正親町天皇
平伏する2人の横で、澄まし顔で佇むエヴァ
『これは、思い至らなんだ。。。普通であれば、不敬罪と切り捨てられても文句も言えんが 天より遣わされた天女殿が今上天皇に頭を下げぬ事が、不敬となるのか?
天女殿に頭を下げろとも言えんしのう〜 こんな事で揉めても面白くないが
天女殿が平伏している姿なぞ 見たくないぞ!
よし 天女殿の思うようにしたらよい』
色々と思い悩んだが、結局は開き直ることとした 武田信玄
『さて困ったぞ。。。天女様は、平伏をしないのか〜
我らは、天女様が神に列すると心得ているが ここの連中は、わかっていないよな〜
なにゆえ俺までここに居るのだ?
信玄公も黙っているところを見ると 朝廷を敵に回す覚悟もあるという事か?
居心地が悪すぎる。。。。』
ちょっと泣きそうになりながら、額から大粒の汗を垂らす 浅井長政
ドタドタと常寧殿の中がざわつき、「早く開けろ!」という声が聞こえ
廊下への襖が開け放たれる
「おお〜 そなたが天女殿か、待たせたようですまぬのう こちらへもっと近くで
お顔を見せてたもれ」
「それでは、失礼します」すくっと立ち上がり 流れるような所作で常寧殿内に入り
当たり前のように、正親町天皇との対面に座る エヴァ
居並ぶ従者も、それを止める素振りも見せない
「昨日は、挨拶もできずに失礼をいたしました 思金神を氏と仰ぎ天界より遣わされております」
『嘘は言っていない! 勝手に氏と仰いでるだけで。。。ある意味、天から降ってきたのだから。。。 やってて良かった 勉強会』
「おお〜その声でおじゃる しかも思金神でおじゃるか 朕の祖である天照大御神が岩土に閉じこもられた時に、八百万の神々に岩戸を開ける策を授けられた神でおじゃるな!」
「はい そのように聞いております」ちらっと後ろの2人に目をやる エヴァ
二人のやり取りに平伏したまま、目を白黒とさせる 信玄と長政
「おお〜すまぬ 2人共 面を上げて楽にすると良いでおじゃる
実は、昨日の火災で煙に巻かれた朕が、なんとか難を逃れ貞観殿に皆と共に避難して
いたでおじゃる するとな、耳元に声が聞こえてのう “今から治療をするから楽にしていろとな“ すると貞観殿に暖かな光が差し込みここにいる皆が回復したでおじゃる
朕の嫡男の誠仁親王などは、煙を吸い過ぎたようで
危ない所だったでおじゃる そういう訳で一言お礼が言いたかった
ありがとう助かり申した」 正親町天皇が頭を下げる
今上天皇が天女を同列と認めたということか? 目を剥き驚く 信玄と長政
「帝に1つだけお願いがあります」
「天女殿のように美しい方にお願いなど言われると断れる自信が無いでおじゃるな」
風魔法に言の葉を乗せ正親町天皇だけに聞かせる
「うっ そ。。。それは、後日応相談で。。。
天女殿、奥の貞観殿にお礼を言いたいという者が集まり、馳走も用意して待っておるそうじゃ 嫡男の誠仁親王も待っておるゆえ 楽しんでたもれ 朕は、この2人と政り事の話があるゆえ」
「わかりました では、また後ほど」驚いた事に、きっちりと平伏をして立ち上がる
それが、武田信玄と浅井長政の背筋を震わせた
『『あのお願いとやらを知りたくないぞ!』』
「待たせたの近うよれ してあれがお主らの言っておった火竜でおじゃるな!?」
廊下の板の間から、常寧殿内に入る2人
「はい あれが火竜にございます」
「あんなバケモノを、人の手で討てるのか!?」
「その為の準備をしておる所でございます」
「二条城も焼け おそらく足利義昭も生きてはおらんじゃろう 織田信長の軍勢も全滅と聞く そこでお主ら2人に都の守備を頼みたいのじゃ」
「相手は、翼のあるバケモノです この日の本に安全な所など在りませぬ 我らも自領土の守備を疎かには出来ませんゆえ。。。」
「もう少し近うよれ。。。顕如より助言をされておったが、浅井長政 お主に都の守備を司る正三位·大納言にそして武田信玄 お主に日の本すべての守備を司る 正二位·征夷大将軍及び源氏長者の位を授ける」
「「謹んでお受け致します」」
「二条城跡地を好きに使うが良い それとここの再建も頼むでおじゃる」




