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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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信長の憂鬱

岐阜城 天守閣 西洋の豪奢な椅子に腰掛け 一人佇む

この城の城主 織田信長 話す相手は居ない 目を閉じ

先程からボソボソとなにやら独り言を呟く


「さて 困ったぞ

いろいろおかしな事が、起きているようだ。。。

水野信元が裏切ることは、想定内っていうか 家康の生母も居るしな 

それより問題は、佐治信方に嫁がせたお犬ちゃんでしょ まさか戦わずに降るどころか

武田に就くとか。。。ありえんでしょ?

これは、さすがに精神的に応えたよ。。。

浅井の所に嫁がせたお市ちゃんは、浅井長政をなんとか

思い留まらせようと 頑張ったって聞いてるけど

お犬ちゃんは、戦おうとする佐治信方を、裏切るように

説き伏せたらしいんだよね。。。ありえないでしょう?。。。 

っていうか 政略結婚の意味がまったくないんですけど?

俺って家族運が無さすぎるのか?

そりゃ〜 そもそも実の弟と尾張の覇権を争って

殺しちゃってんだから そんなもん、あるわけもないか」


薄い笑いを浮かべると 先日伴天連から献上された

ワインなるものを ビードロでできたコップに入れ 口に含む


「うまいな〜 このワインというのも旨いが このビードロのコップなるもので飲むから

さらに旨いんだろうな これ湯呑みで飲んでも どうかな〜? やっぱコップだろう?

みんなの前でコップのほうが良いなんて 口が裂けても言えないけどな はっはっは

さんざん値打ちこいて あっちこっちから大枚はたいて集めたけどさ 正直何がいいんだかさっぱりわからんよ

金貨100枚で買った茶碗が、俺の手から将軍の手に渡った時点で、金貨200枚で買いたいっって奴がいくらでも居るんだよ?

まぁ元々 与える領地がないから そこらにある茶碗に値打ちこいて金貨50枚で買った値打ちもんだって適当に言って 領地の代わりにあげたんだけどね

今では、城も領地もいらないから茶碗くれって。。。頭おかしいでしょ はっはっはっは

茶碗くれてやる分には、反乱とか心配しなくっていいから安心だけど。。。待てよ この茶碗を狙って、俺の寝首を。。。まさかな〜  

しかし、このコップを見ても ポルトガルだのオランダだのの技術は、凄いよな〜 ビードロをこんなに薄くして

こんなシュッとした物が出来るんだもの

正直、白天目茶碗なんかよりコップのほうがよっぽど良いよ ポルトガル行ってみてえ ん?」


コップに残ったワインを一息に飲み干す


「いやいやいやいや! こんな事考えてる場合じゃなかった 

武田だよ 武田 たった4000に負けるか。。。? 

鳴海城に2万5000いたんだよ? しかも鉄砲3000丁 秀吉もいったい何をしてたわけ??

瀕死で逃げ帰ってきた前田利家の話では、向こうの弓は届くけど こっちの弓は、まったく届かずに

一方的にやられた上に 城内に乗り込んで来た 本多忠勝の槍の一振りで20人以上が吹き飛ばされたとか

あの慶次郎が手も足も出ずに逃げるだけで精一杯とか 

極めつけは、全焼した鳴海城が堀も石垣も強固に巨大になって 再建されてるって。。。

おかしい はっはっは おかしいなんてものじゃない」


コップになみなみとワインを注ぎ 零さないように口を付け啜る


「よし! ここは俺らしく 武田は、放っておいて浅井を攻めるか! 家康の葬儀を大樹寺でやるそうだし

雪が溶けるまでは、ここまで上ってこれんだろ うちもキツイが小谷城までなら何とかなるか!?

5万も集めて囲めば。。。うん! そうしよう!! そうと決まれば よし 織田信長を演るか」


コップに残ったワインを一息に飲み干し 階下に向かい叫ぶ


「蘭丸! 蘭丸は居るか!!」







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