徳川家康
この時代って、通称や役職、出身地等で呼び合うもので 実名で呼び合うことはなかったらしいのですが
誰が誰だかわからなくなりますよね 生涯で何度も名前変える人も居るし 悩んだのですが
大河ドラマなどに倣って もっとも親しまれているフルネームでいきます
上杉謙信=長尾景虎とか知ってる人は、知っているのでしょうがw
わずかな従者を従え、馬上より戦況を見守る 徳川家康のもとに
浜松城の留守を任せたはずの夏目吉信が駆け寄る
「夏目、なぜお主がここにいる? 城の留守を申し付けたはずだぞ」
「殿! お叱りは、この命を持って償わせていただきます。 何卒 いったん城までお引きください」
「馬鹿を申すな、これだけの家臣を死なせて ワシだけ城に戻れるか! これより打って出る!!」
「殿 それはなりませぬ この戦に負けても 殿が生きていれば 徳川は負けておりませぬ
こちらの鈴木久三郎殿が殿の影武者となりまする 本多忠勝殿の軍とともにお引きください」
「ワシは引かぬと申しておる!!」
鈴木久三郎が家康の軍配を強引に奪い取る と同時に夏目吉信が手綱を取り乗馬の向きを強引に変えて
刀の鞘で馬の尻を強く打ち 走らせる
「本多忠勝殿 殿の事 徳川の事 よろしくお願い致します」深々と頭を下げる
「夏目殿 お任せください 必ず殿を城までお守りいたします 叔父上も共に参りましょう」
「本多忠真殿も一緒ならば心強い! 殿を頼みます」
「ワシの事は、よい行くのじゃ忠勝! 殿をお守りしろ!」 一瞬ためらうが馬首を翻し 家康を追う忠勝
「夏目殿 しんがりは、この忠真にお任せください」そう言うと旗指し物を左右に突き刺し
「ここより決して引かぬ!! お二人は本陣でお寛ぎください ガッハッハッハ」
「忠真殿の槍さばきを久しぶりに見れますな しかしご子息の菊丸殿は、
浜松城にて籠城戦の準備をさせてはどうか?」
「これはかたじけない夏目殿 確かに人手は要りますな 菊丸!! 聞いたとおりだ
殿の後を追い 手足となって働け!! ワシも追って駆けつける」
「はい 父上 必ず無事にお戻りください」
浜松城へと戻る馬上の家康 その周囲を本多忠勝の軍30名ほどで固める
「あやつら 必ず無事に戻らねば許さぬ。。。」頬を伝う涙を人知れず拭う
家康にとって、これが初めての負けではない 負けではないが
まったく手も足も出ずに、負けたのは初めての事である
『武田信玄 これほどか。。。 わかってはいたが、信長殿でも勝てる気がせぬ』
「忠勝! 忠勝!!」
「こちらにおりまする殿」
「お主の叔父もだが ワシに対してのあ奴らの狼藉 許すわけにはいかん 城に戻ったら あ奴らの嫁や子供 親族まで手厚く保護するのじゃぞ けっして困ることのないよう 十分な報奨もな」
「まったく困った叔父上です 夏目殿、鈴木殿の件もお任せください」
「それとな忠勝 城に残した兵は500にも満たぬ 武田は2万人以上を残しておる
どこからも援軍が見込めぬ以上 籠城戦にもならんな ハッハッハ」
「守りを固めて 織田に援軍を要請すれば?」
「織田殿も四面楚歌の戦いを強いられているというのに、此度の戦に5千もの援軍を預けて下さった
その大半が潰走とあっては、合わす顔もない
そこでじゃ 城に無事戻れたら 門もすべて開け放ち 篝火を盛大に焚いて飯食って寝るぞ!」
「それは、面白い! 城に戻るのが楽しみですな ハッハッハ」心より楽しそうに笑う
その後方から忍び寄る影に気づかず
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