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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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堅田沖湖上戦 2

波羅鬼の丸木舟、湖船が統率を失い散り散りに逃げまどうが、目前に迫る景竜隊の乗った軍船から逃れられるはずもなく、瞬く間に取り囲まれてしまう。

迫る火炎から逃れるために湖へと飛び込む者たち、戦意を喪失し武器を捨て、櫓まで湖へと投げ捨て両手を上げ降伏する者たち

そんな中でも、火矢から逃れ丸木舟の機動力を発揮し堅田港へ戻ろうと必死に櫓を操る湖船に向けて、帆柱に登っていた猿飛佐助が飛ぶ


「すぐに戻る!」

空中で叫びながら、腰に差していた忍刀を抜くと頭から湖船へと飛び込む

そのままの勢いで回転しながら、船内にいる6人の波羅鬼党員を切り払うと湖へと叩き落とす

たちまちのうちに湖面が真っ赤に染まる。


湖船上に佐助一人になると、横を通る軍船の船腹に3本のクナイを投げ、突き立ったクナイを足場にして“タッタッタッ”と駆け上がると船上へと降り立つ

息一つ乱すことなく、その瞳に静かな闘気だけを燃やし次の獲物を探し湖上を眺める 猿飛佐助


そして湖上を駆ける波羅鬼の舟がすべて掃討されるころ、堅田港から100名以上の乗員を乗せた

安宅船が離岸し、その堂々とした巨大な船腹を景竜隊らに見せつける。


「あれが噂の織田水軍が造ったという鉄甲船か!?」

「でけぇな〜飛猿組にも一隻欲しいな〜」

「おいおい まるで水に浮かぶ城じゃないか!?」

「でっかい大筒がこっちを向いているように見えるのは気のせいか!?」


波羅鬼の安宅船を見て、感嘆の声を上げる 景竜隊の面々


「しかしでかいだけで、トロそうだな!?」

「火矢が駄目なら、さっさと乗り込んで全員を琵琶湖に叩き落としてやるよ!!」

「あの船をふん縛って敦賀港まで持って帰るか!?仁助様へのいい土産になるだろう!?」

「よっしゃ!!そうと決まれば、正面突破だな!?」


しかし安宅船を恐れる者など、景竜隊には一人もいなかった。

大筒に狙いを絞らせぬように各船が、蛇行しながらも確実に安宅船を取り囲んでいく

“ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!”右舷側の3基の大筒が火を吹き湖面に大きな水しぶきが上がる


「よし!次弾の装填には時間がかかる、今のうちに3隻は港の制圧に我らと、もう一隻は安宅船に乗り込むぞ!!」

その信景の言葉を船尾にいる、旗振りが2色の旗で信景の言葉を伝えると3隻が港へと右回し

2隻が安宅船を追い、帆に風を孕ませる。


安宅船が急に船足を落とし、左舷側をこちらに向けようと回頭を始める、甲板からは火縄銃の

一斉射撃による煙が上がり、総員が頭を低くしながら衝撃に備える。


「満腹丸様、避けきれないかもしれませんが、このまま突っ込みます!!」


「ああ 構わないよ港に泊まっている軍船を代わりに頂くからね」

楽しそうに応える 満腹丸


“ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!”今度は至近距離で左舷側の3基の大筒が火を吹き、信景らが乗る船の船首を掠め湖面に巨大な水しぶきが上がり、船上では衝撃による揺れと湖水が降り注ぐ。


「やりやがったな!!次はこっちの番だな!!」

「あのでかい船を釣り上げるぞ〜!!」

「全員、鈎爪縄を用意しろ!!まもなく乗り込むぞ!!」


安宅船の横腹に衝突すると思われた直前で、左に舵を取り並走すると同時に四方に鈎爪のついた

投げ縄を安宅船へと投げ掛ける景竜隊員、またたく間に数十本もの鈎爪縄が両船の架け橋となり

百数十人の波羅鬼兵が待ち構える甲板へと上がっていく飛猿組の忍びたち


「信景君、僕も行ってくるよ指揮は任せるからね」

そう言い、鈎爪縄に足を掛けると巨体からは予想できない身軽さで安宅船へと乗り込んでいく

満腹丸


「お気をつけて!」

身を乗り出し火縄銃を構える波羅鬼兵に弓を射かけながら、そう応える 信景

軍船でもっとも高い位置となる櫓に登り、戦況を見守る。

ネボアの魅了により強化された景竜隊の忍びたちが、クナイや短刀を手に圧倒している。

佐助や才蔵は、まさに無双というに相応しい活躍で敵の中に飛び込むとすれ違い様に斬り伏せる

さらに圧巻だったのが満腹丸で、両腕に肘まである手甲を装着し敵の刃を受け流しながら、襟首を掴むと次々と琵琶湖へと投げ落としていく。

その満腹丸の背中に弓を向け、息を潜めながら静かに引き絞る 朝倉信景だった。



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