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トレモロ 2  作者: 安之丞
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2巻 1章 8話

里山村の空き家に再び戻って来た。

虎徹は一度実家に帰り、通いで修行する事になった。

クラウン達も里山計画を手伝いながら修行する事にした。


ギルドスーツに着替えて庭にでた。

スノーは修行という言葉にワクワクして、ドレイクに教わった丸太のこん棒を振り回していた。

ハニは新体操のように動き回っている。


「修行って何すればいいの?」クラウンは二の腕を掴みながらブラストに言った。


「じゃクラウン。ロージー何発いけるか試してみよっ。」ブラストとクラウンは2人で丸太を一本運んで立て掛けた。


「ロージー!」バン!

「ロージー!」バン!

「ロージ!ん?出ない。なんか急に疲れた。」クラウンは座り込んだ。


「2連発が限界か。アビリティーの詳細みた?」ブラストは聞いた。


「スタミナって書いてたかなー。」クラウンは立ち上がった。


「ブラストのもどうやって上げるか謎だね?」

ブラストはチョコを抱えた。「チョコちゃん、オレのエレメント・ストーンに導いておくれ。」

チョコは尻尾を振るだけで光らなかった。

クラウンとブラストはすることがなくて、里山村の田畑を手伝った。


⭐️


数日が経ち、まごろくが訪れた。


「虎徹ー!ギルドになったんやてー。なんのパワーや?みせて。」


「まごろく!跳躍が何倍にもなったぞ。飛翔!」地面を蹴り上げ2〜3m跳び上がり、空中で刀を素振りし着地した。


「すごいやん!かっこええーなー。」まごろくは拍手した。

「瞬発力鍛えるには筋力と反動やな。」


虎徹はジャンピングスクワットを始めた。


「そんな感じや。筋トレとダッシュ、箱にジャンプしたり、箱からジャンプもやったらええ。虎徹はもとから得意やんな。」

まごろくは嬉しそうだ。


「あの、まごろくさん。僕、スタミナなんですけど、鍛え方、知ってますか?」クラウンはモジモジしながら聞いた。


「スタミナはなー、階段、チャリンコ、歩く、泳ぐ、何度もやる事やな。目安はぜいぜいやない、ハアハアや。ほんで、よく食べる事!」


「ありがとうございます!」クラウンは顔が明るくなった。


何も言ってこないブラストをみて、まごろくは言った。

「ブラノスケもみせて。」


「え?オレ?ショックウェーブ!」ブラストは距離をとって衝撃波を出した。


「すごいやんか!2人はスタミナつけたらええ。ブラノスケの場合、水の上で使うてみ?嵐おきるで。」ブラストは予想もしなかったアドバイスに喜んだ。


「僕たち一緒に技出すと大爆発するんです。」クラウンはブラストと肩を組んで無邪気に笑った。


「おー怖。戦の時はあんま近付かんとこ。そっか、君らは相性もあるんやな。オモロいな。」


「チョコのおかげなんです。」ブラストがチョコを指差した。


「このちっさいワンコちゃんが?大したもんやで。」まごろくはチョコをなでた。


「渡辺様は説得できたかな?」ハニが近寄って来た。


「たぶん、大丈夫や。心配せんでええ。しっかり励むんやで〜。斗鬼ー!おるかー?」

まごろくは鎮守の森に歩いて行った。


お昼ご飯をまごろくと食べた。あれこれ、まごろくに修行の事を聞いた。


「修行しながら里山村手伝ったらえーやんか。薬草や農作物が取れたらハニちゃん、スノちゃんで運ぶやろ。虎徹、クラノスケ、ブラノスケはチャリンコで倉庫まで届けたら一石二鳥。他にも村でできる事、ぎょーさんあんで。気張りや!」


まごろくの提案によって村は急スピードで発展をとげ、里山計画メンバーは喜んだ。


⭐️


しばらく修行は自主的に行われ、里山計画の新しいメンバーが到着した。林業の職人達が到着し、手伝いと警護のクエストを受けた。


山の木々の間をハニは新体操の様に舞い、大きな木もタクシスで運んだ。スノーも伐採した木を両肩に担いだ。クラウン、ブラストは刃渡り2mはある大きなノコギリを2人でひいた。犬達は穴掘りを手伝い、植樹も無事に終えた。


今日の区間は午前中で終わり職人達は下山した。みな残ってキャンプする事にした。スノーは虎徹を呼び出した。


焚き火を囲んでくつろいでいる。


「ハニはほんと自然が好きなんだね。」ブラストは働きぶりに感心した。


「浜辺で貝がとれる様に山に木を植えて海をキレイにするのよ。海はね、全部と繋がってるのよ。」


スノーが何か言おうとして地面に寝転がった。ドサッ!


