風魔党2
一陣の風と共に煙幕が晴れる
嫌な予感に後ろへと飛ぶ 風魔小太郎
足元に飛礫が4つ着弾する 改めて境内を見渡すと
立っている部下は、一人も居ない わずか数秒で意識を刈られている 予想していたよりはるかに早く 強いようだ
「俺の勝ちだな?」声が聞こえるが ルイの姿が見えない
「まだ 俺が居るぞ 隠れていないで出てこい!」
ピシッ! 「いたっ!」額に小石が当たる
「俺の勝ちだな?」すぐ近くから声がするのだが 姿は見えない
「ちょっと待て 姿を現せ 正々堂々と いたっ!」
先程より やや大きめの石が額に当たる 涙目で額を抑える
「俺の勝ちだな?」狙いを定ませまいと 右に左に上に下へと
跳ね回る小太郎 「まだわからんぞ!!」境内の銀杏の木の裏に
避難し呼吸を整える 『くそっ 手も足も出ないのか。。。』
目の前の地面が盛り上がり、小石が発射される
バシッ! 「いった〜〜!!」さらに大きめの小石が額の寸分違わぬところに、めり込む
「俺の勝ちだな?」額を抑え蹲っている 小太郎
蹲ったまま横目で、小石が発射された地面を確認し2本の小太刀を突き立てる さらに突く!突く!突く!突く!突く!
「どうだ!?ここか!?どうだ!?ガッハッハッハ」
額にコブを作り 痛みに涙を流し 大口を開けて大笑いしている 厳つい大男。。。きつい絵面である
狂ったように地面に小太刀を立てる小太郎の肩をポンポンッと叩く
「ちょっと待て! あの化け物の息の根を。。。?」静かに振り向く 小太郎
「俺の勝ちだな?」そう言うと デコピンが小太郎の額に炸裂する 意識を刈り取られる小太郎
「あの風魔党が子供扱いか。。。噂以上のようですな」山角定勝が呆けたように口を開けている
「思ったより楽しかったです 皆しばらくしたら意識が戻るでしょう で? どうします?」
「えっ? どうしますとは?」
「このまま武田に付くか、あるいは織田に付くのか試しているのでは?」
「いや そのような事は。。。」
「今の武田にとって一番厄介なのは、織田と北条に東西から挟撃される事だからな 言っておくが、天女様は
俺の百倍強いぞ」
「北条が織田に付くことは無いと誓おう 天女様は本当にお主の百倍強いのか?」
「間違いないな 天女様の為に命を投げ出す者は、いくらでも居る その者たちに天女の加護を授けられたら
俺でも勝てないだろう」
「なるほど一度お見掛けしたが、命を賭してもよいと思えるほどの美しき方だったな」遠い目で中空を仰ぐ
「ここにも危ないやつが。。。俺は帰るよ 腹も減ったし」
「そうか また遊びに来てくれ 出来れば天女様と。。。いや皆の士気が上がるのでな」
「そうそう風魔の連中が来てた装束 俺も着てみたいな くれるか?」黒の忍者装束を気に入ったようである
「わかった 背丈の合いそうな者のを1つ脱がして持って帰ってくれ」
「いいのか?」そう言いながら 自分に近い背丈の者を探す 「あれだな」
「くそっ いたっ!」目を覚まし額の痛みに また気を失いそうになる小太郎
「くそ~ ルイ! ルイは?」境内を見渡すがルイの姿は見えず 己の部下が転がっているだけだ
「もう帰られたぞ」山角定勝が答える
「そうか。。。手も足も出なかったな こんな負け方は初めてだ」しょんぼりと肩を落とす
「天女様はルイの百倍強いらしいぞ」
「は? あれの百倍強かったら 一人で一国を落とせるだろ!?」
「小太郎よ 済まぬが小田原まで行って 殿に報せてくれるか? この戦 武田の勝ちは揺るがぬとな」
「ああ そうだな このたんこぶ冷やしてからでいいか?」
1人また1人と意識を取り戻す 風魔党の面々 どうやら全員がデコピンでやられたようだ
「頭! 頭〜!! なんで俺だけ裸なんでしょう!?」ルイに一番背格好が近かったからである。。。




