制圧
前田慶次郎(利益)は、1573年では、まだ利家の家来では
無いのですが。。。登場させたかったものですから
「なんじゃ! 何が起こっているのじゃ!?」寝間着のまま外へと飛び出す 羽柴秀吉 その足元に火矢が突き刺さる
「兄者! こっちじゃ!!」秀吉の袖を引き 蔵の立つ区域へと
走り出す 秀長
「座敷蔵より、この米蔵のほうが火に強い 窮屈だが、ちょっとの辛抱じゃ」秀吉の背を押し 米蔵の扉を閉め 扉の外で槍を手に仁王立ちの 秀長
「兄者の悪い予感は、本当によく当たるんじゃの もっと真剣に聞いていれば なにか打つ手があったかもしれんのう
ここは、誰も通さんから 安心してくれ」
海風により、またたく間に火の手が広がっていく鳴海城
まだらだった城内よりの弓での攻撃も止み
熱風から逃れようと大手門、搦手門へと殺到する 織田軍
それらを掘りに架かる橋にて待ち受ける 武田軍
長槍を持ち、身体強化された槍衾に為すすべもなく場内へと退いていく者 暑さに耐えきれず堀に飛び込む者 武器を捨て降る者
槍衾の餌食となる者 未だ降り注ぐ火矢に逃げ惑う者たち 鳴海城内が地獄絵図と化していく
「撃ち方止め!陣鐘を鳴らせ!」 カンッ!カンッ!カンッ! 本多忠勝の采配で弓隊の攻撃が止まる
「矢沢頼綱殿(真田幸隆の弟)、この攻城戦 兵達は十分に経験を積んだと思われますか?」忠勝が聞く
「そうですな 新しい武田の戦 身を持ってわかりましたでしょう あとは城内を制圧して積みですな」
「拙者は、本陣の天女様にすぐ戻ると約束しております ここは矢沢殿に任せ 城内を制圧して参ります」
「よかろう任されよう くれぐれも無理はされないよう 某も天女様の悲しむ顔を見たくはないのでな」
「矢沢殿! 拙者に何かあれば 天女様が悲しむと思われますか!!」身を乗り出して喰いついてくる
「そ それは、そう思うが。。。」巨躰の忠勝に迫られ 後退る
「矢沢殿! かすり傷1つ負わずに戻ってまいります」矢沢頼綱の手を取りぶんぶんと振り 頭を下げる
「おそらくだが、羽柴秀吉を生け捕りにしてきたら 天女様に喜んで頂けると思うが」
「そうでありますか! そこまで考えが至りませんでした では、生け捕りにしてまいります」
矢沢頼綱 兄、真田幸隆に劣らぬ策士のようである
大手門に続く橋に群がる兵を押し退ける 「道を開けろ!! これより武器を持たずに出てくる織田勢は全て捕えよ!! 武器を持っている者は、全て切り捨てよ!!」
「では、行ってくる」
「城内に入られるのですか? 我らもお供させて頂きたい!」天女の加護を授けられ力が漲っている兵たちが声を上げる
「半分は、ここに残れ! 一人も通すな 半分は我に続け!!!」
そう言うと再び閉められた大手門の手前で立ち止まり 【蜻蛉切り】を上段に構え 一気に振り下ろす
閂もろとも一刀両断にされた大手門が音を立てて崩れ落ちる
おおおおぉぉぉぉ 歓声とともになだれ込む武田軍 燃え盛る城内 満足に具足も装備しておらず
逃げ惑う 織田勢
火の手を避けつつ、東西に長く建つ曲輪の制圧を任せ 二の丸に向かう
「本多忠勝! まかり通る!! 武器を捨て降る者は、命までは取らぬ 城外へと参られよ」
燃え盛る二の丸の中庭で具足を着け太刀を持った兵に囲まれる 陣太鼓が狂ったように叩き鳴らされ
次々と中庭へとなだれ込んでくる織田の兵士
蜻蛉切りを頭上で風車のように回し、畳み込む機先を制す
「武器を捨て降る者は、道を開けよ 命までは取らぬ!!」
「なめるな!! かかれ!!!」
本多忠勝を押し潰そうと 囲いを狭め襲いかかる
蜻蛉切りを一閃 横に払い 10人以上の膝を叩き割り 更に10人以上を吹き飛ばす
燃え盛る建物内に吹き飛ばされた数名が、引火した着物の火を消そうと転げ回る
一息に15メートルほど離れた前田利家に詰め寄り 右手に持った太刀を払い飛ばす
「本多忠勝殿 お主まで武田に付くか!!」
「前田利家殿 ご無沙汰しております 我が殿の仇と天女様のお導き故」
背後から迫る風斬り音に僅かに首を傾げ逸らす 二の丸の柱に突き立つ 投槍
「おぉ〜 さすが本多忠勝殿!! 我は、前田利家が家臣·前田慶次郎 一騎打ちを所望致す」
【overflowing あふれた生命】
近未来 不死 デスゲームと趣向は異なりますが
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西暦2035年
はやぶさ4号が、木星の軌道上の小惑星より持ち帰った鉱石
その鉱石が地球上の生物に、不死をもたらす
といった内容です




