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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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ベヒーモスの爪痕

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ありがとうございます m(_ _)m

 口の端から血を流す 馬場信春を抱えた武田信玄まで駆けていく エヴァ

「天女殿 馬場信春が死んでしまう!」

「両腕と肋骨も5本ほど折れていますね 折れた肋骨が肺にまで刺さっていますよ よく頑張りましたね」

杖を掲げ、折れた腕と胸に右手を翳す エヴァ

「これしきの怪我 お館様を守るためなら安いものじゃ がっはっはっはっは」

「見ていましたよ 強化の加護を授けたとはいえ あんなに大きな石塊を弾くなど無茶です 命を大事にしてくださいね」

「信春 まったく無茶をするでない!! お主も、もう若くはないのじゃからな フッハッハッハ」

「天女殿、かたじけない」揃って頭を下げる2人


「天女様、怪我人をあちらに集めて居ります 手が空きましたらお願いします」徳本の弟子が呼びに来る

「そうですか ありがとうございます では参りましょう」

「エヴァ 魔力は、大丈夫なのか?」ブルートが心配そうに聞いてくる

「大丈夫ですよ 私は、天女ですから」ふっふっと天女のような笑みを浮かべ 怪我人が集められた陣へと向かう


「武田より、織田方の負傷者の方が多いようじゃが 一緒でよろしかったかのう?」徳本が、この陣を仕切っていたようだ

「もちろんです 怪我人に織田も武田もありませんから 徳本先生 ご苦労さまです」

そう言いながら、怪我人の集められた陣の中央へと歩む エヴァ

「皆さん もうちょっと私の近くまで寄ってください 歩けない方を手伝って上げてくださいね」

武田の兵が、足を負傷した織田兵に肩を貸し エヴァの元まで連れてくる

その中には、織田信長を庇い、足を酷く火傷した明智光秀の姿もあった

200人ほどの負傷者が、エヴァを中心に輪になる 杖を掲げ 呪文を唱えるエヴァ

【慈愛に満ちたる天の光 天使の息吹となり 傷つきし者を癒やし給え 天光治癒】

杖の先から黄色く暖かい光が放射状に降り注ぐ 暗くふさぎ込んでいた負傷者の表情にも光が差し

怪我の痛みだけでなく、ベヒーモスから受けた恐怖心まで拭われていく

「本当にありがたい事じゃ」 「天女様がいる限り、わしらの戦は生きてさえいれば勝ちじゃのう!」

「わし天女様に治していただくの2度目じゃ 怪我をするのも悪くないのう ハッハッハ」

「な 何が起きたのじゃ!? 腹に穴が開いていたのに!!??」何が起こったのか理解できず 顔を見合わせ合う

織田の兵士たち 

「殿! それがしの足の火傷が跡形も無く消えております それになんとも言えぬ心地良い暖かさが。。。」

「ふむ 光秀よ あの方は、真に天女のようじゃのう このような心持ちは初めてじゃ これで武田と戦えと言って誰が槍を持つ? 弓を射ると言うのじゃ!? 天に逆らうようなものじゃのう フッハッハッハ」

なにかが吹っ切れたように 高く笑う 織田信長



従属させていた隼にベヒーモスを追跡させていた ルイが脳内地図と照らし合わせベヒーモスが着地した地点を割り出し その場にいた本多忠勝、お雪、風魔党らと向き合う

「なあ 皆、ベヒーモスは御嶽山の火口に入って行ったぞ と言うか、あれは俺達の知っているベヒーモスじゃないけどな。。。翼が生えて、空を飛ぶとか 反則だろ?」

「御嶽山と言えば、ちょうど武田と織田の国の境になるな お館様は、織田をどうされるのじゃろう?」

本多忠勝が、皆の顔を見て意見を求めるが 首を捻る者しかいない 

ブルートとエヴァが輪の中へと入ってくる

「皆 改めてよろしく ブルートという ルイとエヴァと仲良くしてくれて本当にありがとう いい仲間に恵まれたようで本当に良かった」目頭を押さえながら 頭を下げる ブルート どうやら泣き上戸のようだ

「「「「「えっと天女様とのご関係は?」」」」」なぜかハモる面々にお雪が入っていることに 驚愕するルイ

「長年共に戦ってきた仲間だが?」 「歳の離れた兄のようなものです」同時に返ってくる 異なる答え

「3歳しか離れていなかった筈だよな?」ほっと胸をなでおろす 一同

「まぁ それは、置いておいてベヒーモスだが、ここから東に行った所にある御嶽山という山の火口に降りたぞ」

「火口!? そこは活火山なのか?」ブルートが身を乗り出し 聞いてくる

「時折 噴煙を上げていますから活火山だと思いますが? それがどうかしましたか?」お雪が答える

「いや。。。野生のベヒーモスは火山の火口で産卵をして巣ごもりをするんだ。。。」





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