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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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本多家での日常 2

「いやいや イノリ ぬらりひょんにはまったく歯が立たなかったではないか?」


「父様、イノリにはこのピュンピュン竹があります! 子供とは日々成長するのです!!」

両手と脇を実に器用に使い、上下左右 前面背面と魔力で繋がれた2本の竹をピュンピュンと

唸りを上げながら捌く イノリ


「ああ ヌンチャクか……」


「ヌンチャク? 父様、そのような名前のモンスターが居るのですか?」


「いや イノリの持っている、その武具の事だが…」

“あちゃっ〜〜”と顔をしかめる エヴァ達


「父様は、このピュンピュン竹が、イノリの発明した武具でなく、すでに存在している有象無象の1つだと、そう言っているのですね?」

“ぷるぷるっ”とピュンピュン竹を持つ両手を震わせる イノリ

“やれやれ”とその場を忍び足で退避する ルイ


「ふむ 父の若い頃にな琉球という国から客人が来られてな その者が携帯していたのがヌンチャクだ 最初は2本の棒切れを繋いだ玩具と馬鹿にしていたが、手合わせをしてみるとこれが

縦横無尽、変幻自在の軌道から繰り出される攻撃が厄介でな苦戦したのを覚えている」

腕を組み “ふむふむ”と当時の思い出に浸る 忠勝


「父様は……子供の夢や希望といった物を…… ここでキレては大人気ないです

こんな事もあろうかと、こんなものも用意していたのです!! 刮目せよ!! 新ピュンピュン竹!!」

ピュンピュン竹にもう1本の竹を魔力で繋ぎ、さらに複雑な動きで空を切らせる


「イノリって妙に難しい単語を使うけど、どこで覚えてくるんだ?」

「ああ 魔術学校の妙な同好会に潜り込んで、覚えているそうなんです……

最近のお気に入りが【ヒーロー魔術研究会(別名·中二病魔術研究会)】らしいんですけど……

そこで覚えてくるようです 凄くかっこいいんだと言っていました」

“ひそひそっ”と小声で話し合う エヴァとブルート


「おおっ! 三節棍だな それも懐かしい ハッハッハ〜」


「一度ならず二度までも〜幼児の夢や希望や創造力や成長に欠かせない、その他モロモロの大事な物を〜〜!! 父様はなんだと思っているのですか〜〜〜!! 覚悟っ!!」

わなわなと全身を怒りで震わせたイノリが、新ピュンピュン竹を振り回し 忠勝へと一直線に

飛んで行く 地面にはイノリの両足があった土が抉れ 砂煙が上がる



「あれは 忠勝が悪いな」

「ええ 旦那様は少しデリカシーに欠けると言いますか……」

「……………狂戦士………………」

アランの呟きに“ギクッ”とする エヴァとブルート


「イノリにジョブとか必要かな? 忠勝と打ち合える6歳児なんか居るか?」

「あれは旦那様がイノリに合わせて、手を抜いていますから ジョブが無いとレベルアップも

スキルを覚えるのも苦労しますからね」

「今 いいのが入ったように見えたけど……気のせいか?」

「あれは旦那様がイノリを気分良く遊ばせるためにわざと……?」

「忠勝がそんな器用な事を出来るか?」

“ドカッ”後頭部を押さえ うずくまる 忠勝


「おのれイノリ! 父も少し本気を出すぞ!!」

蜻蛉切りを模した、長槍を出現させ びゅんびゅんっと扱く

ドーム中央に竜巻が起こり 忠勝とイノリ2人の揃いの甚平の裾がばたばたと風になびく


「望むところです! 父様!! いざ尋常に勝負!!」

変幻自在、縦横無尽に襲い掛かる新ピュンピュン竹(三節棍)の猛攻を、3mを超える長槍で軽々と弾く 忠勝

「さすが父様! しかしここからが本番です “カチッ”加速装置!!」

“カチッ”と口で言い 奥歯を噛み締めると奥歯に仕込まれたスイッチが入り 加速するという設定


『『『『中二病魔術研究会の影響だな……』』』』苦笑いのエヴァたち


「おっ!? おおっ!? ほいっと!」

急加速から懐に飛び込んできたイノリの猛攻に、石突きを地面に突き立て逆立ちの様に上に逃れると体を捻りながらイノリの背後に着地する…と同時に忠勝の頭上に振り降ろされる竹を左腕で防ぎ 腹に向けて横に薙いできた竹を右脚の脛で受ける


「おい エヴァ…今更だけどイノリの戦闘センスは普通じゃないぞ!? 俺たちが6歳の時にあんな動きができたか? 10歳の時でも無理だろう?」

ルイが嬉しそうに2人の攻防を見守りながら 呟く

「そうですね ダンジョンで育ったからでしょうか? 生活のすべてが戦いに直結した環境ですからね」

「いや…そんな単純な話じゃないと思うぞ」

ブルートが意味ありげに話に入ってくる

「これは僕の仮説なんだが、エヴァが日の本で魔王ナーダと戦った時に古龍様つまり八岐大蛇がエヴァに憑依した時があっただろう?」


「確かにありましたけど……」

何か思い当たったのかハッと言う顔をするエヴァ


「あの戦いの間、古龍様は胎児であるイノリを守る為にずっとエヴァの中に居たんじゃないかと僕は推測しているんだ だから産まれてきたイノリの中にも古龍様の残滓のような物が残っていても不思議じゃないなと……」


「確かにあの戦いを経て、お腹のイノリが無事だったのは奇跡だとは思いましたが……」



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