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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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鬼切·鬼丸

途中寄り道をしたがルイの足で、3日を掛けてようやく到着した 最上氏の居城[山形城]

三の丸東側の七日町口の門番に武田信玄より預かった親書を見せ

徳川家康の葬儀で面識のある家老·氏家定直を、呼び出してもらう

小袖青袴の軽装に狐を連れた 手ぶらの若い男

門番が訝しむのも当然であるが、氏家定直が来るまでの、なんとも気まずい時間を妖狐の頭を撫でながら待つ

《何をしておるのじゃ?》

《いや なんとも手持ち無沙汰でな。。。》

念話で語り合う ルイと妖狐

《鬱陶しいからやめぃ!!》

《そう言うな 後で油揚げやるから》

「ルイ殿、待たせたな 突然来られたので驚いたぞ。。。それより、その手は大丈夫なのか?」

右手に噛み付いている妖狐を、手を降って払い落とす

「うん待ったな 次から勝手に塀を越えて入ってもいいか?」

「うん? それは駄目だな 勝手に本丸まで来られたら大騒ぎになる フッハッハッハ」

親しみやすい人柄が滲み出る 氏家定直

「今日は、天女様は御一緒では無いのか?」

「今日は、この狐の玉と一緒だ あんな酷い目に会ったのに 天女に会いたいのか?」

「それは、あのような美しいお方は、いつでも会いたいのう〜蜂はトラウマになったが

で? 今日は、どのような用件じゃ?」

「【鬼切·鬼丸】を貰いに来た」

「うん? 冗談を言いにわざわざ来たのか??」

「ここに将軍からの書状もあるぞ」懐から取り出すフリをしながら空間収納から数通の書状を取り出す

「わかった詳しい話は、奥で聞こう」


二の丸の一室に通され、ベヒーモスという火竜が現れたこと その火竜を倒すのに【鬼切·鬼丸】の2振りが必要な事を説明する

「これが、将軍からの書状で、これが天皇、武田信玄に織田信長に朝倉義景に浅井長政

からだな あとこれが、【白天目茶碗】に【へし切長谷部】をくれるらしいぞ」

「おいおい もの凄い値打ちの品だぞ! しかも天皇に将軍からの書状って。。。

断れるはずがなかろう!? それよりこの品をどこから出したのじゃ??」

「うん? ここだが??」懐を指さす ルイ

「まぁ良い お館様と話してくるので、ここでしばらく待ってくれるか? 飯でも用意するか?」

「それは助かる 玉の分も頼んでいいか? 油揚げを多めで頼む」


山形城本丸 最上義守の居室

「定直よ わしは正直、茶碗だの刀だのに興味が無い そこまで欲しいのであればくれてやれば良い 一つ聞きたいのは、噂に聞いた天女と言うのは、どんな病でも治せるそうではないか それが真であれば、わしの娘 義姫と伊達輝宗の子 政宗がまだ6歳だというのに、ひどい天然痘に苦しんでおる すでに片目が駄目らしいのじゃ

そのルイというのが、天女の付き人と言うのであれば なんとか出来んものかのう??

親馬鹿、孫馬鹿なのは承知しておる藁にも縋るというやつじゃ 聞いてみてくれ」

「わかりました聞いてみますが 天女様は、京に居られるそうですので、あまり期待されない方が宜しいかと」

「やはりわしが、直接話そう 奥の間に通してくれ」


食事を終え 中庭に出ていたルイの肩に一匹の鳩が止まる その脚から文を外し広げる

「エヴァからか。。。やはりベヒーモスは京に現れたらしい! 将軍義昭と織田信長に織田方の重臣達が死んだようだ 京の民も数万人も犠牲にだと!! 俺たちがこの世界に来たせいだ!!!」

《自分を責めるな 悪いのは、あの火竜じゃ!! お前たちではない。。。急ぎ戻らねばならぬな》

「ルイ殿、待たせたな お館様が会われるそうじゃ 本丸まで案内しよう」

「悪いが、京に戻らねばいけなくなった 急いで頼みたい」

「それならば、本丸まで歩きながら事情を聞こう」


「なんだと! 義昭公が、お亡くなりになった!! あの織田信長まで。。。火竜とは、それほどの脅威なのか。。。」

「要するに、その政宗という子供の病を治せば良いのだな その子供は、ここには居ないよな。。。その同じ病の者は、この城中に居るか?」

「確か侍女に1人居るが」

「じゃあ その侍女と【鬼切·鬼丸】を用意しておいてくれ」


「ルイとやら、氏家定直より事情は聞いた信じ難い話だが 今は置いておこう

言われたように【鬼切·鬼丸】を用意した 向こうの間に天然痘を患っている侍女を寝かせてある、なにを見せてくれるのじゃ?」

「お初にお目にかかります 最上義守様、この度は無理な願いをお聞き入れいただき

ありがとうございます ここに天女より有事の際には使うようにと天女の加護を授かった符を5枚持たされております 1枚を使って、そちらの女性の病を治してみましょう」

そう言い立ち上がると、寝かされた侍女の横に座り寝間着の胸元を開ける

顔や胸、肩や腕と見える範囲にびっしりと赤い膿疱が広がっている

「今、治してやるからな」開けた胸元に符を貼ると右手の手の平をそっと乗せ

魔力を少しづつ流していく

『頼む! 上手くいってくれ!!』 さらに魔力を流す 

すると顔や肩に広がっていた膿疱がみるみるうちに引いていく あばたも残さずに

苦しそうだった表情にも安堵の色が浮かび規則的な呼吸を繰り返す

「これが天女の奇跡だ」ルイがほっと溜息をつく

しばらく言葉も出ない一同 侍女の体を調べていた医師が「完治しているようです」

その一言で我に返る 最上義守と氏家定直 「まさに奇跡じゃ」

「その伊達政宗は、どこに居るんだ?」

「米沢城に居るが 治しに行ってくれるのか!?」脳内地図で見ると、およそ80km

「行くが俺一人では、城内に入るまでに余計な時間がかかる見届け人として氏家定直殿に同行をお願いしたい」

「ああ もちろんじゃ必要な物は、何でも言ってくれ」

「では、遠慮なく【鬼切·鬼丸】は貰っていく あと二の丸の中庭に鳩小屋を作っておいた 俺や天女様に連絡をしたい時には文を付けて飛ばしてくれ 俺が何処にいても

俺の元まで飛んでくれる 餌を忘れないでくれよ では行こう 今日中に終わらせるぞ」

「何を言っている、米沢城まで1日で行ける距離ではないぞ!?」

「大丈夫 この符を馬に貼れば行けるさ」親指を立ててニヤリッと笑う ルイ








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