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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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西遊記

遅くなりました

閑話だと思って読んでください


鳴海城へと帰る エヴァ一行 その共にとエヴァが選んだのが

小柄で猿顔 コンの使い手 孫田悟空

長身で頭頂部だけが見事に禿げた 穂先の広い槍の使い手 沙司悟浄

大柄で筋骨隆々 熊手のような棍を操る 猪熊八戒 

僧兵の3人が護衛、と言うより荷物持ちとして同行している

エヴァが、この3人を選んだ理由が昨年 真田昌幸との勉強会で聞いた唐から天竺へと仏教の経典を届ける

4人組の話がとても面白く 本能寺にてこの3人の名前を知った時には、雷に撃たれたような衝撃が走ったと言う

この奇跡を逃すわけにはいかぬと寺院に無理を言い 数日という約束で旅に出る事が実現した訳である

三蔵という名に改名することを考えたエヴァであるが、流石に思い留まり

「旅の間は、私の事を[おっしょさん]と呼んで下さい」が3人に対する第一声であった


「では!! 冒険の始まりです!!」意気揚々と天竺。。。もとい鳴海城へと向かう4人組がこうして誕生する

「なんだか、私だけ馬に乗ってすいません お約束なものですから。。。みなさんには脚力強化の加護を授けていますので日暮れまでには到着するでしょう」色々な事にとことんコダワるエヴァ

「おっしょさん 先ほどから疲れないし、足が軽いと思ってましたが そのような法術を授けて頂いていたのですね ありがとうございます」

「その調子です悟浄 法術。。。有りですね! 三蔵法師と言うくらいですから法術で行きましょう!!」

特に冒険と言えるようなこともなく 順調に歩みを進める一行

琵琶湖の南を抜け 山間部へと入る 太陽も高天へと登り春の日差しが気持ち良く降り注ぐ

「おっしょさん お腹が空きました お昼にしては如何でしょうか?」

「八戒 まさに貴方から聞きたかった台詞です! ありがとうございます!! 用意していただいた握り飯があります ではお昼にしましょう」


通常の旅人の3倍ほどの速度で旅を続ける 

「伊賀、甲賀が近いのですから 忍者が襲ってくるとか 山賊が立ちはだかるとか。。。無いものですかね?」

「おっしょさん 旅は安全が第一かと思いますが。。。」

孫田悟空の台詞に目を剥いて驚愕する エヴァ

「悟空! あなたは無鉄砲な傍若無人な子だったはず そのような模範的な台詞、私は心の底から悲しいです」

平和すぎる旅路にイライラを募らせていく エヴァ


尾張に入ろうかという木曽川の辺り

獣に囲まれた 子供達をエヴァの強化された視力が捉える

「キターーーー! 皆さん行きますよ!!」

風のように河原を上流に向かい駆ける4人


「キュキーーキーキューーッキーキュキュキッーキュー」

「キキューキーキュキューッキーキュキキッーキューキキー」

「こっちに来るな!」

男の子が幼い妹を獣から守るように、棒切を振り回している

子供たちと獣の間に滑り込む 4人

「おっしょさん こいつら河童です!」

「天竺を目前にして、ようやく冒険らしくなってきましたね」

♪シャリーン♫ 急遽 杖の先に取り付けた鈴を鳴らす

「えっと 悟浄、貴方の親戚ですか?」

狒々の(ヒヒ)ような体躯に、体毛は無くヌメっているのか

太陽の光を反射している 背中には巨大な甲羅があり、頭には

緑色の皿のようなものを乗せている

「おっしょうさん 私は、人間ですが。。。」

「キュキーーキーキューーッキーキュキュキッーキュー」

「キキューキーキュキューッキーキュキキッーキューキキー」

「ふむふむ なるほど ちょっと待って下さいね」

「どうやら彼らは、相撲を取りたかったようです」

「おっしょうさん こいつらの言葉がわかるのですか?」

「私は、翻訳の法術を常に発動していますので 自我のある生物の言葉は、すべてわかります で? どうしましょう??

勝ったら川を渡らせてやると言っています 負けたら尻子玉を抜かれるそうなのですが。。。?」

「勝てば良いのですね 私こう見えましても 都の相撲大会では、大関の番付を頂いております」八戒が鼻息荒く答える

「それは頼もしいですね では、受けてもよろしいのですね?」

「キュキーーキーキューーッキーキュキュキッーキュー」

「向こうは、5匹いるので団体戦でと言っております」

上半身をはだけ、土俵に入る 八戒

「5人抜きますので 問題ありません」


「はっきょーい 残った!!」

バッチーン!!強烈な当たりから、“上手出し投げ“

「勝負あった!!」尻子玉を抜かれ、内股でヒョコヒョコと戻ってくる八戒

「だらしがないのう わしが仇を取ってやる!!」

悟浄が土俵へと上がる

「はっきょーい 残った!!」

右四つから下手を捻られ 膝を付く悟浄 尻子玉を抜かれ、

ほふく前進で土俵を降りる

「主役が5人抜きをして、盛り上がるというものよ!」

強烈な張り手で、膝から崩れる悟空


「あらあら 困りましたね。。。そう言えば、河童に勝つには

仏前に供えられた供物を食べると良いと聞きましたね

あなたは、妹を守りたいですか?」

「もちろんです!」男の子が元気に答える

「では、このぼた餅を食べて5匹を倒してください」

「河童の皆さん もしもこの男の子が貴方達5匹に勝ったら

もう悪さはしないと約束して下さい それと貴方達は水神の眷属と聞いています 紹介してくださいね」

「キュキーーキーキューーッキーキュキュキッーキュー」

「負けるわけが無いからいい その言葉を忘れないで下さいね」


残された妹と二人ぼた餅を頬張るエヴァ お尻を押さえながら、だらしなく悶える3人が見守る中 軍配が返る

「はっきょーい 残った!!」

“押し出し” “うっちゃり” “内無双” “浴びせ倒し”

最後の一際大きな河童を見事“寄り切り”で下す 男の子

「キュキーーキーキューーッキーキュキュキッーキュー」 

「参りました だそうです 皆さんの尻子玉も返してくれるそうですよ 約束通り 水神様に会わせて下さいね

もう悪さをしてはいけませんよ」

実に西遊記らしい結末に満足したエヴァが 幼い兄弟にお土産を持たせ帰路に着く


「皆さん!! あれが天竺ですよ」














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