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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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鳴海城落城

「本多忠勝殿 弟、秀長は助けてやってはくれまいか ここの総大将は、このわし羽柴秀吉じゃ」

「投降すると言われるのでしたら、命までは取りませぬが」

「ご覧の様に、刀の1つも持っておらん 持っておったところでなんの役にもたたんがのう わしの出来ることは

土いじりだけでのう 刀を持って斬り合うなど真っ平じゃ」

「羽柴殿、それはクダるという事ですね」目に力を込め 秀吉を睨む

「本多殿 お主、変わったのう 鬼の中に仏を住まわせておるのか? 家康殿の死のせいかのう。。。

あれは、わしが止めねばならんかった どんな罰を受けようとも 止めねばならんかった すまんかった」

「本物の鬼と天女様に出会いました故 そのように見えるのかもしれませぬな

羽柴殿、そのお気持ちが本心であれば 我が殿も少しは報われまする では、参りましょう」

この時点で、鳴海城は落城 開戦から僅か2時間足らず 武田軍の快勝である

武田軍の死者 0人 負傷者 若干名 すでに治療され全快 3万本を超える矢を消費したが

鳴海城の武器庫より大量の矢、鉄砲を回収

織田軍の死者 鳴海城と2つの砦を合わせて 約1200名 煙に巻かれた者、火矢に射抜かれた者が大半である

負傷者 6000名 


秀吉を伴い、大手門をくぐる 高々と【蜻蛉切り】を掲げ 勝利を宣言する

おおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!  うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! 歓声が木霊のように押し寄せる


「山県殿、ただいま戻りました」両手を広げ 無傷で戻った事を強調するが、エヴァの姿が見当たらない

「おぉ ご苦労であった 勝鬨がここまで聞こえてきたわ はっはっは さて、羽柴秀吉殿 秀長殿

 久しいのう」

「お久しぶりです 山県殿 武田軍の鬼神のような強さ 身を持って味合わせて頂きました

 降った者達の命 わしの命一つでは、軽すぎると十分に承知しておりますが 何卒」土下座から土にめり込むほどに額を押し付ける

「羽柴殿、織田信長に義理を通すと言われるのであれば その身を拘束はしますが、命までは取りませぬ

武田の戦を見られて 織田信長が武田信玄に勝てると思われますか?」諭すように聞く 山県

「正直 思いませんな。。。なぜこちらの弓は、まるで届かないのにそちらは届くのか? この本多忠勝殿の鬼神のような強さにも肝を冷やしました」羽柴秀長が答える

「それを織田信長に伝えに行った 家康殿は、あのような姿で戻る事に。。。羽柴殿も岐阜に帰られますか?」ぶるっと身震いをする 秀吉

「家康殿には気の毒なことをした 繰り返すが、わしが止めねばならんかった」

「今は、片付けねばならぬ事が山のようにありますので 隣の陣で休まれるのも良し この本多忠勝に着いて

 武田の強さの秘密を見て回るのを許可しましょう  今後の事は、後ほど話しましょう」

そう言うと 背を向け本陣を後にする 山県昌景 取り残されキョトンとする 羽柴兄弟


では行きますか? と目で合図する 本多忠勝に着いて本陣の裏手に張られた 本陣の数倍もの広さの陣幕に入る

負傷者が集められ治療を受けている空間だという事が すぐに理解できる

白衣を着た 武田の医者らしき者たちが 水桶や手拭い、薬などを持って 忙しく走り回っている

ざっと見て1000名近い負傷者に対して 出来る事など どの戦場でも僅かなものである

そこから奥へと進む 忠勝の背中を追う羽柴兄弟

何かを見つけたのか 忠勝の歩みが早まる 急に両手を広げ

「ただいま戻りました 天女様!」その視線の先の巫女のあまりの美しさとこの場の違和感に立ち尽くす 羽柴兄弟

「ご苦労さまでした 忠勝殿 怪我などされていませんね?」忠勝に向けられた微笑みに嫉妬さえ覚える

「はい かすり傷1つ負ってはおりません」

「えっ この方が天女様?」秀長が呆けたように 忠勝に聞く










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