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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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サランドル·ダンジョンの怪異

「ところで お玉様は、これからどうするんですか? 日の本に帰れないですよね?

ずっとここに居られるんですよね?」

妖狐の手を取り、身を乗り出して聞いてくる エヴァ


「帰れない事は無いけどね あたしらは半分精神体だから古龍様に頼めば帰れるさ 大嶽丸も

復活して待ってるだろうし、あたしの中の柱は、やっぱりあの土地だからね 

あんたらの顔も見たし 帰らないとね」

差し出されたエヴァの手に自分の手を重ね 子供に言い聞かせるように優しく説く 妖狐


「それでしたらお玉様、来月でイノリは7歳になります 1stアナムネシスまで滞在してもらってぜひ立ち会って下さいませんか?」


「アナムネシス それはいったい何の事だい?」


「この世界では7歳になると、先ほど話した統一神ルミエル様からジョブを授かるのです

わたしが魔術師を授かったようにイノリにも何かしらのジョブが与えられる筈です

それを一緒に見届けてもらえませんか?」

固唾を飲んで、妖狐の返答を待つ 一同


「なるほど七五三みたいなものかい それは見届けねばならないね」


「ありがとうございます」

緊張していた空気が和み、安堵のため息が漏れる


「そうと決まったら 今日は朝まで飲むぞ!」

空間収納からエールを取り出し、テーブルに並べる ルイ


「お玉様 居てくれるんですね! また稽古してもらえますね 嬉しいです!」

妖狐である玉藻前に抱きついて喜ぶ イノリ


「ああ 実の姉だと思って、甘えても構わないんだよ しかしこのエールってのは、美味いね〜」

エールのジョッキを片手に上機嫌な 妖狐


「…………………………祖母?…………………………」

雷撃がアランを貫き エールを持ったまま固まる 


「じゃあ しばらく世話になるよ 寝所は、このダンジョン内で適当に見つけるよ」


「お玉様 俺の家に来たらいいさ 一人暮らしだからな遠慮は要らないぞ」


「ありがとうよ ルイ でもね、このダンジョンを探検してみたくてね」

ルイの誘いを、やんわりと断る 妖狐



          〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そして翌日から、ダンジョンに潜った冒険者たちの間で様々な噂話が飛び交う事になる


結成3年目になる4人組のC級冒険者パーティー【ブラック·クロス】

彼らが、いつもの様に素材集めの為にサランドル·ダンジョン16階を探索していると

二股に分かれた洞窟の分岐で、仲間とはぐれたのだろうか? 道にでも迷ったのか?

東国の島国の民族衣装に似た着物を着用した 長身の女が立っていた

こちらは、むさい男4人組のパーティーである 怖がらせないように近づいていき

優しく声を掛ける 「お嬢さん こんな所でどうされたのですか?」

すると、その女は、はぐれた仲間たちを探しているうちに道に迷い 困り果てていたと言う

そして近くで見ると、この世の物とは思えないほどの美しさに思わず言葉を失う 4人

「そう言うことなら、俺たちも今日は切り上げるので一緒に出ましょう」と提案するが

仲間を探して、もう少し潜りたいという女 名前を玉って言うんだけど 東国出身らしい

女を1人にするわけにいかない彼らは、女の前に立って歩き出す

17階、18階、19階と降りていくが、女の仲間は見つからず ついに20階のボス部屋の前

しかも奇妙な事にモンスターもまったく襲い掛かってこずに、遠巻きに観察されているようなそんな不気味さを覚えたという


「お玉さん すまないがあんたの仲間を探せるのはここまでだ このボス部屋はC級の俺たちには荷が重すぎる 今日は一緒に帰ろう」

と説得するが、首を縦に振らず 一人でも行くと言い張る女に4人は男を見せる

「こんなか弱い女性を1人で行かせるわけにいかない 死んでもお玉さんを守るぞ!」

妙な連帯感に包まれた4人は、一か八かとボス部屋の扉を開ける 

「ここのボスはバジリスクだ 絶対に目を合わせるんじゃないぞ!石にされちまうからな

自分の足元だけを見て、音を頼りに戦うんだ いいなお玉さんには傷一つ負わせるんじゃないぞ!」

そう言いながら、5人でボス部屋中央に行くとバジリスクが、まるで雷にでも撃たれたようにピクピクしながら倒れている これは、天の助けと大急ぎでボス部屋の宝箱を開けてボス部屋を後にする 相変わらずモンスターも一切 襲ってくることも無く 30階層のボス 烏天狗も暴風が収まるのを待っている間に倒れているのを発見し逃げるように宝箱を開けて出ていくと

あれやこれやと40階層までたどり着き、飛行のスキルを持っていない俺たちではクラーケンとは戦えないと撤退を申し出るが、その女は自分が様子だけ見てくると言い ふわりっと飛び立ち

湖面に掛かった霧が晴れると、腹を水面に出したクラーケンがぷかぷかと浮いているではないか

脱兎のごとくボス部屋を後にした彼らは、女に尋ねる

「なにかの奇跡が重なって、こんなところまで来ちまったけど……まだ進むのかい?」

すると女は

「さすがにこれ以上は、忠勝に怒られるね〜 暇つぶしもこれくらいに………」

と謎の言葉を残し煙のように消えちまった


無事ギルドに戻ったブラック·クロスは、今まで3年間地道に溜め込んだ以上のお宝を手にして

しかも40階層突破という条件をクリアーした功績でB級に昇格したんだとよ

まさに狐にでも化かされたような話だろ?



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