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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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エヴァとお玉様

陽の傾き始めた門前町を抜ける ルイと妖狐

「随分と長い時間 話し込んでしまったな 玉は妖狐なのに神社仏閣に入っても大丈夫なのか?」

《その玉という呼び名は、決定なのか。。。内裏のように当時の陰陽師が結界を張っている土地には、今の私では入れないね ここのように新しい寺は問題ないよ》

「なるほど、陰陽師ってのは、よほど強力な魔法の使い手だったんだな」

《魔法? あんたの力の源は魔力なのかい。。。この世界には無かった力だね、陰陽師が使うのは神通力だよ

 修行によって神や仏の法術が使えるようになるらしいね》

「魔素が無かったのか? 今は、溢れているがな。。。?」

《私には、わからないけどね うん!?随分人だかりが出来ているけど、あそこが本能寺の山門じゃあないのかい?》

「そうだな 何かあったようだ急ごう」


大きな木台が山門の前に用意され

野菜や豆腐、米や味噌等などが山のように積まれている


エヴァの「都の美味しいものは?」発言と幼女に行使した奇跡

が口伝てに伝わり、天女様を一目見ようと

人々が思い思いの物を手に集まってきたようだ

「すごい人だな」門番に話しかける ルイ

「ああ 明日には、瓦版も出回るだろうから 木台を増やさないとならないな」

《ほ~天女も居るのかい あんたの仲間には》


人垣の後方がざわっとざわつき、静かな歓声が上がる

「天女様がお通りになる、道を開けてくれ」

なにやら良い匂いのする包みを山のように抱えた 本多忠勝が

大声をあげながら人混みを掻き分ける

それに気付いた4人の門番が人垣を左右に割ろうと両手を広げ

天女のために道を作る

上機嫌のエヴァが木台に積まれた食材を見て さらに上機嫌となる

「皆さんこんばんは、私が天女です」

また静かな歓声が上がり あまりの美しさに息を呑む人々

右手に持った杖を翳し 左から右へと人々の頭を撫でるように

ゆっくりと振る

「皆さんに天女の加護を」そう言うと踵を返し 境内に向かって

歩き出すエヴァ

それに遅れまいと、包みを山のように抱えた 忠勝が続く

「見ておくれ!曲がったままだった腰が!!真っ直ぐに」

「わしの膝の痛みも消えているぞ!!」

「婆さんや、わしの耳なんじゃが みんなの声が聞こえる」

「ありがたや ありがたや」

感涙に咽び手を合わせる人々 

《あんたのお仲間は、とんでもないね〜》


境内を抜け お堂の縁側に腰掛けお茶を片手に持ち帰った包みを広げる エヴァ

「ルイ あなたもこちらに来て召し上がれ このぼた餅は、絶品ですよ この羊羹なんて栗がまるまる入って もっと買えばよかったですね 上品な甘味というのは、いいものですね〜」

お茶を飲みながら、ほ~〜と溜息を漏らす エヴァ 至福の時のようだ

「そんなに食べると太るぞ」

「あらっ 素敵なお狐様を連れているのですね」

「ああ 今日知りあった 玉と呼んでくれ」

《あんた 凄い力を持っているんだね 明日には、さらに人が集まってとんでもないことになるよ》

「はじめまして、お玉様 貴方のような高位の存在にそのように言っていただき恐縮です あいにく明日にはここを発たねばなりませんので少しでも市中の皆さんのお役に立てるならと」

突然 狐に語りかける天女に心配そうに顔を覗き込む 忠勝

《お玉様かい。。。まぁいいけどね あんたらなら、あの竜を

本当に退治してくれるのやも知れないね 【鬼切、鬼丸】のニ振りと私が封印されていた【殺生石】が役に立つと思うよ》

「お玉様が言われるのでしたら 余程の力を持った物なのでしょう 詳しく教えていただけますか?」



その後 エヴァは深夜まで1時間ごとに山門へと出て

集まった人々に杖を振るうのであった




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