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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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雪合戦

閑話だと思ってご覧ください

2月に入り、例年より厳しい寒さに覆われた中部地方、山間部 1メートルを超える積雪に囲まれた

大垣城に各織田の領土より 毎日数名ずつ静かにそして着実に兵達が集結していた

決して武田に気取られないよう商人や町人、百姓を装い大垣城を目指す

3月までに5万人の兵が大垣城に集結することになる


鳴海城 物見櫓

「お雪ちゃんは、雪って見たことある? ん?? お雪ちゃんのお雪は雪の雪???」暇を持て余している ルイ

「ん? そう大雪の日に産まれたからお雪だって 私が育ったのはね 長浜って言うところなんだけど

 今頃の時期は、私の背丈くらい雪が積もるの」櫓から西の方角に目を凝らしながら ルイに答える

「ふ〜ん 見てみたい! お雪ちゃんの雪 見てみたい!!」

「雪は私の雪じゃないけど。。。ルイは、見たことないの?」

「俺のいた、王国では雪が降らないからな 空から降っている雪は見たことがないな」空を見上げる 

『本当は、見たことあるけどね 鳩小屋作って回るのに嫌って言うほど見た お雪ちゃんと見に行きたいだけ温泉とかあったら最高なんだけど。。。ムフッ』いろいろ邪な妄想を膨らませる ルイ

「空からは?」

「そう 空からは。。。ブルートが使う吹雪系の魔法は、ヒョウが渦を巻いて吹き荒れるぞ

下手に範囲内に入ろうものなら、一瞬で凍りつく」何かを思い出したのかブルっと背筋を震わせる

「うん それは雪じゃないと思う ブルートさん 早く見つかるといいね」

「どこかで、生きているとは思うけど。。。この世界では、ないのかもしれないな お雪ちゃんが育った長浜って

どっちの方角?」

「あっちだけど」西の方角を指差す お雪

「見に行こうか?」

「そうね いつか行こうね」ようやくルイの顔を見て答えるが、すぐに西の方角の監視に戻る

「もうすぐ交代の時間だろ? 俺たちの足ならパッと行ってパッと帰ってこれるって」

「織田の領地を抜ける事になるからね 天女様に怒られるよ」

「それは不味いか。。。 見てみたいな〜お雪ちゃんの雪」

「そういえばこの前 商人の人が、三河の山沿いでは雪が積もってるって言ってたな」

「行こう! 今行こう!! すぐ行こう!!!」脳内地図を広げて高速で三河の温泉地を検索すると三谷温泉がヒットする

「駄目でしょう!? いつ織田が攻めてくるかわからないのに 天女様に怒られるって」

「俺たちの足なら2時間で行けるって だいたいこの城が攻め落とされると思うか? 

今から行けば夜には帰れるし」 『帰れないけどね ムフッフッ』さらに邪な妄想が広がっていく ルイ

「天女様にお願いして 天女様のお許しを頂けたらね」

聞くやいなや、櫓から飛び降り エヴァの元に駆け出す


「そういう訳で お雪ちゃんと雪を見に ちょっと三河まで行ってくる」返事も待たずに駆け出そうとする ルイ

「ちょっと待てルイ! 拙者も行くぞ」本多忠勝が背を向けたルイを引き止める

「なぜお前が行くんだ! 俺はお雪ちゃんと温。。。ごにょごにょ」

「もちろん お主と雪合戦で雌雄を決する為だ!!」

「子供じゃあるまいし なにが雪合戦だ ふざけるな! 俺はお雪ちゃんと あんな事やこんな事。。。ごにょごにょ」

「雪合戦を馬鹿にするな! 投石は戦場での立派な戦術だ 合戦と名のつくのも当然であり 合戦でルイに負けるわけにはいかぬ!!」

「なるほど忠勝殿 それは一理ありますね そういう事でしたら魔力も余っている事ですし 私に任せてください」

そう言うと中庭の障子を開け放ち 杖を空に向け掲げるエヴァ

どさっどさっどさっどさ まとめて落ちてくる雪 どさっどさっどさっどさ さらに積もり上がる雪

「。。。。。。なぜこんな事に?」うずくまり ちょっと涙ぐむ ルイ

どさっどさっどさっどさ どさっどさっどさっどさ 中庭だけに留まらず 訓練所、弓道場にまで降り積もる

何事かと集まってくる 羽柴秀吉とその配下500名 すると反対の方角から現れる馬場信春とその配下500名

「合戦じゃああああああ!!!!!!!!!!」本多忠勝の雄叫びに 足元の雪を丸め 一斉に投げ合う両軍

「うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」歓声が押し寄せる城内 「誰だ!!!! 石を入れたのは!!!!」

「殺せ!!! 殺すんだ!!!!」戦好きの脳筋ばかりな様である 「誰だ!!!! 馬糞はやめろ 馬糞は!!!」

1000人を超える 大の大人の雪合戦が夕方まで続く。。。。


「なぜ。。。こんな事に!?」ちょっと本気で泣く ルイの頭に忠勝特製 雪が少し付着した石が直撃する

「忠勝!!!! 5回殺す!!!!!」


交代の見張りがいつまで待っても来ない お雪は夕方まで西の方角に目を凝らし続けていた




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