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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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敦盛

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ありがとうございます m(_ _)m

「戦うまでもない 降参じゃ!! あのような物を見せられて

家臣に戦えと言えるか?

この場を、わしの首一つで収めては貰えんだろうか? ここに居る明智光秀も柴田勝家も

あの竜の討伐に必ず役に立つ! それを見れぬのは心残りではあるが 何卒頼む」

織田信長が家臣の為に頭を下げる 長年忘れかけていた

他者を慈しむ気持ちを 不意に思い出した気がし、死を覚悟しながら、自然に口元が緩むことに奇妙な心地よさを感じていた


そんなアルジの思いがけない言葉に衝き動かされるように

上座に並ぶ、武田信玄·朝倉義景·浅井長政の前に膝を擦りながら

進み出て平伏し額を地面に押し付ける 明智光秀と柴田勝家

「何卒ご慈悲を! 先ほど真田幸隆殿の言われたように 異国の邪教にタブラかされていた事は、紛れもない事実 それを咎める事が出来なかったのは、我々の責でもあります 何卒!!」

「ふむ 良い家臣に恵まれたようじゃな しかしじゃ誑かされていたとはいえ その責を逃れることはできん 本人の望むように腹を切らせてやれ 介錯は、本多忠勝 お主じゃ」

「かたじけない 信玄公。。。その慈悲に感謝する

長政殿、お市には、いらぬ心配を掛けたと思うが 末永く大事にしてやってくれ頼む

その方ら、今まで世話になった 我が嫡男 信忠の事、よろしく頼む」

「装束はどうなされますか?」真田幸隆が声を掛ける

「手間は取らせぬ このまま、この場で良い 短刀のみ所望する」


しっかりとした足取りで十九女池の辺りへと歩む 織田信長 

それに従い脱いだ兜を受け取り 甲冑の紐を緩める 明智光秀


「人間五十年、下天の内をくらふれば 夢幻の如く也」静かに独り言ちる

「敦盛でございますか。。。」

「ふむ なにかを成し遂げたつもりでいたが、人の世の50年なぞ 実に儚く夢うつつのひと時であったのう」

膝立ちとなり、直垂ヒタタレを開け四方に載せられた短刀を手に目を閉じる

いつの間にか、横に立つ天女から放たれる香りが鼻孔をくすぐる

『この天女と呼ばれる女人と、もう少し話をしてみたかったものだ 今となっては詮無き事よの』

「徳川家が家臣·本多忠勝 介錯仕る」織田信長の横に立ち 太刀を八双に構える

「手間をかけるな 本多殿 家康には、あの世で謝っておく、許してくれると良いが」

「貴方が死んで、楽をすることを家康殿は、許さないと思いますよ」信長の耳元で囁く エヴァ

「これでしか、償う手段を思い付かぬでな そなたと話せた事、良い土産話になろう ごめん!!」

両の腕に力を込め 己が腹に刃先が触れる ザッシュッッッ!!!!!!! 本多忠勝の太刀が振り下ろされる

砂地にぽとりと落ちる。。。マゲ

「「「「「!!!!!!?????」」」」」

「第六天魔王·織田信長!!見事な最後であった お主の覚悟しかと見せてもらったぞ まさに生まれ変わったつもりで、この日の本の為に尽力するが良い また悪さをしたければ、このわしが

いつでも相手になるぞ がっはっは」信玄の笑い声が響く

「ねぇっ 言いましたでしょう? 家康殿も許しませんって

あっちに行って許されるためには、何をすればよいのかわかりますよね?」人とは、これほどまでに可憐に微笑む事が出来るのか

という、笑顔を信長に向ける エヴァ

自分の身に起きたことの理解が出来ず 腹に手を当て

「な!?」ようやく一言を絞り出す

「すまぬな 許せ しかしじゃお主の覚悟を、この場に居る

皆に見てもらう必要があった 悪く思うな」

「殿!!」信長の両脇に縋りつく 光秀と勝家


「さて これから忙しくなるのう わしは、京に上り将軍義昭公に謁見してくるが 天女殿はどうされるのじゃ?」

「私は、アランの治療のために鳴海城に籠もろうかと思っています」

「そうか わしらは、その後甲斐へと戻ろうかと思っておる

治療が終わったら 皆で来てくれるか? 本場のほうとうを馳走しよう」

「お館様、ぼたん鍋も用意しておいてくださいね」







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