八岐大蛇
要塞と化した鳴海城の大手門をくぐる 共の3人が目を見開き口をあんぐりと開けて 大手門から真っ直ぐに伸びた
幅の広い石畳の先にある 高さ20メートルの本丸を見上げている
エヴァの魔力を察知したお雪ちゃんが、満面の笑顔を浮かべ駆け寄ってくる
「天女様! おかえりなさいませ」尻尾を千切れんばかりに振り 顔を舐め回しそうな勢いだ 尻尾があればだが。。。
「ただいま戻りました お雪ちゃん 何か変わった事は、ありませんでしたか?」
「変わった事。。。あっ! 先ほど八丁村から味噌が10樽ほど届きました 天女様に宜しくとの事でした」
「平和だったのですね。。。こちらの3人は都の僧兵の方々です お部屋を用意してあげてください 希望されるのでしたら、城内でも案内してあげて下さいね」
「おっしょさん! ここは!?」
「あっ おっしょさんは、もういいです 手に汗握る冒険は、もう終わりですので」
「はい では、天女様ここは、お城なのですか!? このような建築物を初めて見ました」
「そうですね お城というより要塞ですね 全て土と石で出来ていますので燃えませんし衝撃にも強いですね
おそらく、この世界で最も攻略の難しい拠点です こちらのお雪ちゃんに案内を頼みましたので食事でもして
興味があるのでしたら城内を見て回わってもかまいませよ 疲れたら お部屋でゆっくりして下さいね」
「じゃあ お雪ちゃんお願いしますね 2,3日滞在しますから 練兵場で他の皆さんと修練でもどうでしょう?
この3人相撲は弱いですけど 面白い武器を使いますので勉強になるかもしれません」
本丸の東側に建てられた、地上3階·地下1階 露天風呂まで備えた[天女御殿]へと向かう
地下への階段を降り、重い扉を開けると部屋の中央に巨大な氷塊が鎮座する
「アラン、もう数日で出れますからね 貴方を、こんな姿にしたベヒーモスも、この世界に連れて来てしまいました なんとしても倒さねばなりません 頼りにしていますよ リーダー」
杖を翳し 繊細に調整された魔力を通し続ける
魔力の切れる寸前までアランの治療を続け
練兵所で兵達に稽古をつけているブルートと近況の報告を交わし
久しぶりのほうとうを存分に味わい 床につく
深い。。。。いつもの感覚 深い。。。。深い。。。。眠り
深い。。。? 深い。。。。深い。。。。。水の中??
『なるほど、あの河童さん達は、律儀な方達だったようですね』
《異邦の女 お前は、我を認識できるのか?》
《はい 水神様とお見受けします》全身に僅かな水の流れを感じる しかしその姿を見る事は出来ない
《ほ〜 面白いものだな 我の眷属である河童共に請われて、お主の夢の中に潜るつもりでいたのだがな
まぁ 良い、我は水神でもあり、山神でもある八岐大蛇という》
《昨年 古事記を勉強いたしました 八頭八尾の大蛇、八岐大蛇様に会えるとは恐悦至極にございます》
《お主、面白い力を持っておるの? 赤い波長。。。この世界には、無かった力だが 昨年の暮れに琵琶湖に現れた竜と似た力だな》
《八岐大蛇様、あの竜を滅するために、貴方様のお力をお貸し頂ければと。。。あの竜は火の属性ゆえ 水神様とは、相性が良いのではと考えました》
《我の力を欲するか。。。あの竜を滅するという利は一致するが 我はすでに実体を持たぬ身である
我が宿るに足る器をお主が、用意できると言うのであれば考えても良い 供物も必要だがな》
《草薙剣でいかがでしょうか?》
《ほ〜 よく知っておるな、あれは元々は我の一部ゆえ 宿るのにあれほど適した物は無いが。。。手に入れられるのか?》
《八岐大蛇様のお力を得れるのでしたら、どのような手段を持ってしても手に入れて見せましょう ただ供物というのが若い娘を贄にと言うのでしたらお断りいたします》
《それも知っておるか、しかしな出雲国は、我に年に一人の娘を献上することで、あらゆる厄災や天災から守られてきたのだぞ? 言ってみれば一人の命で数千人の命を救ってきたのじゃがのう》
《それも理解しておりますが あの竜を討つまでは毎日 一樽の酒を供えましょう すべての事が済みましたら
私の命を好きにして頂いても構いません》
《ほ〜 それほどの覚悟か よかろう草薙剣を手に入れた時 また会おう》




