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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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大樹寺

更新 遅くなりました

岡崎城より粛々と続く葬儀の列 家康の遺骸を輿に乗せ、数百人の僧、奉公衆、同朋衆、数千人が葬送行列として

大樹寺まで連なる 

その脇を固めるのは、徳川、武田の兵 2万人

その葬送行列を一目見ようと、大樹寺を取り巻く町人達 遠くは大坂、小田原、甲府等から人々が押し寄せ

岡崎城下は、かつて経験したことの無い密度で賑わう

大樹寺の参道には、いくつもの焼香台が設置され一般の庶民の焼香が可能となっており

それぞれに長い行列が出来ていることからも、岡崎における徳川家康の為人ヒトトナリが伺える


初日 弔問に訪れた面々にも故人の影響力を偲ばせる これには、喪主である徳川信康の後見となった

将軍義昭と武田信玄の影響力も当然あるわけだが、それを含めての故人の影響力である


将軍·足利義昭の名代として細川藤孝を筆頭に

本願寺より第11世宗主·顕如本人が50人にものぼる僧を引き連れ

東北 最上家より重臣 氏家定直 伊達家より遠藤基信 安房里見氏より6代目当主 里見義弘本人が

北条氏より清水太郎左衛門 上杉家より上杉謙信の養子 上杉景勝 毛利家より吉川元春など

いずれも当主の信頼の厚い重臣達が弔問に訪れ

今この時も、続々と大樹寺を目指し日の本の津々浦々から集って来ている

天皇家の葬儀を除けば

この国での最大規模の葬儀であることは、誰もが認めるところであろう


居並ぶ僧たちの読経が続く 本堂

奉公衆、同朋衆が左右に並ぶ列の間を、ゆっくりと進む焼香の列

喪主·徳川信康 

後見人·武田信玄 

将軍·足利義昭の名代 細川藤孝


そして大樹寺の境内 50メートルを超える杉の木の頂きに

腰を下ろす 黒い忍者装束のルイ

浜松城での家康との邂逅が頭をよぎる

血の海と化した 中庭を躊躇せずに裸足で歩き

家臣である本多忠勝の遺骸に寄り添う その姿を

忠勝の遺髪を大事そうに見つめ そっと懐に忍ばせる その姿を

少し感傷に浸りながら 眼下の途切れることのない人並みを

眺めていた



それと同時に徳川の各領土、北条氏よりさらなる援軍を合わせて約2万が鳴海城に向け行軍の準備を

信濃、甲斐の武田勢は、昨年に接収した東美濃の岩村城を目指し、雪解けとともに行軍を開始する

加賀の朝倉義景も雪解けを待って2万を率いて浅井と合流すべく小谷城を目指す 信長包囲網が着々と進んでいる


そして、まるでそれに呼応するかのように織田の各領土より 持てる兵のすべてを、大垣城に向け続々と集結されつつあり

織田信長の号令とともに5万を超える兵が、浅井長政の小谷城に向け進軍することになる


そして、その頃 静かな戦いを繰り広げているのが、琵琶湖西岸のブルートとベヒーモスである

湖底に沈むベヒーモスの赤く血走った両目は見開かれ

獅子のそれに似たタテガミを逆立て 

人の腕ほどもある爪で湖底を掻き毟り

四肢にありったけの力を込め

ブルートにより掛けられた封印を解こうともがく 

【完封鎖の呪い】の108本の魔力の鎖が34本引き千切られ、残りの74本がベヒーモスの四肢を拘束している

火属性の魔獣ベヒーモス これがもし水中で封印していなければ

容易く破られていたのは、間違いない

「ベヒーモスを縛っていられるのも、あと2週間が限界だな せめて魔力を回復させ この世界の住人になんとか報せなくては」











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