団欒
「ああ すまないね」
イノリを解放すると、玉藻前に変幻する妖狐
「ちょっと悪戯が過ぎたようですまなかったね こっちに来て顔をよく見せておくれ」
イノリの目線の高さまでしゃがむと、右手を差し出しイノリを引き寄せる
一瞬躊躇するイノリだったが、忠勝の顔を見ると嬉しそうに頷いているのを見て素直に
玉藻前の胸へと引き寄せられる
「天女や あんたとんでもない子供を産んだもんだね〜 あんたの旦那の素性も普通じゃないけど、産まれる前からとんでもない加護を受けたまま腹の中に長い事いたせいなんだろうね〜」
イノリの頬を両手で挟むと、その瞳を覗き込む
「無鉄砲な戦闘狂は、父親譲りだね 聡明で慈悲深いのは、母親から譲り受けたようだ
イノリといったね あんたの特別な力をどう使うのか、あんたの心掛け次第だからね」
「美女妖怪さん イノリは、世界一強くなりたいです」
妖狐の目をまっすぐ見つめる イノリ
「それは、なれるかもしれないね〜 力だけじゃなく、心も強くならないといけないよ あんたの両親のようにね あと美女妖怪じゃなくお玉でいいよ」
「じゃあ お玉様、イノリは世界一優しい人になりたいです」
「あんたは、天女の娘なんだから なれるだろうさ 弱い者に常に手を差し伸べることが出来る そんな人間になるんだよ」
「お玉様……世界一賢くなれるでしょうか?」
「さて! お腹が空いたね~ 数年ぶりに何か口にしてみようかね」
「はい 何か用意しますね」 「そう言えば、俺たちもお腹が空いたな」
「魔界では、何を食ってたんだ?」 「とっておきの酒を開けましょう!」
あっと言う間に、妖狐を囲んでいた輪が母屋に向けて散っていく
その場には イノリと、そのイノリに親指を掴まれ逃げ遅れたアランが立ちつくす
そんなアランを見上げる イノリ
「ギルマス……イノリは、世界一賢くなれるでしょうか?」
「…………………………適材適所?…………………………」
囲炉裏の鍋を囲んで、再開を喜び合う 面々
「だいたいの事は、魔界で古龍様に聞いていたけど、よく全員が生き延びれたものだね〜」
久し振りの酒に、ほんのりと頬を染める 玉藻前の着物の裾が乱れ、まるで目に見えるような
色香に不覚にも魅せられる ルイとイノリ
「お玉様 ちょっと抑えてくれ! 妖気がダダ漏れでイノリまで惑わされてるぞ!」
千鳥足でエヴァにしなだれ掛かる イノリ
「ああ すまないね〜 魔界に長くいると妖力を抑える癖がないもんだからね 気をつけるよ」
「ところで魔界の統治も古龍様だと言っていましたが、魔界では、どんな存在なんですか?」
興味深そうに聞いてくる ブルート
「うん?古龍様は魔界では[魂縛閻魔]といってね、魔界に落とされてきた者に沙汰を下すのが仕事だね どんな刑に処して、刑期をどのくらいにするのかを決めるのさ
ちなみにナーダは、無間地獄に落とされたようだね」
「お玉様 無間地獄ってなんですか?」
鍋の具をイノリへと取り分けながら、聞いてくる エヴァ
「あたしもよく知らないんだよ ただ刑期の間ずっと苦しみが続くとしかね そう言えばネボアは魔界に落ちてこなかったね~ どこかで消滅したのかね?」
苦々そうに眉間にシワを寄せる 玉藻前
「ネボアですか……お玉様が命を落とす直接の原因でしたね……古龍様に取り込まれて、魔界に行ったものだと思っていましたが? まさか日の本に残っているのでは?」
「そうだとしたら、あの性悪が何年もおとなしくしていられるはずがないからね 古龍様の耳に入らないはずが無いさ ところでこの世界では、古龍様は何と呼ばれているんだい?」
「この世界で古龍様は[龍皇]と呼ばれています 日の本の八岐大蛇が、この世界の龍皇と同一の神だと知ったときは驚きました この世界には様々な種族とその神が存在しますが、我々を含む亜人を滑るのがルミエル神といいます そして最古の種族であるドラゴン種を統べるのが龍皇です その他にも魔人や巨人族などにもそれぞれ神が…………………」
嬉々として語りだす ブルート
「ありがとうブルートもういいよ しかし古龍様も、日の本では八岐大蛇、魔界では魂縛閻魔
そしてこの世界では龍皇として、それぞれの世界を飛び回っているんだから 頭が八つくらいじゃ足りないのかもしれないね〜」
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