酬をもらったあと宿にて
「本当にすまなかった、俺の判断ミスで全滅する所だった」
「レムス君、もう良いよみんな無事に帰って来れたんだし」
「そうだよ、もう気にしなくて良いよ」
「僕達が力不足なのが、再度認識できて良かったです、まだまだこれからです」
「そう言ってくれて助かる、もっとみんなで強くなろう!」
こんなところで終われない、絶対もっと強くなり俺はみんなを守る