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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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エヴァとお市の方

京都御馬揃えから一夜明けた早朝

「お館様 私は、そろそろ鳴海城へと戻ります アランの治療がありますので。。。それとお願いがあるのですが

東北の最上モガミ家に所蔵されている太刀で【鬼切·鬼丸】という二振りがあるそうなのです

手に入れたいのですが、何とか手を尽くして頂けますか? ルイが取りに行きますので」

「最上家と言われますと最上義守殿が当主でしたな 幕府の羽州探題職のお家柄 将軍義昭公に一筆頂き喜ばれそうな土産でも持たせれば なんとかなるかと」明智光秀が答える

「喜ばれそうな土産か。。。となると信長殿! 顕如より送られた【白天目茶碗】あれなどどうじゃ!? わしでも知っているくらいの一品じゃ不足はないであろう?」信玄が信長にニヤリッと笑う

「なっ! 何を言う あれは。。。そもそもここは、わしの定宿ぞ 何故、お主等まで居るのじゃ!」

「義兄殿、天女様のお望みですぞ?」

「光秀殿を始め、沢山の家臣を救っていただいたそうですね?」

「長政にお市まで、そのような事を。。。仲が良いのは、喜ばしいことだが」

「信長殿、無理を言って申し訳ありませんが あの竜を退治するには、どうしても必要なのです」上目使いに信長の目をじっと見る エヴァ

「【白天目茶碗】だけで良いのか? なんなら【へし切長谷部】も付けよう最上義守も嫌とは言わんじゃろう」

【童子切安綱】を取られている事を、すっかり忘れている織田信長が高らかに笑う

エヴァに否と言える男は未だこの世界には、居ないようだ

「今日は、午後から正親町天皇に拝謁じゃったのう 朝廷からも一筆頂けるか頼んでみるか」

「それでは、お館様 皆さんまたお会いしましょう 忠勝殿 お館様をお願いしますね

 鳴海城の皆さんにお土産を買っていかなくてはいけませんね ぼた餅にわらび餅に鍵餅、忘れてはいけないのが

 栗がまるまると入った羊羹ですね」


足取りも軽く部屋を辞するエヴァの背に、お市の方が声を掛ける

「天女様! この度は、兄信長と夫長政の件 本当にありがとうございました どのような言葉を用いても

足りないほど 心より感謝致しております」深く頭を下げる お市の方

「頭を上げてください お市様、私が何かをしたわけでは、ありません 感謝されるのでしたら皆さんに」

「いえ 私には、わかっております 天女様が信玄公をお導きくだされなければ 兄上と我が夫は、どちらかが死ぬまで争っていたでしょう それが手を取り合う結果になるなど 夢にも思っておりませんでした」

「聞かれていると思いますが、皆が手を取り合い更に強大な敵に立ち向かわなければなりません もっと過酷な

戦いに導いてしまうかもと逆に申し訳なく思っています 許してくださいね」

「なにを言われます 肉親同士が争うことに比べれば些事に御座います 天女様のお役に立てますよう 陰ながら

夫も兄も支えたいと思っております」

「あまり無理をされないでくださいね お腹の子に触りますよ」

「へ!?」目を丸くする お市の方

「ご懐妊されていますよ おめでとうございます」愛おしそうにお市の方のお腹に手をやる

「あらっ それは大変 あの天女様には、男の子か女の子かわかるのでしょうか?」嬉しそうに微笑む お市の方

「わかりますが。。。知らないほうが楽しそうですけど」

「今度またいつ天女様とこうして話せる時が来るやも知れません 天女様に名を付けて頂きたいと」

「わかりました それでしたら。。。ただ私は、この国の文化に明るくありませんので気に入らなければ

使わないでくださいね では、女の子です 名前は、この国に無いような大きな河を江と言うそうです 

いくつもの国を繋ぐような江になって欲しいと あとは浅井長政殿の治める国が江州とお聞きしましたので

[江]でいかがでしょうか?」

「ありがとうございます とても素敵な名前です[江]と名付けさせて頂きます」

「はい 元気な子供を産んでください」


山門で昨日を上回る人々に囲まれ 何度か杖を振るう事になる エヴァ

しかしお供え物の中に、お目当ての甘味を見つけ 供廻りと洋々と鳴海城へと旅立つ









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