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日入り果て、

自己満足系の作品です。誤字等ありましたら、教えてください。

もう、夜も更けるのに不思議と寝る気になれなかった。仕方がないので、リビングに行き、水を一杯飲むことにした。

月灯がやけに明るい気がしながら、ベッドから身体を起こし、廊下に出る。そして、水を飲んだ。いつものように、味がなく普遍的で変わりないものだった。

部屋に戻る。暗闇を歩く訳では無いが、リビングで見た丑三つ時を指す時計により、さっきより心なしか恐怖感を覚えた。それとは対照的に、何も起こることはなく、部屋に戻れた。今の俺なら、自分がそれなりに潔癖なせいで無機質な部屋から化け物が何体も出てくるビジョンを数個思いつけそうだが、余計怖くなるだけだと察し、思考を止める。ベッドには俺の温もりが残っており、丑三つ時なんて関係なく、そこで今すぐにでも寝れる自信が湧いた。その自信は正しく、すぐに寝ることができた。(もしかしたら、ただ眠かっただけなのかもしれないが。)

ジェットコースターで急降下するような感覚で目を覚ます。悪夢だった。家でお風呂に浸かっているときに脊椎を急に盗られたような、そんな悪夢だった。昨晩この部屋を照らしていた月は消え、太陽がこの部屋を照らしている。ほとんど吸血鬼のような生活の自分にとって、太陽は毒だ。カーテンを閉めた。ふと、起きても何もすることがない、と気づく。布団に潜り、不安という大海の中で一人、溺れる。それでも、自分はそこが好きだ。僕の保護色、とでも言えばいいのだろうか。そこが自分の居るべき場所だと、自分はそこから生まれたとでも云うように僕を包んでくれるから。当然、不快感も伴うが、現実よりかは幾分かましなので問題はない。

自分という存在の価値はあるのだろうか。自分が生きたことにより損失したものの方が生み出したものより数えやすい。世界に自分の身体の一部を渡すことができないのが悔やまれる。

こんな事を考えても意味はない。例え自分が石ころのような価値しかなくとも、自分は自分の価値を望んでいるだろうから。そんな自分に嫌気が差す。自分のことを嫌いだ嫌いだ死んでほしい、と言っておきながら自分を誰より望んでいる自分に。

…自分は所詮自分以上に自分を望む人間を作れない。毎日のように自分を責め立てることができるのも自分に完璧であってほしいと望んでいるから、できたことであって、自分に対して絶望しているのならできなかったはずだ。なんだか言葉にすると的外れに聞こえる。

腹の虫が鳴く。嗚呼、こんなにも生を犯し続けている自分にも、欲が存在する。

仕方ない、飯を食おう。ベッドの上からわざと転げ落ち、痛みで身体を起こす。こうでもしないとやる気が出ないのだ。夜には怪獣のような暗闇が潜んでいた廊下を抜け、リビングに着く。何か食べ物はないか、棚を漁る。栄養バーがあった。賞味期限がちょっとだけ過ぎていたがその程度なら、別に平気だ。サクっと食べ終え、水を飲んだ。栄養バーを食べると喉が渇くんだ。床に寝そべって天井を見る。天井の模様は自分の暇を潰すためにはあまりにも単調で。だけど、よく分からない安心感があって。

時計の音だけが、この部屋の音が途切れないよう、鳴り続けていた。

いつの間にか寝てしまったようで、カーテンからほんの少し漏れ出していた毒さえ、もう消えかけていた。今日を無駄にしたようで、なんだか嫌な気持ちになった。

散歩をしたくなった。パジャマから、無難な服へと着替え、やけに大きなリュックを背負い、外に出る。庭先にあった、もうすぐ枯れてしまいそうな花を全て持って。

長袖長ズボンでも暖かさが負けるほど寒い。先週まではそこまで寒くなかったのになぁ。僕の足音だけが、道を満たす。

蛍光灯は消えていき、息はどんどん白くなる。サンダルの僕にはちょっと、辛かった。

初投稿です。お口に合ったのなら、幸いです。

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