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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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山崎長徳と飛猿組

「あれをくらったら、俺でもどうにもならんよ」

もうお手上げだと、両手を上げる 佐助

 

「練った気を楊枝にのせて、真剣を受けたり、人の気の流れを断つのだからな……

人間業じゃないな、もはや妖怪だな」

“うんうん”と頷きあう 才蔵と佐助


「動け!動け!動け!動けっ!!このままで終われるかーーー!!!」

自由になる目玉だけを動かし、猿飛仁助を睨みつける 山崎長徳


「ふぉっふぉっふぉっ 怖い怖い」

腰に刺していたキセルを引き抜くと、煙草を詰め始める 猿飛仁助


「長徳!」

信景の大声が、道場内にこだまとなり 空気を揺らす

その空気の波に信景の言霊を乗せ、山崎長徳の背中を押す


「信景様!」

奥歯が砕けるほどに歯を食いしばり 押された背中を力に変えると長徳の戒めが解ける

両脚の裏に力を込め 両腕で握った短槍を腰に当てると、足の裏から得た力を下半身のすべての細胞で増幅させながら、左から右へと回転する力に変える


「うおおおおおおぉぉぉぉぉっーーーーーーー」

両手で握った短槍を腰の回転だけで力任せに横に薙ぐ


「へぇっ!?」   “キイィーーーーーーンッ”

咄嗟に持っていたキセルで受けるが、甲高い音を残し、半ば程で切断されたキセルが空中を舞い

衝撃を吸収できずに、右脚一本で道場の床を蹴ると壁の寸前に着地する


「これは驚きました あの術から抜け出すとは……わしの負けですな」

痺れた右手を掲げて見せる


「あぅ…………あぅっ……………あぅ…………あぅっ」

再び両腕の自由が効かない 山崎長徳が、必死に眼でなにかを訴えかける


「おおっ 忘れておりました 佐助!楊枝を抜いてやってくれるか」

すぐさま立ち上がり、長徳の自由と呼吸を奪っている楊枝を引き抜く 佐助


「ぷっはぁぁ〜! ぜぇっぜぇっ 死ぬかと思いました 斬られて死ぬのならともかく

窒息死では笑い話にもなりません」

短槍の石突きを床に立て、寄り掛かるように肩で息をする 山崎長徳


「山崎殿 感服しましたぞ、この平和な時代の侍に、これほど骨のある輩が居るとは

どうでしょう? ここに修行に来られてはいかがですか?」


「強くなれるのか? 信景様のお役に立てるくらい強くならねばならんのだが?」


「長徳 なにを言っているの?父·朝倉義景のために強くなるのでしょう?」


「はい もちろん国の有事の際は、大殿様のために働きましょう しかし先ほどの話を聞き

さらに拙者の名を呼び背中を押してくださった時に決めたのです この命を信景様にお預けしようと」

信景自身には自覚がないのだが、ネボアのスキルにより【魅了】は常時発動されており

出会う人間、話す人間すべてを自然に魅了する効果が発揮されている

そして信景が激励することにより【鼓舞】のスキルが発動され その効果により長徳は窮地を

脱する事が出来たのだった


「そう言ってくれるのは嬉しいけど、城番頭という大事なお役目があるからね、ここに修行に来るというのは叶わぬかもしれないよ」


「武者修行のために、飛猿組に出向させていただけるように頼んでみたいと思います」


「そうか そこまで言うのなら僕からも父上に頼んでみるよ 景鏡叔父上の所にお世話になるという事にしておけば、我が朝倉家の家臣であることに変わりはないからね」


「ありがとうございます ぜひそのような形でお願い出来ましたら、ありがたく存じます」

信景に向かい、深々と頭を下げる 山崎長徳 


「ふぉっふぉっふぉっ 若様、ここに居る猿飛佐助と霧隠才蔵も若様のために働きたいと申しております まだ若輩なれど、子供の頃よりこのわしがみっちりと忍法を叩き込んだ者たち

若様のお役に必ず立つことでしょう

そして有事の際には、この飛猿組2000名 若様に命を預けましょう」






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