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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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玉藻前

「奇跡だ!!」 「ありがたや〜 ありがたや〜」 「まさに天女様だ! 天女様が降臨された」

平伏す者、拝む者、口を開けたまま瞬きも忘れた者。。。その者たちに手を振り 騎乗するエヴァ

私、弥次北馬右衛門 この眼で、はっきりと見ました 花を持ってきた耳の不自由な幼女を抱え上げた天女様が

その幼女の耳にそっと息を吹きかけると。。。なんと!その幼女は、天女様の言葉を聞き取り

産まれて初めて言葉を発しました!! 彼女が初めて発した言葉それが「天女」だったのです!!!

私 感動に打ち震えております まさに奇跡を目の当たりにしてしまいました

この感動を明日の市中全ての瓦版でお伝えしたいと思っております 


悠々と行軍の続く武田の御馬揃え 内裏の東側の馬場に進入し

左手に将軍義明の居城 二条御所を望み そのまま進むと右手に正親町天皇が観覧している豪華絢爛な御座所で

正親町天皇のお顔を拝顔の栄に浴する

武田、朝倉、浅井、織田が手を組み 強大な軍事力を幕府及び朝廷に見せつけるのに十分な成果を上げ

朝8時より始まった、京都御馬揃えは、午後3時過ぎに終わりを告げる


しばらくの間、武田信玄等の宿営地となる本能寺で遅い昼食を摂る

「なんともお上品な味付けのお料理ですね。。。」エヴァが不服そうに箸を置く

「京の料理は、五色,五法,五感,五味と言いましてな 食材の五色と煮る焼く等の五つの調理法と視覚、嗅覚等の五感と甘み苦味等の五つの味で楽しむものらしいですな」徳本先生が解説をしてくれる

「なんとも薄味で、物足りませんね。。。忠勝殿、市中に色々な屋台が出ていましたね 散策に出ませんか?」

「そ それは、2人で京を散策するということですか!?」

「ええ ルイは、散歩と言ってどこかへ行ってしまいましたし

私と出歩くのは、嫌なのですか?」

「嫌な訳などありません 天女様と都の街を歩けるなど 夢のような話でございます」目を潤ませ感動に浸る 忠勝

「わしもご一緒しま。。。ぐふっ」

徳本の鳩尾に手の平を当て、発剄を叩き込み黙らせる


『あれほど練習をしても、出来なかった発剄が、これほど容易く習得できるとは!!』


「では、参りましょう 銭はお持ちですね?」

「はい」懐をぽんっぽんっと叩く

広い境内を抜け 門前町へとエヴァと並び消えていく2人

本多忠勝の死ぬまでにしたかった事の一つが叶った瞬間である



昼寝をする場所を求めて、本能寺の東にある八坂神社の大杉に目を付けたルイ

「この国は、木材だけでこれほどの建造物を作るのだから

凄すぎるよな。。。お雪ちゃんと来たかったな〜」

大杉の樹上の枝に身を預け 八坂神社の本堂を見下ろす ルイ

《そこの 小僧!》誰も居ないはずの樹上で念話で話しかけられ

辺りを見廻す ルイ

「誰だ?」言葉に出して聞き返す

《貴方、面白い太刀を持っていますね それに貴方自身も異端ですか》

「姿を見せろよ ちょうど暇をしていたからな話し相手くらいにならなるぞ」

《私なら、さっきからここに居ますよ 上です》

上を見上げると、頂上に近い枝に寝そべる白い毛に覆われた生き物に気付く

「犬か? 狐なのか?」

まったく重力を感じさせない動きでルイと同じ高さの枝まで降りてくる 

《その太刀は、昔に大江山で悪さをしていた鬼 酒呑童子ですね 初めて会いましたが、それほどの力を持った鬼だったのですか。。。

うん? なるほど貴方の力に協調しているのですね 貴方の名は何という?》

「俺か? 俺はルイだ 狐と話したのは初めてだが、お前は何者なんだ?」

《私は、人であるときは皇后·美福門院と呼ばれていました

‘玉藻前’のほうが、通りが良いようですが》

狐面が笑った気がした










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