「スノー張りきりすぎだよー。ん?スノー大丈夫?何これ。」クラウンがスノーの脇腹に小さな矢が刺さっているのをみつけた。


犬達が警戒して吠え始めた。


虎徹は近くまで来ていた。静かに刀を抜き、木から跳び降りた。スノーを狙った密猟者を鞘で殴り、1人気絶した。

吹き矢を構えた、もう1人に素早く腕を回し、締め落とした。


手前の木が揺れ、両手で密猟者の襟元を掴んで引きずりながら虎徹が現れた。

「虎徹さん??」みなビックリした。


2人の密猟者は気絶している。虎徹は木箱からロープを取り出して縛った。


ハニは眠ったスノーの脇腹の矢を抜いて、傷口を水で洗い、タクシスでテントに運んだ。


「だれ?」クラウンが顔を覗きこんだ。


「おそらく密猟者。」虎徹の顔は怒っている。虎徹はディスプレイを出し奉行所に連絡した。


虎徹はボトルの水を密猟者達にかけた。

ジャバジャバー。

「うう。うわっ。」密猟者は目を覚ました。


「拙者、虎徹と申す。次やったら斬るからな。」


もう1人の密猟者も目を覚ました。

「ふがっ!獲物はどこいった?!」


「まだ状況がわかっていない様だな。」虎徹が睨んだ。


「うわっ!どーなってんだ!」密猟者の体が浮いて焚き火の上で丸焼きの様に回りだした。


「おい!なにやってんだ!止めろ!」大声で密猟者は言った。


ブラストとクラウンはハニを見た。

「あら、豚かと思った。しゃべれるんだ。」


「こいつらなんなんだ?!」


ハニは無視して回し続け、時間切れで焚き火の上に密猟者は落ち、火の粉が舞い上がった。「あちちちち!」もだえる密猟者を虎徹は蹴って地面に転がした。密猟者達は怯えている。


10分後、上空に提灯が見えた。ヘリが到着して、奉行所に連行された。

2時間後、目覚めたスノーは自分が密猟者に狩られたと聞いて笑っていた。


⭐️


雨がしばらく降って、田んぼの水溜まりに雨が跳ね、波紋が一面に広がった。雨が上がると虹が出た。夕方、空気全体がピンク色に染まる。クラウンはその景色をぼーっと見て過ごすのが好きだった。梅雨が明けた頃、天狗様から作戦の連絡が来た。


翌朝、まごろくが里山村に小型飛行機で迎えに来た。「ほな、行くでー。」中はラグジュアリーな和風のインテリアだ。


離陸するとまごろくが扇子を広げ、クラウンに話しかけた。

「クラノスケ、何連発撃てるよーになった?」


「3発。」クラウンは答えた。

「増えた。増えた。」扇子でパタパタしながら嬉しそうだ。

「これから、どこに行くの?」クラウンはまごろくに聞いた。

「金蘭や。知らんか?」

クラウンはうなずいた。

前の席の虎徹が振り返って教えてくれた。「戦用の鎧屋です。」


1時間で着陸し、送迎ワゴン車に乗り30分。鎧屋、金蘭に到着した。

出されたお茶とお茶菓子を頂いていると、鬼面が次々と並んだ。


「ハニちゃんは好きなの選びや。わしと斗鬼の分はこれと、これにしよか。」


鬼面の防護マスクは、ぬえの麻痺する分泌物を吸わない為だ。


「次はまごろく様の。」店主が黒い箱を持って来た。

家紋入りの黒い箱から兜が出てきた。狛犬が正面、左右の3面についている。

「ケルベロスの兜でございます。」


「おー。」みな自然と声をあげた。

まごろくは兜をつけ緒を締めた。ホログラムの3頭の狛犬が現れた。


「感知、目眩し、レーザーでの合図、搭載しております。」


「見事な出来や。」


「ありがとうございます。くないも揃っております。こないたくさんお持ちになるんですか?」


「今回、この子らにも協力してもろて、くなーいの雨が降るで。」


「それは、それは。兼定様のもご一緒にお持ちになりますか?」


「そや。届けなあかんから、みせて。」


別の家紋の黒い箱が運ばれ、兜が出てきた。細い三日月が凛と美しい兜だ。

「こちらも感知、目眩し、レーザーでの合図、搭載しております。新しいティンシャも届きました。一緒に入れておきます。」


「ありがとう。揃うたな。」まごろくは精算を済ませ、送迎ワゴン車に荷物を運んだ。くないを数十箱積み上げた。まごろくはいつも軽々と扱っているが、くないは一本でも重く大きかった。


