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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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イノリの覚悟 2

「イノリよ、それでよいのだな?」

龍皇の吐息を浴びたイノリの髪がなびく。


「はい!父様と母様とも話しました。龍皇様の尻拭いに行くと決めました!」


「「「「「っ!!!!!?????」」」」」一瞬で顔を蒼くする一同


「ぶわっはっはっはっはーーーそうか、我の尻拭いに行ってくれるか はっはっはっーごっほっほっほん」 笑いすぎて咳き込む 龍皇


「イノリ!言葉を慎みなさい その方は、この世界で1番偉い人なんですよ」

エヴァが風魔法に乗せて、イノリだけに聞こえるように囁やく


「龍皇様……イノリは何か失礼なことを言いましたか?」


「いや なにも失礼なことなど言っていないぞ。イノリはそれでいい」


「イノリ、しばらくの間だけど、父母ちちははに会えなくなるんだよ?あんたはそれで本当に大丈夫なのかい?」

玉藻前に変幻した妖狐が、イノリの視線まで腰を下ろし聞いてくる。


「それは寂しいですけど、お玉様が日の本で一人で戦ってると思うほうが寂しいですから

イノリがお玉様の敵を全部やっつけてここに帰ってきます!」


「そうか……すまないね、あたしの敵をやっつけてくれるのかい?ちょっと時間が掛かるかもしれないけど、よろしく頼むよ 天女に忠勝よ、イノリはあたしの命に代えても守るからね」

イノリを強く抱きしめる 妖狐


「それでは、明日のこの時間に九尾とイノリを日の本へと送る。 占い師という稀有な職業を授かったそうだが、エラドの契りがまだな様だな ルミエルの下で契りを交わしてくるがいい、そして約束通りイノリには明日、我の加護を与えよう お前たちの働きに期待しているぞ」

いつものように光の粒となり、消えていく 龍皇


「エラドの件の前に、さっきのイノリの動きは、何だったんだ? この俺が捕まえようとしたのに追いつけなかったんだぞ!? S級冒険者のこの俺がな!」

妖狐の隣にいるイノリを指差す ルイ


「確かに、あれは異常な動きだったな……イノリは自分で解って動いていたのか?」


「お玉様と龍皇様の喧嘩をどうやったら止められるのか考えたら、矢印が出たので、その通りに動いただけです」

ブルートの問いに首を傾げながら答える イノリ


「矢印?」


「ジョブを授かって、教会を出たあとから矢印が見えるようになったらしいです。 その矢印のおかげで窃盗団を一つ潰してからここに来ました」

エヴァがブルートたちに説明をする


「あとね、戦いの中でも矢印が教えてくれるの、こうズキューーンと行って、ズバーーンッとか、

そしてヒューーーンからシュッパーーーンとかです」


「なるほど……よく解らんが、占い師という職業が、最適な未来や動きを導いてくれるという事なのか? 今のイノリの実力で手に負えないような事象や敵と遭遇した時には、どうなるんだろうな? 実に興味深い職業だな イノリ!あとで検証してみよう」


「検証? ブルート先生が珍しく手合わせをしてくれるということですか?」

わくわくと目を輝かせる イノリ


「そうだな、餞別代わりにルイもアランも相手をしてくれると思うぞ」


「それは嬉しいですけど、明日の準備をしなくても大丈夫でしょうか?」

ちらりとエヴァの方を見る


「イノリ 準備は必要ないですよ なにも持っていけませんから……」

エヴァが頬を染めながら 答える


「なにも?え~~~ピュンピュン竹もですか!?」


「「「「なぜピュンピュン竹!!??」」」」


「そうですね、衣服さえも持っていけませんから、向こうに着いたら丸裸です」


「え~~~ 母様もすっぽんぽんだったのですか?」


「ええ……ここに居るみんながすっぽんぽんでしたよ」


「じゃあ最初からすっぽんぽんで準備しておいたほうが良いですね 服が勿体ないですから」


「「「「天才か!?その発想はなかったな!!」」」」


「さてイノリや、そろそろ行こうかね」


「お玉様 どこに行くのですか?」


「教会に決まっているだろう あたし以外にあんたの親代わりに誰がなれると言うんだい?」




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