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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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大嶽丸と河童

久しぶりにランキングを見たら、ジャンル別週間ランキングに入っていてびっくりしました

1年近く休んでいたのに、引き続き読んでくださって本当にありがとうございます

「それで、おりん様は無事なのですか?」

お雪と大嶽丸は、鈴鹿城に向けて飛ぶように走っている


「無事は、無事なのだが……」

崇徳天皇の怨霊と遭遇したこと、お玉様が復活していると思われること

おりんに呪詛を刻まれたこと、3日以内に怨霊の容れ物となる妖を見つけねばならないことを

お雪に説明する 大嶽丸


「大嶽丸様それって夜叉の姿をしていたのではないですか?」


「ああ そうだ実体は持たぬが、夜叉の姿だな」


「京の都でネボアと融合し実体化して、お玉様が自分の命と引き換えに倒した怨霊ですね」

当時の事を思い出し お雪の顔が曇る


「ああ おりんにもそう聞いているが、姉さんはどうやって倒したのか知っているか?」


「天女様には、呪い返しだと聞いています あんな事が出来るのは、お玉様だけだと」


「ああ 自分の精神を呪い返しの鏡として相手に返す 反閇へんばいという術だな 九尾の姉さんを倒すほどの呪いを込め、それを返すとなると 確かに姉さんにしか出来ない術だな」


       〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜'〜〜〜


「おりん様〜 大丈夫ですか?」

鈴鹿城に着くなり、おりんの寝所へと飛び込む 


「お雪ちゃん!来てくれて嬉しいです! 久しぶりに来てくれたのに、こんな格好でごめんなさいね 叔父上が、寝ていろってうるさくって」

純白の寝間着に布団から上半身だけを起こす おりんの顔がひどく憔悴して見える


「うん 休んでいて下さい、話は大嶽丸様から聞きました」

おりんの首に浮かぶ呪詛を忌々しく見つめる お雪

それに気づいたおりんが、胸元を抑えながら目を伏せる


「あれは、私たちとは相反する存在なのですね……これを刻まれてから、わたしの神通力もすべて封じられてしまいました。 お雪ちゃんが来てくれたことにも気づかないほどに」


「大丈夫 おりん様は、わたしが守ります。 天女様の一番弟子の名にかけて」


「あらっ お雪ちゃんが一番弟子でしたら わたしは天女様の愛人ですね」


「わたしも愛人がいいです!」

久方ぶりに、鈴鹿城に華やかな笑い声がこだまする 


「それにしても天女様にお会いしたいですね〜 お子様もお産まれになっていますでしょうし

きっと天女様に似て、お淑やかで美しい女の子でしょうね」


「お会いしたいですね 男の子でもきっと凛々しくて優しい子に育っていると思います」

“ふぅ~っ”と妄想を膨らませ ため息をつく おりんとお雪


「俺様は、妖を捕まえに行ってくるぞ 捕まえるまでは戻らんから留守の間を頼んだぞ それとそんなに天女に会いたいのなら、古竜様に頼んで異世界に行ったら会えるかもしれんぞ」



        〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「「はっくしょん〜〜〜!!」」

同時にくしゃみをするエヴァとイノリ


「どこかで私たちの噂話をしているようですね?」


「母様、誰かが噂話をするとくしゃみが出るのですか?」

不思議そうに鼻をすする イノリ


「日の本では、噂話をされるとくしゃみが出ると言われているのですよ」

懐かしそうに遠くを見る エヴァ


「きっと美人母娘だと噂話をしているのだと思います」


「ふっふふっ だと良いのですけどね」


ー『久しぶりに日の本のみんなに会いたいですね みんな元気で居るのでしょうか……』ー



       〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


なんの考えもなく鈴鹿城を飛び出した 大嶽丸は、大した考えもなく長良川の河童でも捕まえようと南西に向かい飛んでいる


「おおっ ようやく見つけたぞ!」

人型に変幻をした大嶽丸が川の畔に降りると、目の前の川面が渦を巻き水鉄砲が発射される

それを左手で払い落とすと、川面に向かい大声で語りかける


「おい 俺様は喧嘩をしに来たわけではない この通り人のなりで話をしに来たのだ」

すると渦の中から五匹の河童が、次々と飛び出てくる


「キュッキュキュッキューキュッキュ?」

リーダ格らしい河童が前に出て、大嶽丸を指さし奇声をあげる


「何しに来たかって? 実はな、お前らの中で一匹でよいのだが、ある怨霊の依代になってはもらえんだろうか?」


「キュッキュッキューーキュッキュキュキューーー!!」


「いや そう言うのはもっともだが、俺様の大事な人の命が掛かっているのだ。 なんとか頼む」

深く頭を下げる大嶽丸だが、自分の命が掛かっている河童たちが首を縦に振るはずもない


「キュキュッキュッ………キューキュッキュキュキュ」


「水神様の眷属である、俺たちを馬鹿にしに来たのなら、その覚悟は出来ているのかって?

そうかお前たちは、水神様つまりは八岐大蛇の眷属だったな……」





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