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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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洗脳

鳴海城に向かい行軍中の武田軍

エヴァの騎乗する馬の手綱を引きながら 上空に目を凝らす 本多忠勝

「天女様 あそこに文らしきものを足につけた鳥が。。。」

「鳩ですね、ルイの魔力が感じられませんので 敵方の可能性が高いですね 落とせますか?」

「はい」そう言うと馬の左腹に備えられていた 弓を手に取る

「殺さないでくださいね 頭や胸以外でお願いします」はるか上空を飛ぶ、米粒程度にしか見えない鳩を殺さずに落とせとは、かなり無茶な注文であろう

「承知しました」岡崎城に滞在中に特別に誂えた強弓【5人張】文字通り 弦を張るのに5人がかりでようやく張れた

まさしく剛弓に矢を番える


弓を引絞る 更に引絞り 腹に溜まった息をすべて吐き出すと同時に放つ

大気を切り裂き、一直線に100メートルもの上空を飛ぶ鳩を仕留める

矢の重みに抗えず落下してきた鳩を山県昌景に渡す 本多忠勝

鳩の足に結えられた文を外し広げる その横で傷付いた鳩を受け取り そっと回復魔法をかけるエヴァ


「ふむ どうやら大野城の佐治信方が緒川城に入った軍勢を見て、援軍を要請する文のようですな」

「飛んでいく方向から察するに鳴海城じゃろう」目の上に手のひらでひさしを作り 西の方角を見る 馬場信春

「あら それは、手間が省けますね ふっふ」子供のように無邪気に笑う エヴァ

「と言われますと?」山県昌景が不思議そうに聞いてくる

「返事をしましょう お雪ちゃんを使って ふっふっふ」いたずらを思いついた子供のような笑みを浮かべる

「なるほど しかしあの娘を使うのは危険では?」

「こちらに捕らえられた情報は伝わっていませんでしょうし 不本意ですが洗脳魔法を掛けますから。。。

 これは内緒ですよ ふっふっふっふ」エヴァの表情を見て、背筋が寒くなり ぶるりと震える 山県昌景

「さすが天女様です この忠勝 その智謀に感服致しました」

「では宿営予定の桶狭間に着きましたら 山県殿 お雪に持たせる文をお願いします 内容は、"そのような

 余裕は無いので、自分たちでなんとかしろ! 緒川城に攻め込む気概を見せよ!!"という感じでどうでしょう?

 なるべく突き放した感じが良いですね

 桶狭間に着いたら お雪ちゃんを私の元まで呼んでくださいね ふっふっふっふっふ 」


「お雪ちゃん 私の目を見て話してね 怖い事されてない? 大丈夫??」

「はい 榊原様も皆さんも 優しくしてくださいます」エヴァの目に吸い込まれそうな錯覚を覚える お雪

「そう それは良かった お雪ちゃん もしも自由の身になったらどうするの?」そっとお雪の手に触れる

「郷に帰っても 父も母も誰も居ませんし 拾ってくれた頭領も居ません どうすればいいのか。。。」

「ごめんね 可哀想なことを聞いちゃったね 心配しなくても大丈夫 私が誰だかわかる?」

「天女様だとお聞きしました」だんだんと目の焦点がぼやけてくる お雪

「そう あなたに手を差し伸べているの 辛いことも不安で眠れなくなることも 何も心配する事は

 無くなるのよ どうする? 私に着いてくる??」お雪に触れている手に力を込める

「はい 天女様の御心のままに」お雪の頬が紅潮し 涙さえ浮かべている

「そうね それがお雪ちゃんにとって幸せだと思うの宜しくね」

その言葉の裏に《汝 我の下僕となり。。。。》呪言が織り込まれていた


「お雪ちゃん 響談だと身を証す物を持っているわね?」

「はい 榊原様に預けていますが棟梁の印が書かれた札があります」

「そう それを持って明朝 大野城の佐治信方に文を渡して欲しいの 渡したら直ぐに私の元へ戻っていいからね」

「はい お任せください」

「今夜は、私の横で眠るといいです 色々と不安でしょうから」まさしく天女のような笑みでお雪の髪を梳く

「ありがとうございます 身に余る幸せです」





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