郷土自慢
岡崎城 二の丸 天女御殿
二の丸の東端に増築された 天女専用の私室
徳本先生の「天女様がゆっくりお休みになれる部屋を差し上げたいのう」という呟きを聞いた
腕に覚えのある[大工仕事の]兵が、あっという間に数百人集まり
武田信玄と徳川信康の許可を得て 徳本先生のわしの部屋も隣に。。。という案は、却下され
わずか2週間で作り上げてしまった
工期は早いが 意匠は見事なもので 中庭と専用庭の仕切りとなる竹垣にも趣向が凝らされ
最上級の畳20畳を敷き詰めた居間に12畳の寝室 庭園へと降りる縁側には、
樹齢500年以上のヒノキの一枚板を使用
専用庭園には露天風呂に鯉が数十匹も放たれた池まで備える
襖、掛け軸には狩野派の絵師を呼び寄せ 襖には、ため息が出るほどに見事な[四季花鳥図]を
そして掛け軸には、天女様を題材とした[白衣観音像]を仕上げていった
完成後、天女様の希望で出入りのポルトガルからの宣教師に頼み ペルシャという国の絨毯を居間に敷き詰め
オランダで製造されたテーブルと椅子を運び込み ポルトガル製の巨大な寝台を寝室に設置
中庭には竹細工職人を集め 居間のテーブルと椅子を模した物を数台設置した
出来上がった 天女御殿を見て武田信玄が「これだけで城が一つ建つんじゃけど」と言ったとか言わなかったとか
その完成したばかりの中庭に大樹寺での葬儀を終えた武田信玄とその重臣たち
上杉景勝などの主だった弔問客たちが徳川信康、武田信玄、細川藤孝に挨拶をと集まっていた
「これは、美味しいです! クジラというお魚ですか? お魚というより獣の肉のような野性味が溢れていますね」
「天女様は、お目が高い!これは、我が領土 南房総で捕れたクジラを醤油ダレで漬け込み天日干ししたものですな
言わばクジラの干し肉ですな ちなみにクジラは魚ではありません 卵を産まずに出産して授乳しますからな
こいつは、久々に20メートルを超える大物でした」がっはっはと意気揚々と答える 安房6代目当主 里見義弘
「さっさ こちらの塩漬けの方も お召し上がりください」がっはっはっは
「天女様 そのような下品な物でなく 拙者が天女様のために持参しました こちらの笹巻きをお召し上がりください」 最上家が重臣 氏家定直が里見義弘と天女の間に割って入る
「何が下品じゃ!! そう言えば お主のところでは、もち米を蒸した物をクジラの形をかたどって、クジラ餅などと言って喜んでいるらしいの クジラが捕れるのが羨ましんじゃろう」がっはっはっはっは
「あら こちらの笹巻きですか 正月に頂いたお餅に似ていますがぷるぷるとして 食感も楽しく美味しいです!」
「そうでございましょう! もち米を笹で包み 灰汁の上澄みで茹であげますと、このような食感と透き通るような黄色に仕上がるのです そちらのきな粉をつけて頂いても美味しいです」
「あっ本当ですね これも美味しいです!気に入りましたヒック」
「天女様お初にお目にかかります 伊達家より遣わされました遠藤基信21歳未だ独り身でございます
天女様 お口直しにこちらをお召し上がりください 松島で取れたヒラメを使った笹かまでございます
クジラだのもち米などの下賤な物でなく 高級白身魚ヒラメをふんだんに使った上品な一品にございます」
「ほぅ〜見た目も可愛くって上品ですね どれっ。。。ヒック確かにこれは、外側はサクッとして中はぷるぷる
このヒラメという白身魚も味わい深いです どれも美味しくって甲乙つけがたいです ヒック」
心から幸せそうに微笑むエヴァに完全に不抜ける面々
「天女様 上杉景勝にございます 我が領土越後と言えば米どころ その日の本一の米から作った、
先ほどから天女様に飲んで頂いている 地酒ですが気に入って頂けましたでしょうか?」
「「「「「「「え!!!! 地酒!!!!?????」」」」」」」
「お前なんてことを!!」ルイがいち早く竹垣を飛び越え避難する
すでに髭を捕まれ 捕獲されている徳本先生
「おい! お前ら上手いものを食べさせてもらったお礼だ 飲め! ほらぼやっとせずに飲め!!」
「はっ 頂きますが 武田も徳川も家臣の皆さんは、どちらへ?」
「厠だ! 気にするな 飲め! そして唄え!!」
「おい!遠藤基信21歳未だ独身 飲んでおらんではないか!」
「いえ 頂いております」
「口だけでなく鼻からも飲め!!」キャハハハ
これを見ろと4人の前に右手の拳を差し出し 3人の鼻先で握った手を開く
すると開かれた手の平から一斉に雀蜂が飛び立つ
「一番飲んでいない者に襲いかかりますよ」キャッハハハハ まさに地獄絵図である
それを櫓から見ている面々
「天女様が眠るのを待つよりないのう。。。」
「あいつら。。。わしらに挨拶に来たんじゃなかったか??」




