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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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決戦前夜

桶狭間 月も高天に登り 鳴海城への出陣を待つ 武田軍4000


「ここが10年以上前に今川義元が織田信長に討ち取られた

 桶狭間か、思えば尾張一国の大名だった織田信長がここから

 天下を取る勢いにまでなるとはのう」山県昌景が馬場信春と

焚き火を挟み向かい合い話し込んでいる

「それもここまでじゃがな、お館様以外が天下を統べることは叶わん」馬場信春が当然と言うように鼻を鳴らす

「それもお館様が元気でいらしてくれるこそですな」

「たしかに天女様がいらっしゃらなければ、どうなっていたかのう。。。考えたくないのう」

「そろそろ向かいますか 今なら日の出までに鳴海城下に陣を張れます」


「お雪ちゃんの話では、響談以外に斥候は出していないということですが 知らされていないだけかもしれません

 忠勝殿 ご苦労ですが もう一度 鳴海城まで見廻って貰えますか? この戦が終わるまで私の出来る

 すべての加護を、常時発動にしておきます おそらくは、貴方を傷つける事は、誰にも出来ないとは思いますが

 無理はしないでくださいね」

「はっ お任せください」片膝をつき、杖から放射状に降る加護を受ける

筋力強化·身体硬化·身体加速·聴力強化·視力強化·嗅覚強化·暗視·気配察知 等など

本来であればエヴァの魔力消費もそれなりに消費されるが 魔素の豊富なこの世界では許容範囲内であった


闇夜にまぎれ進軍を開始する 武田軍 その進軍を鳴海城に知らせた者は、誰も居ない


緒川城 物見櫓


物見櫓で横になっているルイの魔力に惹かれて 一羽の鳩が舞い降りる

「どれどれ」上半身だけを起こし 鳩の足に結わえられた文を丁寧に取り広げる 小さな点々が書かれた文

「何故これが読めるのかわからないが、読めるんだよな。。。不思議だ

 向こうは明朝 鳴海城に攻撃を開始すると こっちは2日後に兵5000を率いて大野城に向けて出兵せよ 囲むだけで降伏するだろう なお岡崎城に報告の鳩を飛ばせ。。。か まぁエヴァがそう言うのなら、そうなるんだろうな」

ゆっくりと立ち上がり 物見櫓から飛び降り真田幸隆の元へと向かう ルイ

「向こうの方が、楽しそうだったな」


鳴海城 篝火が焚かれ 各物見櫓では3人づつ見張りが配置され四方を伺う


「秀長よ 響談の連中が誰も戻って来んのう」

「兄者 なにも報せる事がないと言う事ではないですか? 武田の連中も沓掛城で大人しくしておることでしょう

 あの兵数では、25,000で守る ここを攻めることも叶いますまい」

「う〜ん そう思うんじゃが なにか嫌な予感がしてしょうがないんじゃ 昔から嫌な予感だけは

 よく当たるからのう。。。小者だったわしがここまで出世出来たのも この勘を信じたおかげじゃ」

「そこまで言われるのでしたら 斥候でも出しますか?」

「そうじゃのう そうするか お前のところの脚の達者なものを6名 3組に分けて沓掛城まで行かせてくれ

 武田軍が駐屯していることを確かめたら 直ぐに戻るようにな 朝までには戻れるじゃろ」


鳴海城より2名づつ 時間をおいて放たれる3組の影 顔までを黒い布で覆い闇に溶け込んでいる

最初の一組が鳴海城を出て20分ほど街道から外れた田圃の畦道を明かりも持たずに駆ける

「貴様ら織田の斥候に相違ないな」突然2人の耳に届く声 

畦から水の無い田圃に転がり身を隠す 2人

「沓掛城への偵察と言ったところか?」

わずかに顔を上げて声をする方を探すが、姿を捉えることが出来ずにキョロキョロと辺りを見渡す2人

「答えずとも良い どちらにしろ死ぬだけだ」

ぐぇっ 蛙を潰したような声に顔を上げる 土の匂いに混じり血の匂いを察し飛び起きる

仲間の首を持った 黒い装束の大きな男に声を発すること間もなく喉を鷲掴みにされ足が地面から離れる

『鬼? 鬼だ』そう確信した男は、何も抵抗できずに意識を手放す

この夜 沓掛城に行った者も居らず 鳴海城に戻った者も居ない







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