⭐️


送迎ワゴン車は1時間走り、HOMAREの本陣に着いた。まごろくの話では後から船で斗鬼とぬえが来るそうだ。


⭐️


親日本侍連合の中から3カ国の戦艦と侍達も参加する。顔合わせをして、作戦が伝えられた。ハニがギルドの代表としてHOMAREの長、渡辺様とサインを交わした。作戦決行までの3日間、クラウン達は本陣で過ごす事になった。


⭐️


明け方、まだ外は暗い。

以前、斥候に訪れた鬼兵の野営地にクラウン、虎徹、チョコの姿があった。

虎徹はギルドの鎧に黒い兎形兜。兜に長い耳があしらわれている。


「よし、時間だね。」2人はワッペンを静かに重ね、チョコの背に手を乗せ深呼吸した。


「クラウン殿、崖の上の弓兵に一打。」


「ロージー!」

10m先の弓兵にバン!火の玉を当てた。


「お見事。」

続いて虎徹は見張り台を指差した。

「見張り台の弓兵に一打。」


「ロージー!」

バン!火の玉を当てた。


「お見事。」


「見張り台の下にいる鬼兵に一打。」


「ロージー!」バン!


「お見事。」

バタン。鬼兵は見張り台の下に倒れた。

近くの鬼兵が倒れた鬼兵を見に近寄った。「飛翔。」虎徹は呟いて、高所から鬼兵に飛び降り刀を突き刺し、蹴って刀を抜いた。


異変に気づいた鬼兵が6鬼が斬りかかって来た。


槍の先を振り、合間を詰めていく鬼兵。

虎徹の間合いに入った瞬間、刀で横一文字に鬼兵を斬った。続くなたを持った鬼兵もうかつに踏み込み、下から斜め右上に斬られた。


テントから鬼兵が槍を構えて飛び出した。虎徹はV字に斬る。

回りながら、鬼兵を斬る、斬る、斬る!

鬼兵は倒れた。


虎徹は横笛を吹いた。

「ピー!」


クラウンは笛の音を聞き、構えた。「フレイヤ!テントを燃やして!」


明け方の薄明かりの中、火の玉はメラメラと炎の女神に変わった。「火薬のニオイがする。やっていい?」


「いいよ。」クラウンは崖を静かに降りて、野営地の柵に入り、草むらに身を潜めた。


フレイヤはテントを突き破るとテントは燃え上がり、隣のテントへ突入して行った。


中にいた鬼兵をハイキックで外に蹴り飛ばし火だるまにした。隣のテントも炎で突き破り、そのまま火薬樽の荷車の上でくるくる周りながら炎で包み消えた瞬間、大爆発が起こった。


ドカーン!爆発音が野営地に響いた。


テントの前で虎徹は刀を構えた。

テントから飛びだした鬼兵を次々と斬った。


爆発で燃えた鬼兵が暴れながら走って来る。

クラウンは草むらから飛び出し、虎徹と背中合わせになり、ロージーを撃って暴れる鬼兵を倒した。

背中合わせに回りながら、虎徹はテントから飛び出して来る鬼兵を斬り、テントの外から襲ってくる鬼兵はクラウンがロージーで倒した。


一番奥のテントから鬼兵と鬼兵隊長が出てきた。


「クラウン殿、拙者が先に隊長をやる。」

言い残し、虎徹は斬りかった。盾で弾かれ、虎徹は足でトンっと軽く地面を蹴って前蹴りし、刀を斜め下に振り下ろした。

「いざ!」


チョコが走り込んで来た。

残りの鬼兵3鬼も槍を構えて突っ込んできた。

「ロージー!」

「飛翔!」

クラウン、虎徹、チョコは光った。


虎徹の刀は炎を帯び、一瞬で鬼兵に近づき、燃える刀で鬼兵を斬った。斬られた鬼は爆発し両隣で武器を構えた鬼兵も燃え上がった。


挿絵(By みてみん)


クラウン、虎徹、チョコは野営地を制圧した。野営地は炎上した。


虎徹は兜を光らせ、レーザー光線の合図を送った。HOMAREの士気が上がった。

挿絵(By みてみん)


⭐️


続く。

絵:クサビ

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