忠勝と小太郎
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一路 関ケ原へと駆ける23頭の騎馬
鮮やかな緋袴の巫女の騎乗する姿が、あまりに凛々しく あまりにも美しく
街道をすれ違う人々の目を奪う
「忠勝殿、織田方の斥候は、どの程度 入り込んでいました?」
「念を入れまして、怪しいと思われるものすべてを捕らえましたので15名ほどになりました」
「それは、ご苦労様でした 街道から外れますが、あそこの畦を行く2人組 百姓の身のこなしでは、ありませんね」
「確かにそのようです、2日ほど動けなくしますか? それとも捕らえましょうか?」
「そうですね ちょっと聞きたいことがあります 捕えてここへお願いします」
「承知!」 言うやいなや馬から飛び降り駆け出す2人
「なぜお前が来る! 拙者が天女様に命じられたのだ! 付いてくるな」引き離そうと 速度を上げる 忠勝
「俺だって、天女様に褒められたいのだ 2人居るのだから一人ずつでどうじゃ?」
仮にも忍者である。。。 荒れ地での走法は一枚上手だが、加護を受けた忠勝に追いつくことは容易ではない
「あの程度の相手に、お主なぞの手を借りたと天女様に知れたら 一生の不覚だ 黙って見ておれ」
「ちょっと待て! あいつ早すぎるだろ こうなったら」腰に巻いていた紐を解き 前を走る忠勝に投じる
紐の両側に分銅の付いた狩猟武器が回転をしながら 忠勝の足に絡みつく
もんどりを打って 土作りの始まった田んぼに頭から突っ込む
「小!太!郎!!」頭だけを泥の中から上げ 手元の泥を丸め【指弾】を飛ばす
バッチーン!! 甲高い音が辺りに響き 後頭部を押さえながら 田んぼに頭から突っ込む 風魔小太郎
同時に起き上がり 百姓姿の2人に向かい駆け出す
泥だらけで迫ってくる大男に気づいた 百姓姿の2人が慌てて背を向け逃げ出す
バッチーン!! バッチーン!! もんどりを打って田んぼに転がる 2人
「ガッハッハ 見たか? 俺の飛礫が先に当たったようだな」
「お主の目は、節穴か? 拙者の飛礫が先にふくらはぎを見事に
貫いておろうが」
「あの おら達は、この村の百性ですが。。。」
「「うるさい!! 黙っておれ!!!」」
「「天女様! 拙者[俺]が連れてまいりました!!」」
「ご苦労様です 2人とも、そのように泥だらけになって
私に近づかないでくださいね」ふっふっふ
崩れ落ちる 忠勝と小太郎
「それでは、あなた方に尋ねたいことがあります
2人共この風車を持って、はいかいいえで答えてくださいね」
「私は、織田の手の者です」
「いいえ」風車がぐるぐると回る
「嘘を言うと、風車は回るのです やはり織田の間者でしたね」
「いや おら達は、この村の。。。」ぐるぐると回る風車
「大垣城に集まっている兵は、小谷城に向け出陣する」
「いいえ 俺たちは、知らない」ぐるぐると回る風車
「出陣は、今日?」
「いいえ」
「出陣は明日」
「いいえ」ぐるぐると回る風車
「やはり、小谷城に明日 出陣ですね もう2人に用はありませんね」
「殺しますか?」風魔党の与吉が小太刀に手を掛ける
「ヒッ! 俺たちは、響談だ もう織田には戻らない 命だけは、助けてくれ」
「2日ほど、そこの藪の中で大人しくしていてください」
こうして響談の新頭領·新井一慶は、麻痺の魔法を掛けられ
藪の中に転がされる
「では、参りましょう」再び関ケ原に向けて歩みを進める一団
その最後尾を、トボトボと着いていく泥だらけの忠勝と小太郎
浅井長政に文を届けた お雪は、長浜にある生まれ育った村落を散策に訪れていた
「この辺は、何も変わらないようですね ん!?」
不意に立ち止まりブナの木の生い茂る 湖岸に目を向ける
「なんだか、あの辺から天女様やルイに似た魔力を感じます」




