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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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ダンジョン最下層ボス部屋の攻防

“シールドバッシュ!”アランがタワーシールドを押し出し、転移魔法陣から出たばかりのイノリに襲いかかる。

しかしそれを、矢印により察知していたイノリは、上体を低くしてタワーシールドの左側に回り込みながら、ドームの中央に向けて縮地術で駆け抜ける

イノリの四肢を絡め取ろうと迫りくる ブルートの鬼蜘蛛の黒い糸を躱しながら、ピュンピュン竹を取り出し、大天狗に変幻した父·忠勝の頭上へと飛ぶ。

“ぶわっ!”大天狗の羽団扇が一閃すると、神速の竜巻に呑み込まれ、身体の自由を奪われたイノリがキリモミをしながら天井へと舞い上がる。


「うーん 矢印の数が多すぎて対応できませんでした……」


天井に激突する直前で妖狐となった玉藻前に襟首を咥えられ、エヴァのもとへと着地する。


「怪我はないかい?一人で無茶するんじゃないよ!」


「大丈夫です!楽しいです!!」

満面の笑みで、ドームに戻ろうとするイノリの襟首を捕まえる 妖狐


「慌てるんじゃないよ これは、あたしとイノリが日の本へ行っても戦えるのかを、みんなが

試してるんだよ!安心して送り出してもらうためには、みんなを連携してぶち殺すよ!!」

口角を吊り上げて凶悪な笑みを浮かべる 妖狐


「お玉様……恐いです〜。解りました!みんなを安心させるためにぶちのめします!!」


「じゃあいくよ!あたしの背中に乗りな、あんたに尻尾の1本を預けるからね、左手で握って前後左右の動きは、行きたい方向に倒すんだよ 上下は上に引く下に押すだねできるかい?

ようするに矢印を見てあたしを操縦しろってことさ!」


「面白そうです!操縦尾ですね!お玉様よろしくお願いします!!」

言い終わる前に妖狐の背中に飛び乗り、八本のうちの一本の尻尾を握りしめる イノリ


「あの……なにか強化を掛けちゃいましょうか?内緒で」

エヴァが小声で聞いてくる


「いや、日の本に行ってもあんたは居ないからね このままで殺ってみるよ イノリしっかりと捕まるんだよ 飛ぶよ!」

予想以上の強烈な加速に振り落とされそうになりながら、操縦尾に抱きつく 


「お玉様 全方向から攻撃です。急降下します!」

そう言いながら、操縦尾を目一杯、押し下げると七尾で空気を叩き、垂直に床に向けて降下

していくと、上空をルイのクナイとブルートの鬼蜘蛛の糸が通過していく

床に激突寸前で操縦尾を起こし、アランに向けて大きく右に旋回する。


「正面のアランギルド長に突撃〜〜〜!!」

右に左へと攻撃をかわしながら、アランに向け風刃を放ち続ける妖狐

それをタワーシールドで防ぎ、右手の片手斧ですれ違いざまの攻撃を狙う アラン


「お玉様!行ってきます!!」

妖狐の背中を蹴って上空へと飛ぶイノリと八尾に空気を孕ませ急制動から、八尾をムチのようにしならせ叩きつける タワーシールドが弾け飛び、体勢を崩したアランの頭上にイノリのピュンピュン竹が振り下ろされる。

アランの頭上ギリギリを、忠勝の竹竿が薙ぎ払い、絡め取られるピュンピュン竹


「あ~あと少しだったのに!!」

再び妖狐に襟首を咥えられ、上昇しながら悔しそうに叫ぶ イノリ


その後も直径50m、高さ50mのドーム内をところ狭しと飛び跳ねまわる イノリと妖狐

それを捉えようと、飛び交うクナイと鬼蜘蛛の糸 妖狐の尻尾とイノリの矢印でしのぎ切ると

忠勝が変幻した大天狗が、満を持したかのように飛び上がり、空中で妖狐と対峙する。


「あんたとは、一度戦ってみたかったんだよ」


「ではっ!推して参る!!」

竹竿を両手に持ち、空気を切り裂きながら上下左右あらゆる方向から妖狐に迫る 竹竿の攻撃

それらをすべて八尾で払いながら、竜巻や雷撃を放つ 妖狐

神速の攻防に目まぐるしく向きを変える矢印に目を回し、必死に妖狐の背中にしがみつくイノリ


それを地上から眺める ルイたち

「お玉様……まだ八尾だけど九尾になったら、どれだけ強いんだ?」



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