エヴァ 説教をする
手にした[童子切安綱]を太陽に向け掲げ 目を細める ルイ
まるで語りかけるかのように、僅かに自分の魔力を流してみる
刀身がドクンッと脈打ち ルイの腕に融和をするかの様に、刀身にいく筋もの血管が浮き出てルイの魔力を吸い取ろうとでもするのかのように徐々に徐々に黒く染まっていく
「お前、酒呑童子って言うのか? 酒?? 酒はやれないけど、もっと良いものをやるぞ!!」
そう言い、さらに魔力を流すとドックン ドックン ドクンッ!! 大きく脈打ち 漆黒に染まる刀身
「待ってろ もっと美味いものを切ってやるからな」
山県昌景より鞘を受け取り [童子切安綱]を収める
「忠勝殿、そして皆さん ご覧いただきましたように この騒動の一因には、この邪教のマントとこの太刀があります 所有する者の人格を蝕んでいくほどの強力な呪いを掛けられたマントに鬼の宿った太刀を手にした事により
今回のような暴挙に出たと考えられます もしも放置していたら 巨大な力で、この国を間違えた方向に導いていたかもしれません おそらくその前に自ら身を滅ぼしていたでしょうが。。。」
思い当たる節があるのか 顔を見合わせ頷き合う 織田の家臣達
「そのような品を おのれ!! あの宣教師め!!!」
「黙りなさい!!」声を張り上げ 一喝するエヴァ 初めて聞いたエヴァの大声に背筋を伸ばす一同
「貴方の心の弱さと未熟さを見抜いて、その弱さにつけ込んで その宣教師なる者もマントを託したのですよ!
人というのは、弱いものなのです その弱さに目を背けて強くなろうとする すると痛みのわからない
鈍感な人間になるのです 自分の痛みに鈍感になると人の痛みにも鈍感になるのです
貴方は、自分が強くなったと錯覚をしてしまった 錯覚をした人間は、他者を攻撃する。。。痛みがわかりませんから 痛みに鈍感になり優しさを失う 弱いままで良かったのです 弱いままで家臣たちと手を取り合い 民に優しい国を作れば。。。 誰よりも強い国を作れたのに 貴方は、皆の大切な者の命を奪いました その罪を償いなさい」しーんと静まり返る 一同
「わしは、どこで間違えたのだろう?」そう呟く 織田信長に明智光秀が寄り添う
「殿 まだやり直せます」
マントから霧散したかに見えた 赤い霧が空中で渦を巻き 矢を形作る 見えない弓から放たれるように
ベヒーモスに向けて一気に加速を始める“Bahamut”そう叫び 土牢に囚われたベヒーモスの眉間を貫く
一瞬の出来事だった
眉間を貫かれたベヒーモスの体表が灼熱の真紅へと変わり 背中からバリッバリッと破裂音をたて2枚の翼が生える
その翼をバサッとはためかせると土牢が崩れ落ち ベヒーモスを中心に高温の核が爆散する
「障壁!!」 「氷壁!!」 エヴァの障壁がベヒーモスも包み込み ブルートの氷壁が周囲の人間を高熱から守る
「逃げろ〜!!」ルイが叫びながら ベヒーモスよりさらに高く飛翔し 脳天に[童子切安綱]を突き立てようと
太刀を逆手に持ち 加速を増しながら落下していく それにタイミングを合わせ障壁を解除したエヴァが
ベヒーモスを地面に縫い付けようと【重力魔法】を唱える
ズシンッと腹を地面につけたベヒーモスだが、その重力に抗い首を跳ね上げる
その脳天に着地すると同時に[童子切安綱]を尽き立てる ルイ
刃先が数十センチ喰いこんだ所で 首を捩り 自分の頭に向け尾を払う ベヒーモス
その尾を太刀で受け その力に逆らう事なく氷壁へと飛んでいき空中で反転をすると 氷壁を足場にして
両脚の筋力をバネにして、さらに加速を加え ベヒーモスへと飛んでいく ルイ




